二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 442章 白煙 ( No.618 )
- 日時: 2013/01/13 00:18
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
ミキとフレイのバトルは、もう中盤まで差し掛かっていた。
ミキが二番手に繰り出したハンタマがニートンを速攻で下し、現在、ノコウテイと激しい戦いを繰り広げている。
「ノコウテイ、ドラゴンダイブ!」
「ハンタマ、サイコバレット!」
ノコウテイが龍の力を纏って突撃するが、ハンタマは柔軟な動きでそれをかわし、念動力を固めた銃弾を連射する。
「怒りの炎だよ!」
銃弾を受けながらも、ノコウテイは怒り狂ったような火炎を放つ。次々と襲い来る銃弾を燃やしていき、炎はハンタマへと迫るが、
「かわしてマッハパンチ!」
大きく迂回するように炎をかわすと、ハンタマは高速の拳をノコウテイに叩き込む。効果は抜群だが、技そのものの威力が足らず、大きいダメージにはならない。
「もう一度マッハパンチ!」
「させないよー。ノコウテイ、潜る!」
ハンタマはもう一度拳を振るうが、ノコウテイが地面に潜ってしまい、空振りに終わる。そして次の瞬間、地中から這い出てきたノコウテイの攻撃を受け、空中に吹っ飛ばされた。
「今だよノコウテイ、怒りの炎」
ノコウテイは怒ったように燃え盛る炎を放つ。炎は容赦なくハンタマを包み込んで、その身体を燃やしていく。
「ハンタマ!」
地面に着地したハンタマは、怒りの炎の直撃で大ダメージを受けていた。だが、眼にはまだ投資が宿っている。バトルを続けるのは十分可能だ。
「よし、ハンタマ、ここはスピード重視でいくよ。マッハパンチ!」
刹那、ハンタマの高速の拳がノコウテイを捉えた。威力が低くても効果抜群には変わりない。何度も叩き込めば、体力の多いノコウテイでもいずれ力尽きる。
「一旦退いて! サイコバレット!」
ハンタマは深追いせず、一度身を退いた。しかし攻撃の手を緩めることはせず、念動力の銃弾を乱射してノコウテイを撃ち抜いていく。
「やるねー。ノコウテイ、スピンテール。叩きつけて—」
ノコウテイは跳ねるようにジャンプすると、尻尾を回転させながら落下してくる。
しかしノーマルタイプの技であるスピンテールは、ゴーストタイプを持つハンタマには効果はない。普通なら意味のない攻撃になる。が、しかし、
ノコウテイの全体重が乗った重い一撃が炸裂し、地面を陥没させると同時に大量の砂煙を舞い上げた。
「目くらまし……!」
呻くようにミキが呟く。視界を遮られてしまえば、ハンタマの持ち味であるスピードも生かせない。
対してノコウテイは地中で暮らすポケモンだ。目はとうに退化してしまい、音や地面の振動などで敵の位置を探ることが出来る。砂煙の舞った状況でも、ハンタマの位置を正確に把握しているだろう。
「怒りの炎!」
砂煙を切り裂き、燃え盛る業火がハンタマを襲う。炎は、砂煙のせいで反応が遅れたハンタマを包み込み、容赦なく燃やしていく。
「ぶっ飛べ—。ドラゴンダイブ!」
そしてそこに、龍の力を纏ったノコウテイが突撃。炎もろともハンタマを吹き飛ばした。
「ハンタマ、サイコバレットで反撃だよ!」
まだ辛うじて戦闘不能ではないハンタマは、念動力を固めた銃弾をマシンガンのように連射するが、
「ざーんねーん。ノコウテイ、潜る」
瞬く間にノコウテイは地面に潜ってしまい、サイコバレットを回避。そして着地したハンタマのすぐ下から這い出て来て、ハンタマを打ち上げる。
ドサッと落下してきたハンタマは、ノコウテイの猛撃に耐え切れず、戦闘不能となった。
「ハンタマ……ありがとう、戻って」
ミキはハンタマをボールに戻す。感覚的には、初手のニートンよりもこのノコウテイの方が強い。
イリスや他の仲間から聞いた話では、フレイはノコウテイを移動手段に利用することが多いらしい。自分のポケモンなので当然と言えば当然だが、ポケモンに乗って移動するということは、そのポケモンを信用しているということ。そしてその信用は、バトルにおいても同じだ。
「あたしはどっちかっていうと、ガイアやドランに近いんだよねー。ノコウテイはあたしの手持ちのナンバー2だけど、そんでもストータスには敵わない。あたしのエースは、他三体よりも遥かに強いよー」
何を察したのか、フレイはそんなことを言う。
「そんなことよりもさー、ミキちゃん。君のポケモンはあと一体だよー? 大丈夫なのかなー?」
仰向けになりながら、してもいない心配の声をかけるフレイ。無論、ミキは強気だった。少なくとも、表面上は。
「心配は無用だよ。一体でも残っていれば、勝つ可能性は消えない。師匠だって、最後の一匹まで、あなたたちのボスと戦ったんだから。それなら、私だって……」
ボールを握り締め、ミキは最後のポケモンを繰り出す。
「頼んだよ、フィニクス!」
不死鳥ポケモン、フィニクス。紫色の体に、めらめらと燃える炎の翼。神秘的な雰囲気を醸し出す鳥型ポケモンだ。
「フィニクスかー、かっこいーねー。あたしも好きだよー」
フレイは気の抜けた声でフィニクスを称賛する。
「でも、まだまだって感じだねー。もうちょっと強ければ、ストータスといい勝負もできたかもしれないけど……ノコウテイ、スピンテール!」
ノコウテイは跳び上がり、回転させた尻尾をフィニクスへと振るう。
「フィニクス、ハリケーン!」
しかしノコウテイの攻撃はフィニクスには届かない。フィニクスの放った突風によって、ノコウテイは吹っ飛ばされた。ノコウテイの巨体は木々をへし折りながら、仰向けに地面へと落ちる。
「フレアバースト!」
翼を羽ばたかせ、銃弾のような小さくも鋭い炎を連射するフィニクス。炎の弾丸はまっすぐにノコウテイへと向かっていき、その腹を容赦なく撃ち抜く。
仰向けになって動けないノコウテイに何発もの炎が撃ち込まれ、やがてノコウテイは戦闘不能となった。
「んー、お疲れノコウテイ。戻っててねー」
少し満足しないような声を出すフレイだったが、すぐにノコウテイをボールに戻す。フィニクスにダメージを与えられなかったのが不満だったのだろうか。
「……うん、いい感じに木も倒れてるね。これなら大丈夫かな」
フレイはゴロゴロ転がりながら周囲を見渡す。
サンギ牧場奥の雑木林は、二人の戦闘によって木々が薙ぎ倒された状態となっている。よってバトルフィールドは、ちょっとした広場のようで、フィニクスの炎による引火も、そう起きないだろう。
「さーて、そんじゃあとくとごろうじろってねー。ストータス、出番だよー」
フレイが最後に繰り出したのは、石炭ポケモン、ストータス。
2m近い体躯の陸亀のようなポケモン。背中の黒い甲羅の中身は熱く燃えており、白い煙を上げている。
「どっちも炎タイプだけど、岩タイプ持ってるストータスの方が有利っぽいねー。この複合タイプって四倍弱点になることが多くて、結構使いどころ選ぶから、活躍の機会って少ないんだー」
そんなことを言うフレイだが、このストータスはイリスのポケモンが傷一つ負わせられなかった相手。あの時はすぐにバトルが終わったので、ダイケンキなどのポケモンを使えば勝負は分からなかったとイリスは言っていたが、しかしそれでも半端ない耐久力があることは確かだ。攻撃力も決して低くはない。相性的には、フィニクスが圧倒的に不利だ。しかし、
「タイプの相性が、勝負を投げ出す理由にはならないよ。フィニクス、ドラゴンビート!」
彼女と、そのポケモンは戦う。臆さず、勇猛果敢に、敵に立ち向かうことを決意している。
フィニクスは龍の鼓動のような激しい音波を放ち、ストータスを攻撃。ストータスは避けようとせず、防御行動すら起こさず、その直撃を喰らった。
しかしダメージは、絶望的なほどない。ほとんどノーダメージである。
「もしかしたら特殊技なら効くかも、とか思っちゃったりしてたー? 残念だけど、あたしのストータスは防御、特防、体力、どれをとっても高数値、総合的な耐久力と硬さにおいては、7P随一なんだよー。等倍攻撃くらいじゃ、ぜーんぜんなんともないねー」
得意げにフレイ。だが実際、ストータスへのダメージは薄い。
「さーて、この子はあたしの光になってくれるのかなー……」
歯噛みするミキをよそに、フレイはいつもの笑みとは違う、何かに期待するような笑みを浮かべるのだった。
ふぅ、やっと更新できた。ちょっと諸事情あって、更新が滞り気味でしたが、やっと再開です。今回はミキ対フレイですが、かなり短くまとめました。そういえばポケモンの新作が発表されましたね。色、宝石、また色と戻って、次はまさかのアルファベット。XとYって、どういう基準で選んだんですかね?巷では3D構成におけるX軸Y軸とか言われてますけど。それと御三家ですが、まあRSEではラグラージ、BWではミジュマルとかポカブとかも散々言われてましたが、今回の御三家、炎タイプのデザインだけがやたら優遇されているような気がします。シャンデラ、ウルガモス、ヒヒダルマと続いて、炎タイプの革命ですかね? ちなみに白黒は、現状では炎タイプを選ぶつもりです。さて本編が短めだったのであとがきが長くなりました。次回は各バトルの決着に入ろうと思っています。それで次回もお楽しみに。