二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 357章 岩窟 ( No.443 )
日時: 2011/11/03 15:37
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

”英雄よ、少しよいか?”
その後、イリスとコバルオンはリオ、キリハ、老人と合流した。老人含めその三人はイリスとコバルオンが一緒に来たことに大層驚いていたが、それもすぐに収まった。
そしてコバルオンは、唐突にイリスに尋ねる。
「ん? 別にいいけど……なに?」
”我は確かに人間を信じてみようと思ったが、それはあくまで我だけだ。他の救世主……テラキオンとビリジオンは、まだ人間を信用していない。一応、我は他の二体と思念が繋がっていて、今し方伝えた所だが、恐らく、納得していないだろう”
コバルオンは言う。
”だからか向こうからも思念が送られてきた。その二体曰く、他の人間と戦い、人間が勝利したならば力を貸すと、テラキオンもビリジオンも言っていた”
つまりテラキオンとビリジオンは、イリス以外の誰かと戦い、その誰かが勝利すればコバルオン同様に力を貸してくれるというわけだそうだ。
「そうか……となると、その誰かが誰になるのかが問題になるけれど——」
”む? 英雄”
イリスの言葉を、コバルオンは遮った。
”今同時に二人の人間が、テラキオンの潜む試練の室と、ビリジオンの潜む思索の原の領域に入った。その波動を読み取るからに、恐らく貴様と親しい者だ”
コバルオンは言った。というか、レーダーみたいだ。
「僕と親しい者……? ……誰だかは知らないけど、今は一分一秒が大事だ。その誰かにそこは任せよう」
とにかく、ここから出なくてはとイリス達はフキヨセの洞穴をさ迷い歩く。



チャンピオンロード。
ポケモンリーグへと続くこの険しい山は、野生のポケモンも強く、トレーナーにとっては格好の鍛錬場所だった。
そして未だチャンピオンを目指すチェレンは、そこで修行をしていたのだが、ある時、今まで見たことのない穴を見つけた。
「なんだろう、ここ……?」
チェレンはいぶかしむものの、興味本位でその穴の中へと入っていく。すると中には
「……なんだ、これ。ポケモン……?」
中には岩石の塊のようなポケモンがいた。
有蹄類のような姿をし、胴や足は太く屈強な体躯。体色は岩石を思わせる灰色は基調。そして最も特徴的なのが、側頭部から生える非常に太い角。その角は前方に曲がって伸びており、その体と相まって鹿や馬というより、巨大な野牛のようなポケモンだ。
”……御主は、コバルオンの言っていた人間か?”
そのポケモンはゆっくりと顔を上げ、そう言った。いや、言ったというより、テレパシーのように脳に直接響いてくるようではあるのだが。
”某の名はテラキオン。知っているとは思うが、その昔、救世主と呼ばれしポケモンの一角だ”
知らない。とチェレンは素直に思った。
”コバルオンは人間を信じたようだが、某らはまだ納得がいかん。しかしコバルオンが認めたのであれば、それを切り捨てる事もできん。なので、某は今から御主と戦う。それに御主が打ち勝てば、某も御主らに力を貸そう”
何の話だ、とチェレンは素直に思う。説明が欲しい、とも。
”では行くぞ、黒き少年よ!”
言うと、テラキオンはチェレンへと突進してきた。
「……なんか面倒な事に巻き込まれたっぽいけど——」
ギイィン!
と、鋭い音が響く。
「それで僕がまた高みへと上れるなら、本望かな」
チェレンは素早くカモナイツを繰り出しており、カモナイツは二本のネギでテラキオンの角を止めていた。
”ほう、救世主随一の怪力を持つ、某の突進を受け止めるとは。なかなかやるではないか”
テラキオンはその鈍重そうな体とは裏腹に、軽快な動きで後ろに跳び退った。
「カモナイツ、ビルドアップ」
カモナイツは筋肉を増強し、物理能力を高める。
「リーフブレード!」
そして二本のネギを構え、テラキオンに斬り掛かる。
”降り注げ、礫の雪崩!”
テラキオンは地面を踏み鳴らすと、虚空より大量の岩石を降り注いでカモナイツを攻撃。
だがカモナイツはリーフブレードで、その岩を全て切り裂いた。
”まだ行くぞ。断ち切れ、交差の剣!”
テラキオンは角を交差させながらカモナイツを切り裂いた。
「シザークロス……カモナイツ、ここは能力を上げるよ。ビルドアップ」
カモナイツはとにかく能力を上げ、攻撃に備える。
「ブレイブバードだ!」
カモナイツは全身に燃え盛る炎のようなエネルギーを纏い、テラキオンに突っ込む。
”降り注げ、礫の雪崩!”
テラキオンは虚空より大量の岩石を降り注ぎ、カモナイツを攻撃しようとするが、カモナイツが纏うエネルギーによって岩石は次々と砕かれ、テラキオンはブレイブバードの直撃を喰らう。
「そこだ、鋼の翼!」
さらにカモナイツは鋼のように硬化させた翼をテラキオンに叩きつける。
ビルドアップでその威力は二倍ほどに増強されているため、かなりのダメージだろう。
”断ち切れ、交差の剣!”
だがそこは流石テラキオン。そんなカモナイツの攻撃にものともせず、すぐさま角を交差させて斬り掛かり、切り返す。
「くっ、鋼の翼!」
”遅いぞ。降り注げ、礫の雪崩!”
カモナイツが鋼の翼を繰り出す前に、テラキオンは大量の岩石を降り注いでカモナイツを押し潰す。
「カモナイツ、飛び出ろ!」
岩雪崩はカモナイツに効果抜群だが、カモナイツはビルドアップで防御も二段階上昇している。なのでそれなりにダメージは受けたものの、致命傷にはならず岩石の山の中から飛び出す。
「行くよカモナイツ、ブレイブバード!」
カモナイツは燃え盛る炎のようなエネルギーを身に纏い、凄まじい勢いでテラキオンに突っ込む。
しかし

”切り裂け、正義の刃!”

テラキオンはその巨躯からは考えられないような俊敏な動きでカモナイツの攻撃を回避。そして光り輝く角でカモナイツを切り裂く。
しかしカモナイツは物理防御が高まっている。なのでそれでやられることはないはずなのだが
「カモナイツ!」
カモナイツは戦闘不能となった。
”聖なる剣は、相手の如何なる強化をも無効にする。戦の鳥よ、御主がいくら自身を強化したところで、某の剣はその強化を無視し、切り裂くぞ”
つまり今の斬撃は、相手の能力変化に影響されず攻撃できる技、ということだろう。
「……戻れ、カモナイツ」
チェレンはカモナイツをボールに戻し、次のボールを構えた。
「これはとんだ、大物が掛かったものだな」
面倒だ、とチェレンは呟くも、その表情は楽しそうだった。



今回はテラキオンの登場です。そして今作になって影が薄くなった人その二、チェレンがその相手を務めます。いやでもテラキオンってビックリですよね。あんなゴツイ体してるのに、素早さは他の二体と変わらないって。それに、攻撃力も高いですしね。ただ見た目がちょっと残念ですが、そこはまあ、目を瞑りましょう。では次回もチェレン対テラキオンですが、このバトルも早急に終わらせるつもりですので。では次回もお楽しみに。