二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 383章 神秘 ( No.494 )
日時: 2011/11/27 00:30
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

”押し流せ、加圧の水流!”
ミキがボールを握り込み、ポケモンを繰り出す直前。ケルディオは大量の水を放った。
その狙いはミキではない。その隣にいるゴルドーでもない。
ラルトスだ。
「っ!? ラルトス!」
あまりにも突拍子のない不意討ちに、ラルトスはあえなく吹っ飛ばされる。
「卑怯な……!」
”人間がその言葉を言う資格はないよ”
ミキが呻くと、ケルディオはすかさず反論する。
「……ラルトス!」
ミキはケルディオのことはひとまずおき、ラルトスが吹っ飛ばされた方向へと走り出す。
あのハイドロポンプは相当な威力だ。ラルトスでは一撃でやられているだろう。そう思って駆け寄ると
「……!?」
突如吹っ飛ばされたラルトスが光り輝き、その閃光の中で自らの形を変化させる。
「これって……進化……!?」
光が収まると、ラルトスは違うポケモンへと進化していた。
キリッとした顔立ち、長い金髪に左右の盾。そして人形のような出で立ち。
ドールポケモン、キルギシア。ラルトスの進化系統の一つだ。
「キルギシア……キルリアじゃなくて、別のポケモン……」
なにはともあれ、ラルトスはキルギシアに進化し、ある程度は戦えるようになった。
「うん。じゃあ行くよ、キルギシア。さっきの不意討ちの分をしっかり返さないとね。電撃波!」
キルギシアは左右の盾に電撃を纏わせ、両側からその電撃を波として放つ。
”くっ……!”
電撃波は必中技なのでケルディオは避けられない。しかしそれでやられるケルディオでもない。
”流れ込め、清水の清流!”
ケルディオはその身に水を纏い、超高速でキルギシアに突っ込んでくる。
「キルギシア、鉄壁!」
キルギシアはその突撃を左右の盾を鋼鉄のように硬化させる事で止めた。
「サイコキネシス!」
そしてすかさず反撃。ケルディオは念動力で持ち上げられ、岩壁に叩きつけられた。
”くぅ……切り裂け、正義の刃!”
ケルディオは角を聖なる光で発光させ、キルギシアに斬り掛かる。
「鉄壁で防御!」
キルギシアは自慢の盾でその斬撃を防ごうとするが、斬撃は盾をすり抜け、キルギシアを切り裂いた。
「え……? キルギシア!」
幸い効果いまひとつなので大事には至らないが、ミキの心中には鉄壁をすり抜けた不可解な疑問が残る。
”師匠直伝のこの《聖なる剣》。これは如何なる防御をも貫く正義の刃だ。そんな防御は意味がないよ。押し流せ、加圧の水流!”
ケルディオは大量の水を薙ぎ払うように発射した。キルギシアは左右の盾でそれを防ぎ、直撃は免れるが、結構なダメージを負った。
「くっ、キルギシア、願い事」
キルギシアは天に治癒を願う。これでしばらくすればキルギシアの体力は回復される。しかしそれまでにキルギシアがもつものか。
”切り裂け、正義の刃!”
そうこうしているうちにケルディオが光る角を構えて肉薄する。キルギシアは決して機敏ではない動きでその斬撃をかろうじてかわす。
「キルギシア、サイコキネシス!」
”遅い! 流れ込め、清水の清流!”
キルギシアが念動力を放つ直前、ケルディオが水を纏って突っ込み、キルギシアはあえなく吹っ飛ばされる。
「キルギシア!」
キルギシアは大きく吹っ飛び、近くの岩塊に激突。盛大に破片を飛び散らせながら、その岩に埋もれていく。
この一撃でキルギシアの生存は絶望的だろう。
しかし奇跡というものは気まぐれで、起こる時に起こるものだ。
偶然キルギシアが激突した岩が宇宙より降ってきた隕石で、その中には月の成分を多量に含む石が紛れ込んでいたことも、気まぐれの起こす奇跡。
しかしその後に起こる進化は、必然だ。
「え……?」
岩塊に埋もれながらも光り輝くキルギシアに、ミキは呆然とする。それもそうだろう。まさか一日で二度も同じポケモンが進化をするなんて、滅多にあることではないのだから。
光が収まり、ゆっくりと岩塊から姿を現したのは、これまた人形のような出で立ちのポケモン。
両手には大きな盾、キルギシアの時よりもさらに女性的な印象を受ける。
ドールポケモン、シルドール。
「今度はシルドール……この状況で、こんなに進化するなんて……」
軽く感動するミキだが、すぐに気持ちを切り替え、ケルディオの方へと向く。
「あんまり感動してる場合でもないか。一気に行くよシルドール、エナジーボール!」
シルドールは自然の力を込めた緑色の球体を二つ、ケルディオへと放つ。
”流れ込め、清水の清流!”
だがケルディオは水を纏って超高速の突進を繰り出し、それらの球を回避。シルドールへと突っ込んでいくが
「鉄壁!」
シルドールの鋼よりも硬い盾に、その突撃は阻まれる。
”だったらこれででどうだ! 切り裂け、正義の剣!”
ケルディオは角を光り輝かせ、シルドールに斬り掛かる。
「シルドール、サイコバーン!」
シルドールは念動力の爆発を起こし、角を振りかぶるケルディオにその衝撃波をぶつけて吹っ飛ばす。
ケルディオは意表を突かれた攻撃に一瞬呆然とするが、すぐに気を取り直し、水面に着水。
”ぐぅ……押し流せ、加圧の水流!”
「シルドール、防御!」
ケルディオは大量の水を発射するが、しかしその水はシルドールの盾により阻まれる。
「残念だったね。このシルドールは、昔から——サーナイトの時から——特防が高かったんだ。直撃ならいざ知らず、盾で防御できれば特殊技は効果がないよ。シルドール、次行いくよ。鬼火!」
シルドールはゆらゆらと揺れる不気味な青白い炎を放つ。しかしその鬼火はケルディオの放った水流に全て消火されてしまう。
”……そうか。物理技は鋼の盾で防いで、特殊技は効かないって言うんだね”
ケルディオは自分が不利な状況にありながらも、全く焦っていなかった。
”だったら、師匠達の技を基にして創ったこの技を使う。この刃で最初に切り裂かれるのは君のようだ”
ケルディオは精神を集中させ、力を溜める。そして

”切り離せ、神秘の白刃!”

ケルディオは白く神秘的に発光する角を一振りし、光の斬撃を飛ばす。
(特殊技……だったらシルドール、防御だよ)
テレパシーでミキからの指示を受け取ったシルドールは、両手の盾を前面に押し出し、その白刃を防ぐ——

しかし、白刃はシルドールを切り裂いた。

「!? シルドール!」
切り裂かれた場所が悪かったのか、その一撃を喰らうとシルドールは戦闘不能となってしまった。ラルトス、キルギシアでのダメージも溜まっていたのだろう。
「……今の技は、一体……?」
ミキの心中には、新たな疑問が湧きあがる。



今回はミキ対ケルディオ、その一です。ラルトスはキルギシアに進化、そしてすぐシルドールに進化しました。しかしシルドールはケルディオの自作技に破れてしまいます。どんな技かは、次回明かしますが、まあ、勘のいい人なら分かるやもしれません。ちなみに、ケルディオが使える技かどうかは微妙です。使えないかもしれませんが、その辺は作者都合ということで。では次回もミキ対ケルディオです、お楽しみに。