二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 379章 退化 ( No.481 )
- 日時: 2011/11/22 01:01
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
その二人が出会ったのはたまたま、偶然だろう。
何故なら、方や迷い人を探して暗い洞窟を彷徨っている男。方や洞窟の最奥部を目指している男。この二人が出会う可能性は決して低くはないとはいえ、バッタリと出くわすというのは些か運命的な何かを感じる。
……まあ、敵との運命と言ったら、ロクなものはないだろうが。
「リオはどっか行っちゃうし、探してたら敵に見つかるし……今日の運勢は悪いかな」
「俺としてもこの状況は好ましくないな。俺に与えられた任務はケルなんちゃらの捕獲だってのによ……見張りの下っ端は何してやがんだか」
出くわした二人とは、PDO隊員キリハと7Pフォレスだ。
ちなみに下っ端の大半は、リオにやられてしまっている。
「だがこうしてバッタリ出くわしちまった以上、見て見ぬ振りもできないか……」
「それはこっちも同じだよ、一応、最優先事項は君らの殲滅っていうのがPDOだからね」
フォレスとキリハは、それぞれボールを構える。
修行の岩場に最後に突入したのはミキだ。しかしミキは暗い洞窟をポケモンの技で必要最低限まで照らし、敵に遭遇しないように(ほとんどリオが潰しているが)先に進んでいたら、意外にサクサクと深層まで辿り着けた。
「ここまでで地下二階か……途中でほとんどプラズマ団は見なかったけど、意外と員数は少ないのかな?」
呟きつつミキは視線を落とす。その先には小さな人型のポケモン、ラルトスがいた。
そう、ラルトスだ。ミキはサーナイトというポケモンを所持していたのだが、ここにいるのはラルトス、その進化前だ。
「前に通信で師匠から送られてきたけど……退化なんて、あるもんなんだね……」
このラルトス(元サーナイト)は、いつしかミキがプラズマ団に囚われた時、フレイの気まぐれによってプラズマ団に奪われたものだ。
しかし先日、イリスがなんらかの手法でそのラルトスを奪還し、時期を見計らってミキに通信で送ってきたのだ。
だが喜んだのもつかの間、サーナイトはラルトスに退化していた。
その他は特に以上はなさそうだが、油断はできない。
「……まあそんなことで疑心暗鬼になってもしょうがないし、とりあえずは先に進まなきゃ。この調子で行けば、プラズマ団に出くわす事無く救世主の弟子だっていうポケモンの所に辿り着けるかもしれないし——」
「残念ながら、それは叶わないな」
ミキの言葉を遮る、青年の声。
その声の主は全身真っ黒な衣装で身を包み、完全に闇に溶け込んでいる。
ミキはいきなりの敵の出現に多少驚いたものの、すぐに気を取り直す。
「確か君は、英雄の弟子だっけ。僕達が捕獲しようとしているのも救世主の弟子らしいけど……まあ、関係ないか」
言ってる途中でつまらなくなったのか、彼は途中で適当な発言になる。
「……確か、前に師匠から聞いたかな。ソンブラ……だったっけ?」
「正解。まあ人名なんてそんな覚えるのに苦労しないから、褒めはしないけどね」
そう言いながらソンブラはモンスタボールを構える。流石にボールまで黒く着色したりはしない。
「本当なら今すぐにでも救世主の弟子の所に行きたいんだけど、持ち場放棄はまずい。もし仮に何かあった時のためにとこの場所を離れなくて正解だったかな」
「……私としては、不正解だけど」
ミキも同じようにボールを握り込む。
そしてほぼ同時に、両者はポケモンを繰り出した。
「シャンデラ、シャドーボム!」
「ファントマ、シャドーボール!」
シャンデラの放つ影の爆弾と、ファントマの放つ影の球体がぶつかり合う。
両方同じような形の影の塊だが、中身が決定的に違う。ファントマのシャドーボールはただ影を固めただけだが、シャンデラのシャドーボムは炸薬のような、起爆剤が含まれている。
つまり二つの影の塊はぶつかり合った瞬間、単に相殺などされず、シャンデラの放った影が爆発し、炸裂したのだ。
「もう一発!」
爆発によって生じた砂煙を利用し、シャンデラは死角からもう一発影の爆弾を放つ。
影の爆弾がファントマに直撃した、とリオが思った刹那、ファントマの姿が消えた。
「え……? ……!」
そして次の刹那、シャンデラの後方から影の球が飛び、シャンデラに直撃。効果は抜群だが、致命傷ではない。
「残念でしたね。先ほども申し上げたように、ファントマは幻影を操るポケモン。砂煙に紛れて姿を隠し、偽るなど造作もないのです」
「そう、だったら……スタープリズム!」
シャンデラは広範囲に透き通るようなガラス球を降り注ぐ。地面に当たって砕けたガラスからは冷気が漏れ、ファントマの体力を微量ながらも削っていく。
「ふむ、大技を狙わず地道に攻める手ですか。ではこちらは、定石通りに攻めましょう。ファントマ、黒い霧」
ファントマは口から名前通り、深い闇のような漆黒の霧を吐く。霧は瞬く間にファントマを覆い、シャンデラを包み、エレクトロを隠し、リオを晦ました。
「煉獄!」
ファントマはどこかも分からぬ深き闇の中から、地獄の炎のような、禍々しい業火を放つ。
当然シャンデラは周囲が見えないので、その煉獄を回避することはできない。しかし炎タイプなので効果はいまひとつ、火傷状態にもならない。
「神通力!」
しかしファントマの攻撃は止まらない。ファントマはシャンデラの死角から神々しい念動力を衝撃波として放ち、シャンデラを攻撃する。
「ファントマは私のポケモンの中で最も弱いポケモンですが、解放状態で、このように相手の視界を奪う事ができれば、その力を十二分以上に発揮できます」
エレクトロの声だけが、暗い洞窟に反響してリオに聞こえてくる。
「確かにこれは、ちょっと厄介かもね……!」
リオとシャンデラは前方を睨みつけるように見据えるが、そこには深い闇があるだけだった。
今回はキリハとフォレス、ミキとソンブラのバトルフラグ。そしてリオとエレクトロのバトルでした。作者の癖にミキの奪われたポケモンを忘れていて、今になって後付けのように追加……一応、ラルトスはフラッシュに役立っています。今のところは。リオとエレクトロのバトルですが、火傷状態って炎タイプに効いたか効かなかったか……忘却してますね。効かなかった気がするんですけど……まあ、いいか。さて次回は各人のバトルを消化していきますが、そんなに長引かせないつもりです。では次回をお楽しみに。