二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 317章 部品 ( No.376 )
日時: 2011/10/23 21:16
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「くっ、コモラゴン……!」
ソンブラは悔しそうに、戦闘不能となったコモラゴンを見下ろす。
「……流石に、もう看過できないね」
不意に、ソンブラはそう言った。
「ゲーチス様も、エレクトロ様も、他の人達も、英雄にはまだ利用価値があるとか言ってるけど、もう限界だ。これ以上、自分の居場所を蹂躙されちゃあ、黙ってはいられない」
ソンブラはコモラゴンを戻したボールを、強く握り締める。
「聖電隊のモットーは、『全てを晒さない』。これは、自らの全力は早計に明かしてはいけないという意味だ」
確かに、エレクトロはいつもいつも、他の7Pが本気を出そうという時に現れては、止めにはいっていた。初めて解放を見せたのはエレクトロだったが、それでもいまいち全力を出しているという風にも見えなかった。
「だから僕もそれにならって、全力を抑えてきた……でも、もう我慢できない。プラズマ団を、僕達の居場所を踏み躙る君は、全力を持って叩き潰す!」
と、ソンブラが最後のボールを取り出す、その時だった

「コクジャク、電磁波」

どこからか微弱な、しかし人間一人を昏倒させるには十分な電磁波が放たれ、ソンブラの意識は闇に沈んだ。
即ち、倒れた。
「ったく、世話の掛かる奴だ。上司の命令も聞けないのか」
現れたのは、7Pフォレスと、そのポケモンであるコクジャク。
【仕方アルマイ。ソモソモ、全力ヲ見セナイトイウ『エレクトロ』ノ姿勢ガ異形ナノダ】
そしてもう一人、同じ7Pのドランだ。
「……7Pが二人も揃って、何のようだ」
フォレスはイリスの方を向くが、特に何も言わず、ポケットから携帯電話のような小型の機械を取り出す。
「ズルズキン、格闘と悪か……とりあえず、まずは二つか」
その機械を操作しながらフォレスは呟く。だがイリスには何を言っているのか不明だった。
「おい、一体何を——」
「うっせえな……わーったよ。今説明してやる」
フォレスは面倒そうに言う。
「俺達プラズマ団は今、古生代ポケモンというものを製造している真っ最中なんだ。このラボも、本当は俺らの拠点と言うより、工房だ」
「つまり、偽Nの情報はブラフだったと」
「そういうわけでもねえが、まあどう捉えようと構わん。で、その古生代ポケモンだが、こいつが曲者でな。そいつはカセットという部品みたいなのを装着しなきゃ、全力が出し切れねえのさ。カセットはいくつか種類があって、それぞれ効果が違うんだ」
フォレスは珍しく、長々と説明している。
「俺達は考えた。いっそカセットを一つに纏めてしまえばいいのじゃないかって。そしてその時から、数多にあるカセットの名称は、カートリッジとなり、それらを複合させた物をカセットと呼ぶことにした。俺達はカセットを作るべく、カートリッジを集めているんだが、そのカートリッジは全部で17ある……分かるか? ポケモンのタイプと同じ数あるんだ。で、俺達はポケモンからタイプごとに放出されている波動を集め、それを加工してカートリッジを作り、さらにそれを複合させてカセットを作る。ゲノセ……っと、古生代ポケモン自体はもうほとんど完成してるから、あとはカセットを作るだけだ」
フォレスは口を滑らせそうになるが、なんとか留まる。
「今んとこカートリッジは13個不足してる。だからその13タイプを収集するんだが——」
と、フォレスは手に持つ小型の機械をイリスに見せ付けた。
「これがその波動を収集する機械、名付けてPゲイザー。今お前のズルズキンから二つのタイプを収集したから、あと11だな」
なんだか知らぬ間に相手の計画が進んでいた。
話が長くなったが、つまりこのラボは重要ではあっても捨ててもいいような建物で、古生代ポケモンとやらの研究などが行われている。
そして今製造中なのが、カセットという古生代ポケモンには必須な部品。さらにそのカセットを作るためにはカートリッジが13個必要で、その13のカートリッジを作るためにフォレス達はポケモンから放出されるタイプごとの波動を集めていると。
「でも、それなら何で僕なんだ? お前らのポケモンを使った方が効率もいいだろうに」
確かにその通りだった。だがフォレスは間抜けに『あ、その手があったか』とか言ったりはしない。
「古生代ポケモンは対英雄用の兵器って名目で作られているからな。だったらお前のポケモンの力を使い、さらにそこに古生代ポケモンの力が加われば、お前よりも強くなるだろう?」
勿論そう単純な話でもないのだろうが、言いたいことは分かった。
そして、次にやることも。
「さあ、ばんばんポケモンを出してもらうぜ……コクジャク!」
【辛苦ヲ伝エヨ、『ワラガシラ』】
フォレスのコクジャクが下降し、ドランはワラガシラを繰り出す。
「7P二人……この状況は、きついな……!」
とイリスが思っていると

ズガァン!

爆音が響き渡り、P2ラボの壁は吹っ飛んでいた。
「な、何だ!?」
フォレスは慌てて吹っ飛んだ壁の方を見ると、そこには一つの人影があった。
「ムントさん……?」
それはムントだった。側には顎斧ポケモンのオノノクス。
「ちっ、こんな時に増援かよ。聞いてねえぞ。……?」
スッと、ドランが一歩前に出て、ムントに向かい合う。
「おいドラン……?」
フォレスがドランを呼びかけたその時

ドランの顔を覆うフードから、濁った藍色の光が迸る。

「お、おいドラン!」
フォレスは叫ぶが、ドランは全く相手にしない。
というか、ドランが解放した。
「……何がお前をそうさせたかは知らねえが、お前がその気ならそっちの奴はお前に任せる。英雄は、俺がやる」
言って、フォレスは左袖を捲くり、左腕に刻まれている、氷のような翼を露にする。刻印の形は、向き意外はフレイと全く同じだ。
「俺の左腕に刻まれているのは、キュレムの左翼。さあ、行くぜ」
そしてフォレスの左腕から、濁った緑色の光が放たれる。
「それじゃあ、プラズマ団の境界を、刻んでいくぜ」



今回はバトルのない回でした。フォレスはやたら長々と話していましたが、まあそんなに熱心に読まなくても構わないです。さらに最後の方ではムントが登場です。単独でP2ラボを探し、辿り着いたのです。そして7P、ドランが解放。ついでにフォレスも解放。次回はドランの意外な一面が見れるかも!?というわけで、次回もお楽しみに。