二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 346章 指令 ( No.418 )
日時: 2011/10/30 23:40
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「さあ行くよ。出て来てくれ、アリンセス!」
アーティの二番手は、女王蟻のようなポケモン、アリンセス。分類はワークロと同じく、蟻ポケモン。
だが働き者のワークロとは違いアリンセスは、なんだかふてぶてしい態度だ。
「……流石は女王かな? リーテイル、エアスラッシュ!」
リーテイルは背中の葉っぱを羽ばたかせ、空気の刃を無数に飛ばす。しかし
「アリンセス、防御指令」
アリンセスはどこからか無数の蟻——中には飛ぶものもいる——を呼び出し、密集させて壁のようにして、空気の刃を防御する。
「これは……」
イリスはこの技を知っている。以前ネジ山で戦った、シバのレディバルが使っていた技だ。
いや、それだけではない。
「攻撃指令」
今度も同じく無数の蟻を呼び出し、リーテイルを襲わせる。リーテイルは体を覆うように襲い掛かる蟻達に苦戦しつつも、なんとか振り払う。
「くっ、地味に厄介な技だな……リーテイル、ダイヤブラスト!」
「アリンセス、防御指令」
リーテイルは宝石のように輝く光線を発射するが、アリンセスが呼び出した無数のありに防がれてしまう。
「まだだ、リーフブレード!」
リーテイルは蟻達が去った所を狙ってアリンセスに接近、鋭い葉っぱで斬りつける。
「ロイヤルバーン!」
さらに自然の力を爆発させ、衝撃波でアリンセスを吹っ飛ばす。
「さらに追撃!エアスラッシュ!」
「そう何度も攻撃できると思わないことだよ。防御指令」
リーテイルは空気の刃を無数に飛ばすが、今度こそ無数の蟻に防がれる。
「アリンセス、攻撃指令」
アリンセスは無数の蟻を放ち、リーテイルを襲わせる。さらに
「回復指令」
またも無数の蟻を呼び出し、自分の体を覆わせる。中で何をしているのかは不明だが、蟻達が去るとアリンセスの傷は全て癒えていた。
「回復技か……!」
イリスは歯噛みするが、まずはリーテイルに纏わりつく蟻達をなんとかしなくてはならない。
「リーテイル、ロイヤルバーンで吹き飛ばせ!」
リーテイルは自分の周囲に自然の爆発を起こし、衝撃波で蟻達を吹っ飛ばす。
「リーフブレード!」
そしてアリンセスに急接近し、刃のように鋭い尻尾の葉っぱを振りかざし、振り下ろすが

「アリンセス、サイコバーン!」

アリンセスは念動力の爆発を起こし、リーテイルを吹っ飛ばす。
「リーテイル!」
見事なカウンター攻撃にリーテイルは何もできず、壁に激突。そのまま崩れ落ち、動かなくなった。戦闘不能だ。
「くっ、戻れリーテイル」
イリスはリーテイルをボールに戻す。
「あの指令技が厄介だな……」
イリスはしばし考え込み、アリンセスの指令技を打破できるポケモンを選ぶ。
「……破れるかどうかは微妙だけど、やるっきゃないか。出て来い、デンリュウ!」
イリスの二番手はデンリュウだ。
「デンリュウ、パワージェム!」
デンリュウは額から、煌く宝石を無数に飛ばす。
「アリンセス、防御指令」
だがアリンセスは無数の蟻を呼び出し、壁を作ってデンリュウのパワージェムを防御する。
「攻撃指令」
「パワージェム!」
アリンセスは攻撃用の蟻を放つが、デンリュウは煌く無数の宝石を発射して蟻達を蹴散らす。
「炎のパンチ!」
そして拳を握り、炎を灯してアリンセスに殴り掛かる。
「ふふ、無駄だよ。アリンセス、防御指令」
アリンセスは防御用の蟻を展開して壁を作るが

蟻達は炎に燃え、次々と焼け落ちていった。

「!?」
よく考えれば分かることだ。
いくら防御が堅くても、所詮は蟻。火をつけられれば、燃えてしまう。
「アイアンテールだ!」
デンリュウは尻尾を鋼のように硬化させ、思い切りフルスイングする。
「くっ、アリンセス、サイコバーン!」
アリンセスは慌てて念動力の爆発を起こすが、咄嗟の事だったのでエネルギーが不十分で、アイアンテールに突き破られてしまう。
「パワージェム!」
「防御指令だ!」
デンリュウが飛ばす無数の宝石を、アリンセスは呼び出した蟻を盾にして防御するが
「無駄ですよ、雷!」
デンリュウは雷鳴轟く雷をアリンセスに落とす。アリンセスは反射的に防御用の蟻を展開するが、蟻達は雷に撃たれて炎上する。
蟻が燃えれば勿論アリンセスにも火が移り、アリンセスの体は焼けていく。
「ア、アリンセス、回復指令だ!」
アリンセスは慌てて回復用の蟻達を呼び寄せ、体の火を消し、傷を癒す。
「デンリュウ、炎のパンチ!」
デンリュウは炎を灯した拳を構え、アリンセスに殴り掛かる。
「防御指令は使えない。ならアリンセス、サイコバーンだ!」
アリンセスは念動力の爆発を起こし、デンリュウを迎撃。
「攻撃指令!」
さらに攻撃用の蜂を放ち、デンリュウの体に地道に攻撃していく。
「デンリュウ、アリンセスに飛びつけ!」
デンリュウは纏わりつく蟻達を無視し(虫なだけに)60cm程度しかないアリンセスに覆いかぶさるように抱きつく。
「な、何を……!?」
アーティはその奇行に驚き、疑問符を浮かべるが、デンリュウが何をするかはすぐに明らかになる。
それは

「デンリュウ、雷だ!」

デンリュウは自分に向けて——いやアリンセスに向けてなのだが、今はアリンセスとほぼ一体化しているため自分にも向かってくる——雷を落とす。
するとデンリュウの体に纏わりつく蟻達は燃え上がり、デンリュウ、そしてアリンセスも同じように炎上する。
「アリンセス!」
しばらく炎は燃え、消えた時にはデンリュウもアリンセスも戦闘不能となっていた。
「……戻れ、アリンセス」
「よくやったよデンリュウ、戻ってくれ」
アーティとイリスは、それぞれのポケモンをボールに戻す。
「君も無茶をするね、蟻達を一掃するために雷で自分を撃って相打つなんて」
「そのくらいしなきゃ、面白くないじゃないですか」
イリスは笑って言う。
「さて、次が最後ですね。作品のインスピレーションとやらは見つかりましたか?」
「……どうだろうね」
イリスとアーティは、それぞれ最後のボールを構える。



イリス対アーティ、第二戦です。アーティの二番手は恐らく分かったでしょうアリンセス。アリンセスはあまり自分では動かず、指令技を駆使して戦いますが、肝心の蟻達はデンリュウの炎のパンチや雷で焼け死んでいきます。可哀想ですね。最初は小型のワークロにしようかとも考えましたが、そうするとあまりにもワークロが悲惨になってしまうので、普通の蟻にしました。……いや、もっとちゃんと考えれば、アリンセスの指令技を回復指令だけ、もしくは指令技をなしにすればよかった気もします。まあ、終わった事はもういいとして、次回予告。次回はイリス対アーティ、決着です。アーティの切り札は、例のあれです。お楽しみに。