二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 380章 霧 ( No.484 )
日時: 2011/11/22 23:59
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

視界は最悪。黒い霧に覆われ、敵の姿どころか、自分のパートナーであるシャンデラの姿すら不明瞭だ。
「ファントマ、シャドーボール!」
エレクトロの指示が聞こえ、次にシャンデラが攻撃を受ける音が聞こえる。
「くぅ……シャンデラ、大文字!」
シャンデラは大の字の巨大な炎を放つ。炎は黒い霧を一時的に消し去るが、ファントマには当たらず、霧もすぐに元通りに辺りを包む。そして
「煉獄!」
ファントマの攻撃が飛ぶ。禍々しい業火が霧の中から放たれ、シャンデラを襲う。
こちらの攻撃は霧のせいで当たらない。相手の攻撃は死角から来るので当たる。これの繰り返しだ。
「このままじゃジリ貧か……どうすれば……」
ファントマは攻撃力は大した事がないのか、シャンデラもあと数十発くらいならシャドーボールの直撃を受けても耐えられそうだ。しかし黒い霧のせいで攻撃が通らない。
「攻撃が当たらなきゃ、勝てるものも勝てない、か……シャンデラ、シャドーボム!」
シャンデラは当てずっぽうで影の爆弾を放つ。勿論、ファントマには当たらない。
「中々粘りますね。しかし、そろそろ投降なさってはどうでしょう? 貴方だって、大切なポケモンが幻影に飲まれていく様を見たくはないでしょう」
「それは愚問ね。投降なんて選択肢は元よりないし、飲み込まれるのはあなたのファントマよ。それも、シャンデラの炎でね」
と気丈に振舞ってそう返すが、その瞬間、影の球が飛んできた。死角からの攻撃なのでシャンデラも完全にはかわせず、攻撃を受けてしまう。
「ここからは、少々ペースを上げていきますよ。ファントマ、神通力です!」
ファントマは神々しい力を固め、衝撃波のように放つ。リオとシャンデラからすれば、それは闇の中から視認できない衝撃波が飛んできたのと同義で、シャンデラもその攻撃は直撃を喰らった。
「煉獄」
さらに今度は禍々しい業火が放たれる。シャンデラはその炎に包み込まれ、効果いまひとつとはいえ確実に体力を削られている。
「シャンデラ、スタープリズム!」
シャンデラは急いで無数のガラス球を降り注ぎ、冷気を辺りに充満させて炎を消す。
「シャンデラ、サイコキネシス!」
リオの名誉のために言っておくが、リオは真っ先にサイコキネシスで黒い霧を吹き飛ばそうとした。それは普通に考えうる限り最善の手だろうが、しかしエレクトロにその作戦は通じない。
「神通力です」
ファントマはシャンデラが放った念動力に、神通力をぶつけて相殺する。
サイコキネシスで霧を吹き飛ばそうにも、その前に神通力で相殺されてしまうため、その作戦は使えない。だからリオはこうして、ファントマに苦戦している。
「……シャンデラ、最大火力で大文字!」
シャンデラは今までで最大の力を振り絞り、超巨大な大の字の炎を放つ。炎は一時的に黒い霧を消し去り、ファントマに襲い掛かるが
「くっ、どうして当たらないの……!?」
普通に考えて避ける事は不可能なほど巨大な炎は、ファントマには当たった様子がなく、すぐに辺りは黒い霧に覆われる。
「簡単なことですよ。先ほども申し上げましたように、ファントマは幻影を操るポケモン。貴方が一時的に黒い霧を掻い潜ってファントマを見つけても、それは幻影。黒い霧とファントマ固有の技術により、貴方の攻撃は通用しません」
闇の中から、エレクトロの声が聞こえ、刹那、影の球が飛来しシャンデラに直撃する。
「シャンデラ!」
シャンデラは少しぐらついたが、すぐに体勢を整える。
目の前に広がるのは漆黒の闇。そこに潜むのは幻影の亡霊。
リオとシャンデラはそれらに苦しめられ、未だ抜け出す術を見つけてはいない。

……この二人の戦場に、一つの影が近づいている。しかしそれは、まだ誰も知りえない……



「駆けろ、ユニサス!」
「出番だ、マカドゥス!」
キリハの一番手は、ユニコーンのようなポケモン、ユニサス。
フォレスの先鋒は、サーベルタイガーのようなポケモン、マカドゥス。
「ユニサス、メタルブラスト!」
先に動いたのはユニサスだった。ユニサスは大量の鋼鉄の物質を光線のようにマカドゥスへと発射する。
「マカドゥス、ダイヤブラスト!」
マカドゥスも宝石のように輝く白色の光線を発射して対抗する。しかしダイヤブラストは岩タイプの技で、鋼タイプ技のメタルブラストとは相性が悪い。なので白色の光線はメタルブラストの威力を緩和して消え、大量の鋼がマカドゥスを襲う。
「サイコバレット!」
メタルブラストを喰らって怯んだマカドゥスに、ユニサスは銃弾のような念動力を連射して追撃をかける。
「ちっ、磁力線!」
マカドゥスは襲い掛かる銃弾を、強力な磁力の波を放って相殺する。
「雷だ!」
そしてすぐさま轟く稲妻をユニサスへと落として攻撃。マカドゥスは特攻が高いので、相当なダメージだ。
「強い……これが解放状態ってやつか」
「ま、そんなとこだ。マカドゥス、悪の波動!」
マカドゥスは悪意に満ちた波動を直線的に放つ。
「ユニサス、かわしてメガホーンだ!」
ユニサスは横にステップするように悪の波動をかわし、角を構え、マカドク目掛けて突進する。
「近づかせるな、磁力線!」
マカドゥスは接近させまいと強力な磁力の波を放ってユニサスを攻撃。しかしユニサスは鋼タイプ、なので当然鋼タイプの技には抵抗があり、威力を軽減できる。そのため止まる事無く、ユニサスの角はマカドゥスに突き刺さった。
「ワイルドボルト!」
角の一突きを受けて怯んだマカドゥスに、ユニサスは立て続けに攻撃を繰り出す。
ユニサスは全身に弾ける電撃を纏ってマカドゥスに突撃。マカドゥスは吹っ飛び、宙を舞う。
「貰った、メタル——」
キリハがチャンスだと滞空状態のマカドゥスに攻撃の標準を合わせた、その時

「雷」

轟々と雷鳴が轟き、マカドゥスが放つ、容赦のない稲妻がユニサスを襲う。
「っ! ユニサス!」
誘われた。マカドゥスは自ら空中に吹っ飛ぶ事でユニサスの攻撃を誘い、その溜め時間を利用して再度激しい雷を放ってきたのだ。
「さて、マカドゥスの雷を二発も喰らえば、そうは持たねぇだろ。ちゃっちゃと決めるぜ」
「くっ……」
己の危機にキリハは歯噛みする。

……そんな二人の戦場に、一つの影が忍び寄っている。しかしそれを知る者は、まだどこにもいない……



今回はリオとエレクトロのバトル、及びキリハとフォレスのバトルです。リオはエレクトロのファントマに苦しめられています。ちなみに補足しますと、ファントマは洞窟などの狭い密閉空間でこそ真価を発揮します。これが見晴らしがよく、そよ風の吹く屋外だったら。黒い霧はすぐに吹き飛ばされてファントマはフルボッコにされます。キリハとフォレスのバトルは、なんだか短いですが気にしません。さて次回はミキとソンブラのバトルですね。もしかしたら今回出て来た謎の影も出るやも知れません。次回もお楽しみに。