二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 341章 投擲 ( No.410 )
日時: 2011/10/29 22:21
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「行くぞ、マイビンテージ、ヤナッキー!」
デントが最後に繰り出すのは、棘猿ポケモンのヤナッキー。分類通り、尻尾には無数の棘が付いている。
「これで最後だ、頼んだぞ、ダイケンキ!」
イリスが最後に繰り出すのは、イッカクなどの海獣のような姿をした、イリスの第一期エース、ダイケンキ。
イリスの、最初のポケモンの、最終進化系だ。
「あの時のミジュマルが進化したんだね。君があえてヤナッキーに不利な水タイプを選んだのにはもう何も言わないが、それでも苦しいバトルになるのだけは、覚悟するんだね」
「覚悟なんて、トレーナを目指した時からとっくに決めてますよ」
「そうか。それは重畳……さあ、始めようか。ヤナッキー、アクロバット!」
ヤナッキーはアクロバティックな軽やかな動きでダイケンキに接近し、尻尾の一撃を見舞う。
「ダイケンキ、シェルブレード!」
ダイケンキは前足の鎧に隠された仕込み刀、アシガタナを抜刀し、水のエネルギーを纏わせてヤナッキーを切り裂く。
効果はいまひとつ、さらに晴天なので威力はかなり落ちているが、ヤナッキーを引き剥がすくらいはできる。
「ダイケンキ、追撃だ!吹雪!」
ダイケンキは跳び退ったヤナッキーに向かって猛烈な吹雪を吹きつける。
「ヤナッキー、ソーラービーム!」
ヤナッキーは太陽の光を受け、それを凝縮し、強力な光線として発射する。
光線は吹雪を突っ切り、ダイケンキに直撃した。
「くっ、ダイケンキ!」
効果抜群のソーラービームに呻くダイケンキだが、まだ倒れたりはしない。
「ダイケンキ、次はメガホーンだ!」
ダイケンキは頭の法螺貝のような形の鎧、その先端を角のように使い、物凄い勢いでヤナッキーに突き出す。
「ヤナッキー、かわしてローッキク!」
ヤナッキーはサッとその一突きをかわし、足払いを掛けるような下段蹴りを繰り出してダイケンキを攻撃。
「まだまだ、シェルブレード!」
ダイケンキはアシガタナを抜刀し、水のエネルギーを纏わせてヤナッキーを切り裂く。
「続けてメガホーン!」
ダイケンキは素早く体を90°回し、ヤナッキーの腹を勢いよく角で突く。
「くっ、ヤナッキー、奮い立てる!」
ヤナッキーは吹っ飛ばされながらも体勢を立て直し、自身を鼓舞して奮い立たせ、攻撃能力を高める。
「アクロバット!」
そして軽やかかつ俊敏な動きでダイケンキに接近、棘の付いた尻尾の一撃を叩き込む。
「ローキックだ!」
さらに前足の鎧に下段蹴りをぶつける。ダイケンキの鎧はほとんど防御の役割を果たしていないので、ダメージは普通に通るのだ。
「ダイケンキ、引き剥がせ!シェルブレード!」
ダイケンキはアシガタナに水のエネルギーを纏わせ、ヤナッキーを切り裂いて引き剥がす。
「吹雪だ!」
そしてヤナッキーが離れた所で、猛烈な吹雪を吹きつけるが
「ヤナッキー、ソーラービーム!」
ヤナッキーは強力な太陽光線を発射し、吹雪を貫いてダイケンキを吹っ飛ばす。
奮い立てるもあり、威力はかなりのものだ。
「ダイケンキ、まだやれるか?」
ダイケンキはゆっくりと起き上がり、力強く頷いた。
「よし、ダイケンキ、吹雪!」
ダイケンキは再度猛烈な吹雪を吹きつける。
「何度来たって無駄だよ。ヤナッキー、ソーラービーム!」
ヤナッキーは吹雪を貫く太陽光線を発射するが、しかし
「ダイケンキ、シェルブレード!アシガタナを投げつけろ!」
ダイケンキはアシガタナに水のエネルギーを纏わせ、あろうことか後足で立ち、二足歩行となる。
それだけでも驚きなのに、それだけでなく、ダイケンキはアシガタナを投げ槍——グングニルのように投擲する。
槍のように投げられた刀はソーラービームを貫き、ヤナッキーの体に突き刺さる。
「!」
デントは驚いたような表情をし、ヤナッキーにも隙が生まれた。
「そこだダイケンキ、吹雪!」
ダイケンキはヤナッキーの隙を見逃さず、猛烈な吹雪を吹き付けて攻撃し、ヤナッキーを吹っ飛ばす。
「しまった……ヤナッキー!」
ヤナッキーは吹っ飛ばされたが、しかしまだ戦闘不能ではなかった。なんたる根性だ。
「……今のって、一年前に僕のヤナッキーのソーラービームを打ち破って、止めを刺した技だよね」
「ええ、そうです。あの時はホタチでしたけど」
イリスとデントは、昔を懐かしむように回想する。
「僕は同じ轍を踏んだわけか……いやでも、今度はちゃんと耐え切った。勝負はここからだよ。ヤナッキー、アクロバット!」
「望むところですよ、ダイケンキ、シェルブレード!」
ダイケンキは水の刀を振るうが、ヤナッキーはその刀の軌道をすり抜け、ダイケンキの顔面に棘の尻尾の一撃を叩き込む。
「くぅ、メガホーン!」
ダイケンキは勢いよく角を突き出すが、ヤナッキーは大きく跳び退ってそれを回避する。
互いに体力はそろそろ限界。次の一撃で決まる事だろう。
「ヤナッキー、ソーラービーム!」
「ダイケンキ、ハイドロカノン!」
ヤナッキーは太陽の光を吸収した太陽光線を放ち、ダイケンキは荒れ狂う水を凝縮した水の弾丸を発射する。
太陽光線と水の弾丸がぶつかり合い、互いにせめぎ合う。
普通なら、奮い立てるで攻撃能力が上がっていて、なおかつ相性で有利なヤナッキーが打ち勝つだろう。しかし実際はそうではない。
ダイケンキはかなり消耗していて、体力が限界値まで来ている。となると、ダイケンキの特性が発動する。
イリスの第二期エース、リーテイル。このポケモンの特性はピンチになると草技の威力が上昇する深緑。そしてこのダイケンキの特性は、その水版、激流。
ダイケンキの激流の弾丸は、ヤナッキーのソーラービームを貫き、ヤナッキーを吹っ飛ばした。
「ヤナッキー!」
吹っ飛ばされたヤナッキーはとうとう戦闘不能となった。
サンヨウジムトライアルバトルフルコース、vsデント戦、通称メインディッシュバトルに、イリスは勝利した。
つまり、サンヨウジムで最も過酷で未だかつて誰も成し遂げることができなかったバトルフルコースを、イリスは制覇したのだ。



さて、今回はイリスの第一期エース、ダイケンキの登場です。ダイケンキの技は前作と全く変わっておりません。他のは大なり小なり変わっていますが。ダイケンキは少し調べれば分かると思いますが、結構凄いポケモンです。今回で描写したように、後足を使って二本足で立ちます。さらに映画を見た人は分かるやもしれませんが、前足の鎧ともいえないような小さな鎧から、やけにでかい仕込み刀を出せます。いや、ポケモンは奥が深いですね。それと、デントの口調はアニメ版を参考にしているのですが……クダリの決め台詞と同じくらい、書いてて恥ずかしいです。まあそんなことはさて置き、遂にサンヨウジムのバトルフルコース(略した)を制覇したイリス。次はシッポウシティに行くか、もっと重要なことをやるか。まあ、どうなるかは僕の気分次第です。では、次回もお楽しみに。