二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 420章 太陽神 ( No.565 )
- 日時: 2012/12/22 03:26
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「輝かしき太陽の光と行け! ウルガモス!」
アデクの最後のポケモンは、太陽ポケモンのウルガモス。
黒い斑点のある、燃える炎のように鮮やかなオレンジの翅が三対。腹部は大きく、胴体から首回りにかけて白い毛で覆われている。
「ウルガモスか……炎・虫タイプのポケモンなら、確かにダイケンキとは相性が悪いな」
アデクがバッフロンでダイケンキを倒そうとしたのも頷ける。
だが、ウルガモスは炎タイプだけでなく虫タイプも持つ。つまり、草タイプには滅法強いが、飛行タイプに対しては弱いのだ。
「十分休めたとは言えないだろうけど、そこそこ回復はしたはずだ。ダイケンキの疲れが取れるまでの時間稼ぎと、少しでもウルガモスの体力を削る役目、任せたよ。リーテイル!」
ダイケンキと交代でイリスが繰り出すのはリーテイル。バッフロン戦でのダメージはまだ残っているものの、十分戦えるはずだ。
「リーテイル、エアスラッシュ!」
リーテイルは飛翔して背中の翼を羽ばたかせ、空気の刃を無数に飛ばす。
「ウルガモス、炎の舞!」
ウルガモスは全身に炎を纏い、空気の刃を焼き尽くしながらリーテイルに向かって直進する。
「かわしてエアスラッシュ!」
素早く横へと飛んでウルガモスの攻撃を回避し、今度は一発だけ空気の刃を放ち、ウルガモスを切り裂いた。
「続けてドラゴンビート!」
「させぬ! 虫のさざめき!」
続けざまに龍の鼓動のような音波を発射するが、ウルガモスも背中の翅をさざめかせることで強力な音波を放ち、ドラゴンビートを相殺する。
「暴風!」
ウルガモスはさらに翅を強く羽ばたかせ、強力な突風を発生させる。
「これは喰らうとまずいな……リーテイル、回避だ!」
暴風は攻撃範囲が広いため、反撃の余裕はない。リーテイルは全身全霊で襲い来る風をかわし、逃げ続ける。
「エアスラッシュ!」
やがて暴風が止むと、リーテイルはすぐさま攻撃に移る。背中の葉っぱを羽ばたかせ、無数の空気の刃を飛ばす。
「暴風で押し返せ!」
対するウルガモスは、なんと暴風で空気の刃を全て押し返してしまう。力技もいいところだ。
「暴風に加えてエアスラッシュも来るか……! リーテイル、全部避けようとするな! 暴風だけ気を付けろ!」
リーテイルにエアスラッシュと共に暴風が襲い掛かる。暴風は喰らえば致命傷は免れないので、それだけは確実に回避していく。押し返されて狙いがデタラメな空気の刃は、できるだけかわして致命傷になるような部位に当たることだけは避けるが、基本は無視だ。
そうして最低限のダメージで風の嵐を乗り切ったリーテイルは、反撃の反撃に出る。
「ドラゴンビートだ!」
大きく空気を吸い、龍の鼓動のような音波を発射する。しかし、
「虫のさざめき!」
ウルガモスも同様に音波を放ち、ドラゴンビートを相殺してしまう。
ここでイリスは気付いたが、リーテイルはウルガモスと相性が悪い。タイプの問題ではない。確かにリーテイルは炎技が弱点だが、当たらなければ問題はないし、こっちは飛行技で弱点を突ける。リーテイルは機動力が高いので、相手の攻撃を避けながらダメージを与えることだってそう難しくはない。
しかしアデクのウルガモスと、イリスのリーテイル。互いに似たような性質の技を持っているため、技が相殺されやすい。加えて攻撃能力はウルガモスの方が高く、技の威力も勝っている部分がある。
だからリーテイルがいくら攻撃しようとも、ウルガモスは簡単にそれを打ち消してしまうのだ。
「どうした? 来ないのならこっちも攻めに入るぞ。ウルガモス、炎の舞!」
ウルガモスは全身に炎を纏い、舞うように動きながらリーテイルへと迫ってゆく。
「くっ……連続でドラゴンビート!」
動きが不規則なので狙いが定め難く、リーテイルは連続で音波を放つ。
一発目、二発目はかわされたが、狙いを定めず適当に撃った三発目がヒットし、ウルガモスの動きが止まった。
「そこだ! エアスラッシュ!」
その隙を逃さず、リーテイルは空気の刃を数発発射してウルガモスを切り裂く。効果は抜群なので、ダメージは大きいはず、だが、
「暴風だ!」
ウルガモスはすぐさま翅を羽ばたかせ、強力な暴風を生み出す。
「効いていないのか……? いや、耐久力が高いのか」
ウルガモスは虫タイプの中でもわりと耐久力が高いポケモン。特に特防に関しては、生半可な攻撃で弱点を突いただけではほとんど効果がない。
リーテイルは襲い掛かる暴風をかわしていくが、突如、その進路の先にウルガモスが現れた。
「やばっ……リーテイル、避けろ!」
イリスはすぐに指示を出すが、その頃にはもう、ウルガモスは動いていた。
「炎の舞だ!」
全身に燃え盛る紅焔を纏い、ウルガモスはリーテイルに襲い掛かる。リーテイルも咄嗟に横へと進路を変えてウルガモスの攻撃をかわすが、ウルガモスは執拗にリーテイルを追いかける。
「くっ、しつこい! ドラゴンビート!」
リーテイルは体を反転させて龍の鼓動の如き音波を発射するが、ウルガモスは軽やかな動きでそれを回避。そのままリーテイルへと突っ込む。
「こうなれば……リーフストーム!」
ウルガモスの攻撃がリーテイルに当たる直前、リーテイルは自分を中心とする同心円状に葉っぱを放ち、渦巻くようなその流れに身を任せる。
つまり、自分にリーフストームを当てて無理やり今いる位置から弾き飛ばしたのだ。お陰で炎の舞を喰らうことはなかったが、大きないとはいえダメージを受け、特攻も下がった。体力がギリギリなので深緑が発動しているのが救いか。
「ほぅ、避けたか。あの状態からよくもまぁ、かわそうと思えたものだ。だが、そろそろこの戦いも終わりにしようではないか。ウルガモス、虫のさざめき!」
ウルガモスは背中の六枚の翅を小刻みに振動させ、強力な音波を放つ。
「ドラゴンビートだ!」
対するリーテイルも龍の鼓動の如き音波を発射するが、リーフストームで特攻が下がっているため、虫のさざめきに突っ切られてしまう。
「今だウルガモス、炎の舞!」
ウルガモスはリーテイルが怯んだその瞬間に炎を纏い、舞うようにリーテイルへと襲い掛かる。
「ぐぅ、かわせリーテイル!」
リーテイルも飛翔し、全速力でウルガモスから逃げようとするが、神殿の広さは有限、その空間の中で逃げ切ることは難しい。
実際、リーテイルの進行方向の先にウルガモスが先回りし、リーテイルに襲い掛かることもままあった。それでもリーテイルは何とか逃げ延びる。
しかし、それもいつかは限界が来る。
「行けい! ウルガモス!」
リーテイルが方向転換のために少しだけ減速した瞬間を狙って、ウルガモスは一気にリーテイルとの距離を詰める。流石にもう逃げきれない。
「だったらもう悪あがきだ、リーフブレード!」
リーテイルはすぐさま尻尾の葉っぱを刃のように振るうが、これでウルガモスが止められるとは思っていない。
ウルガモスの炎はリーテイルの攻撃を容易く突き破り、そのままリーテイルの体を焼き焦がしていく。
「リーテイル!」
リーテイルはまだ辛うじて瀕死にはなっていないが、正直もうこれ以上戦えるとは思えない。ここで戻そうかとイリスは思ったが、相手はイッシュ地方のチャンピオン。そんな甘えは許してはくれない。
「炎の舞!」
炎を纏ったウルガモスは舞うようにリーテイルに接近し、その周囲を高速旋回しながらリーテイルを炎に包んでゆく。
そして炎が消える頃には、リーテイルは戦闘不能となっていた。
「くっ、戻れ、リーテイル」
イリスはリーテイルをボールに戻す。これでイリスの手持ちも残り一体だ。
「でも、リーテイルは十分時間を稼いでくれた。ダイケンキの疲れも取れて、ベストコンディションなはず」
残った一つのボールを手に取り、イリスは最後のポケモンを繰り出す。
「さあ、これで最後だ。頼んだぞ、ダイケンキ!」
ダイケンキは登場と同時に大きく吠え、ウルガモスを威嚇すると同時に自身を鼓舞する。
「気合は十分、状態も良し。一気に行くぞ、ダイケンキ! ハイドロカノン!」
イリスはいきなり、ダイケンキに必殺級の大技を指示する。
ダイケンキもそれに抗うことなく、口腔より圧縮した巨大な水の弾丸を生成し、自身を銃身として発射の準備を行う。
「ほぅ、いきなりその技で来るか。ならばこちらも行くとしようか、ウルガモス! 破壊光線!」
ウルガモスも側頭部から伸びる赤い触角の間に膨大なエネルギーを溜め込み、迎撃準備に入る。
お互い、この一撃で相手を仕留めるつもりなのか、最大までエネルギーを充填する。そしてそのエネルギーが今、最大値まで達した。
「行け、ダイケンキ!」
「放て、ウルガモス!」
両者における最大の大技が今、ぶつかり合う——
はいやってきました、アデク戦その六。遂にチャンピオンの切り札、ウルガモスの登場です。僕の記憶が正しければ、ウルガモスは前作から出てましたけど、飛行用とN戦でのやられ役で、登場時間はかなり短かったと思います。ですが今回は大暴れ。逃げるリーテイルを下して、ダイケンキとのバトルで今回は終了です。ちなみに章のタイトルは某サンフラワーポケモンのことではないので、間違えないように。それでは次回はアデク戦その七。恐らくこのバトルの決着です。お楽しみに。