二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 410章 根競べ ( No.550 )
日時: 2012/12/11 21:15
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「戻れ、デンリュウ」
 イリスはデンリュウをボールに戻す。繰り出したばかりのポケモンだが、フォリキーは物理攻撃だろうと特殊攻撃だろうと受け切ってしまうのなら、デンリュウにできることはほとんどない。
 そしてイリスは、次なるポケモンを繰り出す。
「出て来い、デスカーン!」
 繰り出されたのは、最初にメタグロスと戦い戻されたデスカーンだ。
「デスカーン……何を考えているのかは概ね理解できますが、それでもあえて言うなら、そのポケモンの攻撃は通りにくい……ノーマルタイプを併せ持つフォリキーには、ゴースト技は効きません」
「それはそっちも同じですよ。ゴーストタイプのデスカーンには、ハイパーボイスは効かない。それに、攻撃するのはこいつの本分じゃありません。それじゃ——」
 イリスは一瞬だけデスカーンと目配せし、指示を出す。
「デスカーン、パワーシェア!」
 刹那、デスカーンが淡く光り、その光がフォリキーへと吸い付く。そしてフォリキーからも光が伸び、デスカーンに付き、二匹を繋いでしまう。
 だが、やがてその光も消えた。
「パワーシェア……瞑想で上がった特攻を抑えるつもりですか」
「ええ、まあ。デスカーンの防御能力が高いと言っても、あれだけ瞑想したフォリキーの攻撃を、受け切るのは難しいでしょうし。じゃ、次行きますよ。デスカーン、鬼火だ!」
 デスカーンは周囲に青白い火の玉を無数に浮かべ、ゆらゆらとしたつかみどころのない動きで、鬼火を放つ。
「フォリキー、ハイドロポンプです」
 しかしいくら軌道が読みにくい動きでも、広範囲に向けて薙ぎ払うようにして発射された高圧水流の前では、呆気なく鎮火してしまう。
「もう一撃、ハイドロポンプ」
「シャドーボール!」
 フォリキーは続けて水流を放つも、デスカーンが放った影の球を流れの側面にぶつけられ、軌道が曲がる。
「この隙にサイコキネシス!」
「させません、ハイパーボイス」
 デスカーンは念動力でフォリキーを操作しようとするが、強烈な音波で相殺されてしまう。
「ハイドロポンプ」
「耐えろデスカーン! 鬼火だ!」
 やはりカトレアのポケモンは、切り返しが速い。音波の後にすぐさま放たれた水流が、デスカーンを襲う。しかしパワーシェアで特攻が分割されたためにダメージはそれほど多くない。
 そしてカトレアほどではないにしろ、デスカーンもすぐに切り替えして青白い鬼火を放つ。
「打ち消しなさい、ハイパーボイス」
 ゆらゆらと揺れながら迫ってくる火の玉に対し、フォリキーは回避することを放棄し、大音量の声による衝撃波で打ち消そうとするが、
「させませんよ、サイコキネシス!」
 直前でデスカーンが念動力を放ち、音波を相殺。加えていくつかの鬼火も操作し、さらに不規則な軌道となる。
「くっ……ハイドロポンプ」
 ここで初めてカトレアが焦るような表情をする。
 フォリキーは高圧水流を勢いよく噴射するが、それで消せた鬼火は一部。一部の鬼火はデスカーンが操作しているため、サッと水流をかわし、フォリキーへと接近。遂にその身体に到達し、焼き焦がしていく。
「……嵌まってしまいましたか」
 カトレアは諦めたように嘆息した。この時点でイリスの作戦がほとんど成功していることをカトレアは悟っており、もうフォリキーでは勝てないだろうことも、分かってしまったからだ。
 イリスの作戦は、作戦とも言えないような当たり前の戦法だ。それがデスカーンなら尚更である。
 カトレアのフォリキーは、瞑想とワンダールーム、そして空間を削り取る自身の尻尾を巧みに操り、あらゆる攻撃を受け切ってしまうのが、厄介な所だ。
 しかしそれは、通常の攻撃の場合だ。つまり、鬼火による火傷や、毒、呪いなどの状態異常は、普通に通じる。
 加えて言うなら、フォリキーは瞑想で特攻も上がっているが、デスカーンはパワーシェアでそれすらも抑制しているため、あとはもう根競べ。フォリキーがデスカーンを押し切るか、デスカーンがフォリキーの攻撃を耐えきるかの二択だ。そしてそれは、どっちに転ぶか、もうほとんど答えが出ているようなものである。
「……ですが、希望を捨てないため、後続のポケモンのため、そしてなによりアタクシの矜持のため、アタクシもフォリキーも諦めません。フォリキー、瞑想」
「無駄ですよ。パワーシェア」
 フォリキーは精神を研ぎ澄まして精神を集中させるが、その間にもデスカーンが互いの攻撃能力を二分割し、分け合ってしまうため、上昇幅は小さい。
「ハイドロポンプです」
「サイコキネシスで押し返せ!」
 フォリキーが放つ水流を、デスカーンはサイコキネシスで押し返し、フォリキーにぶつけるが、念動力が放たれたと見るや否や、すぐ後ろの歪んだ空間を削り取り、防御<特防の状態にして退避する辺り、流石である。
「もう一度、ハイドロポンプ」
「ならこっちも、もう一回サイコキネシスだ!」
 再び水流が放たれるも、またも押し返される。同時に歪んだ空間を削って元の状態に戻し、そちらへ移動してダメージを抑える。
 お互いに有効打となる技がないためになかなか試合が進まないが、やはり勝敗は目に見えていた。
 フォリキーは一撃一撃を放つたびに、苦しそうにしている。火傷のダメージが蓄積しているのだろう。
「そろそろ決まるか……デスカーン、サイコキネシス!」
 デスカーンは触手のように影の腕を伸ばし、四方向から念動力による念波を放つ。距離を置いた四方からの攻撃のため、これはハイパーボイスやハイドロポンプでは打ち消せない。
「……たとえフォリキーが果てようとも、まだ勝負は終わっていない。次に続くポケモン達のため、最後まで戦い抜きます。フォリキー、ハイドロポンプ」
 とりあえずフォリキーは歪んでいない空間に居座り、念波を喰らいながらも高圧水流を放つが、カトレアのお株を奪うようにデスカーンはサイコキネシスで切り替えし、水流をフォリキーへとぶつける。
「……ここまでですか」
 そしてその一撃で、フォリキーは倒れ、戦闘不能となった。



今回はカトレア戦その五ですが、やっとフォリキーが倒れました。ポケモン二体倒すのに、まさか五章分も使用するとは思いませんでした。しかもまだ三体残ってる……。そんなわけで、フォリキー攻略方法は『状態異常で攻める』でした。まあ、分かる人には分かったでしょう。そういえば、ワンダールームとかパワーシェアって、積み技とかにも適応されるのかな……されなかったどうしよう……ま、いっか。では次回はカトレア戦その六です。お楽しみに。