二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 289章 硬質 ( No.332 )
日時: 2011/10/17 21:00
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「そんじゃ行くよ、あたしのエースポケモン。ストータス、出番だよー」
気の抜けた声と共に現れたのは、石炭でできた甲羅を背負い、甲羅に開いた穴や鼻から白い煙を出している、陸亀のようなポケモン。
石炭ポケモン、ストータス。炎・岩タイプのポケモンだ。
「メタグロスほどじゃないにしろ、またゴツイのが出て来たな……でも、絶対に倒すぞ。ディザソル、辻斬り!」
ディザソルは目にも止まらぬ速さで駆け出し、一瞬のうちにストータスに接近し、漆黒の刃で切り裂く。
ストータスは見た目通り、鈍重のようだ。これなら素早く動き回りながら攻撃していけば倒せると、イリスは思った。
だが、現実はそんなに甘くなかった。
「え……効いてない……?」
ストータスはディザソルの辻斬りを喰らっても、平然としている。本当に、何も攻撃を受けていないかのような表情だ。
確かに鈍重な分防御は高いだろうと予測していたイリスだが、ここまで全く攻撃が通らないとは思ってもみなかった。
「そりゃそんな攻撃、あたしのストータスには効かないよー。解放状態のあたしのストータスは、7Pどころかダークトリニィ、ゲーチスのポケモンを含めても、その中で最高の硬度を誇るからねー」
「なっ……!」
驚きだった。7Pだけでなくダークトリニィも、そしてゲーチスのポケモンを合わせても、防御力なら最も高いというフレイのストータス。
正直フレイの性格から、防御力特化のポケモンが出て来るなんて思いもしていなかった。
「……いやでも、Nのシルドールだって似たようなもんじゃないか。だったらどこかに必ず隙がある。そう、甲羅は確かに硬いだろうけど、腹はそうでもないはずだ。ディザソル、メガホーンだ!ストータスを突き上げろ!」
ディザソルは二つの刃を突き出して突進し、ストータスの目の前まで接近。そこで頭を下げ、刃と刃の間にストータスの首がはまるようにして、思い切り突き上げる。
ストータスの体重は230,4キロ。それを持ち上げるのは相当な力が必要だが、ディザソルは全身の力を振り絞ってストータスを持ち上げ、何とか腹を向けさせる所までは成功した。
「よし、いいぞ。そのまま辻斬り!」
ディザソルはストータスを持ち上げたまま尻尾を器用に使い、ストータスの腹を切り裂き、ストータスから素早く離れる。
「どうだ、今のは効いたはずだ……」
今の一撃は確実にストータスの腹部を切り裂いた。イリスの考えが正しいならストータスは大ダメージを受けているはずだが
「うーん、残念。まあ全うな考えではあるけど、やっぱ浅知恵だねー」
ストータスは、何事もなかったかのようにピンピンしていた。最初に喰らった辻斬りと、なんら変わらない様子でいた。
「な……」
「悪いけどさ、このストータスに死角なんてないんだよ。倒したいなら、力ずくでねじ伏せなきゃねー。こんな風に……噴火!」
ストータスは煙をもうもうと上げながら力を溜めるように震え、その力が最大限にまで溜まると、背中の穴から熱く燃え盛る石炭を無数に発射する。
そう、火山の噴火のように。
燃え盛る無数の石炭は壁や天井を溶かし、突っ切った物もあるが、それでも半数以上はディザソルに降り注ぐ。
「ディザソル!」
全身に何千度にも及ぶ石炭——いやもういっそ溶岩と呼んだほうがよいのかもしれない——を無数に浴びたのだ。ディザソルの体は全身黒焦げになり、その場に倒れた。
「くっ……戻れ、ディザソル」
イリスは悔しそうにディザソルをボールに戻す。
「進化してツンが抜けて、遂にデレ期が来たディザソルだけどー、流石にあたしのストータスには敵わないよねー」
にへらーと、フレイは笑う。
「ま、それでも言っとくと、あたしの解放状態での強さは序列六位。下から二番目だねー」
「っ!」
イリスは今度は、言葉も出なかった。
この強さで、六位。
イリスは、驚きを隠せない。
「レイは強さに波があるしー、アシドもポケモンをチューンアップしてすぐ戦ったって言ってたから、前にバトった時の強さはアテになんないだろうねー」
つまりこの前戦ったレイは最高の力ではなく、アシドも本調子ではなかったという事。
どこまで魔窟なのだろうか、7P。
「さーて、これはひょっとしちゃうと、ここで英雄君を倒せちゃうのかなー?」
フレイは床に這いつくばっているような状態なのに、やけに威圧感があった。
イリスは徐々に、徐々にその威圧感に飲み込まれそうになり、そして

ピリリリリ

後ろで控えているシャンソンの胸ポケットから、そんな電子音が鳴り響いた。
「あ……フレイさん」
「分かってるよー……そんじゃ英雄君、あたし時間だから。シャンソン、乗せて乗せてー」
フレイはストータスをボールに戻すと子供のように(まあ子供なのだが)そう言い、シャンソンは嫌な顔一つせずフレイを抱き上げる。
「じゃあシャンソン、エントランスへレッツ・ゴー!」
そしてシャンソンとフレイは小走り程度の速さで去っていく。
「……って、ボンヤリしてる場合じゃない。追わないと……出て来い、リーテイル!」
イリスはリーテイルをボールからだし、その背に乗る。
「リーテイル、奴らを追ってくれ。とりあえずエントランスに向かって、先回りするぞ」
リーテイルはイリスの指示通り、エントランスへと飛ぶ。



今回は解放フレイが戦いましたが……ストータス強すぎですね、自分で書いておきながら。しかもこれで序列六位、レイは波があるにしても、他の四人はどんだけぶっ飛んでいるのやら……こうなれば、イリスもそろそろ特訓が必要そうですね。ちなみにフレイは一文に必ず伸ばし棒が付いているのが特徴ですが(バトル回数少ないのはそれが原因だと後で気付いた)、解放すると必ずではなく、大抵付いているに変化しています。まあ、些細な変化ですね。では次回は、皆電子音を合図にある場所へと向かっていますが……いや、どこに行くかはフレイが言っていますけどね。というわけで、次回は入口です。……なんか締まらない。けどいいや、次回もお楽しみに。