二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 26章 負け ( No.62 )
- 日時: 2011/08/02 11:44
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
13番道路の森を抜けたイリス達は、サザナミタウンを目指し、浜辺を歩いていた。
そしてイリスは、何か風格と言うか、雰囲気の違う人を見つける。というか、格好からして目立つ。
まず顔の造形がかなり良い。格好良いというよりも美しい顔立ちの美青年だ。
そして服装。白い帽子を被り、白いマントを羽織っている。マントでその下の服やズボンは隠れていて見えない。
「…………」
イリスはその人の隣を素通りしようとした。正直あまり関わりたくなかったが、不意に声を掛けられる。
「君、ちょっといいか?」
…………。
「…………。……なんでしょうか?」
イリスは渋々、不承不承尋ね返す。妙な間があったが、気にしない。
「私はミクリという。君は?」
「……イリスです」
「……ミクリ?」
Nがミクリという名前に反応する。
「ミクリって、ホウエン地方のジムリーダーを勤め、チャンピオンに勝って昇格したという、あのミクリさんですか?」
やけに詳しいN。ホウエン地方を訪れたときにでも聞いたのだろうか。
「ああ、そうだ」
イリスはそれを聞いて、少し気が引き締まる。チャンピオンに昇格したジムリーダーともなれば、相当偉い人だ。それにりの態度を取らなくてはいけない。
「まあ、今はチャンピオンの座は違う者が就いている。私はジムリーダーに復帰したよ」
ミクリはそう言い、イリスを見つめる。
「……フッ」
「なんで笑うんですか?」
ややイラッときたイリスだが、ミクリは意にも介さずに話し始める。
「君は、昔バトルしたトレーナーに似ていると思ってね。私がまだジムリーダーだった時に、バトルしたトレーナーに」
「…………」
イリスは前にも同じ事言われたような気がすると思っていた。
「なんだか無性に舞い上がってきたな……。イリス君」
ミクリはイリスの名を呼び
「私とバトルしないか?」
バトルの申し込みをしてきた。
「使用ポケモンは三体のシングルバトル、入れ替えは自由だ。依存はないかい?」
「別に、ありません」
イリスはミクリに素っ気無く返す。どうにもミクリには苦手意識があるのだ。
「では私からポケモンを出すとしよう。さあ出番だ、タツゴン!」
ミクリの繰り出すポケモンは、黄色と水色の小さなポケモン。水龍ポケモンのタツゴンだ。こう見えてもドラゴン・水タイプ。
「……なんか弱そうだけど、油断は禁物だな。頼むぞ、モココ!」
イリスが繰り出すのはつい先日進化したばかりのポケモン、モココだ。
「モココ、電撃波!」
モココは波状の電撃をタツゴンに向けて放つ。その威力やスピードは進化して段違いに上がった。
「タツゴン、守る」
タツゴンは自分を防御するバリアを張り、電撃波を防ぐ。
「タツゴン、水鉄砲!」
そしてタツゴンは勢いよく水を発射するが、モココには全然効いていない。
「……モココ、スピンテール!」
「タツゴン、頭突き!」
モココは回転しながら尻尾を振り、タツゴンはそれに頭突きする。しかしタツゴンはあっけなく吹っ飛ばされた。
「破壊光線!」
タツゴンはすぐに起き上がり、光線を放つエネルギーを溜めるが
「電撃波!」
モココの電撃波の直撃を喰らい、戦闘不能となる。
「戻れ、タツゴン。……次はこのポケモンだ。ドルン!」
ミクリが次に繰り出したのは、イルカポケモンのドルン。水タイプだ。
「……交代だモココ。出て来い、ラルトス」
イリスはモココをボールに戻し、ラルトスを出す。
「ドルン、体当たり!」
「ラルトス、サイコノイズ」
ドルンはラルトスに向かって体当たりするが、その前にラルトスはサイコエネルギーをぶつけ、ドルンの視界を奪う。
「ドルン、氷柱針だ!」
ドルンは氷の針を無数の放つが、それらは全て明後日の方向へと飛んでいく。
「ふむ、外れてしまったか。ならば熱湯!」
ドルンは熱湯を放つが、これも外れ。
「……ラルトス、炎のパンチ」
「ドルン、渦潮だ!」
ドルンは渦潮を発生させるが、ラルトスはそれを余裕で避け、ドルンに炎の拳を叩き込む。
それだけで、ドルンは戦闘不能となってしまった。
「戻れ、ドルン」
ミクリはドルンを戻し、次のボールを取り出す。
「……ミクリさん、僕の事舐めてませんか?」
不意にイリスは言う。
「さっきのタツゴンもドルンも、てんで弱かった。やる気はあるんですか?」
「……案ずるな。今のは君の力を測っていただけだ。そして君の相手をするのに相応しいのは、このポケモン。荒波のように舞え、オールガ!」
ミクリの最後のポケモンはシャチポケモンのオールガ。深海のような体色に赤い目、頭には角が生えたポケモンだ。
「オールガ、噛み付く!」
オールガは泳ぐような動きでラルトスに接近し、噛み付く。
それだけで、ラルトスは戦闘不能になった。
「な……!?」
イリスはオールガの攻撃力に、驚きの表情となる。
「どうした、イリス君?」
ミクリはイリスにプレッシャーを掛ける。
「くっ、出て来い、モココ!」
イリスが出すのは水タイプに有利なモココだ。しかし
「氷柱落とし!」
オールガはモココの真上に大きな氷柱を出現させ、跳び上がって尻尾でその氷柱を叩き落とす。
「モココ!」
モココはその氷柱の餌食となり、倒れる。
「戻れ、モココ。……氷技があるなら、こいつだ。頼むぞ、ブイゼル!」
イリスは氷技が弱点のリーティンではなく、ブイゼルを繰り出す。
「オールガ、雨乞い」
オールガは雨乞いをし、雨を降らす。
「ブイゼルの特性はすいすい。さあ、掛かってきたまえ」
すいすいとは、雨天時に素早さが上がる特性。つまり今のブイゼルのスピードは、かなり速いのだ。
「舐めやがって……!ブイゼル、アクアジェット!」
ブイゼルは特性を絡めた最高速度のアクアジェットでオールガに突撃する。
しかし
「オールガ、スプラッシュ!」
オールガは飛沫のような、それでいて高威力の水を放ち、ブイゼルを攻撃し、吹き飛ばす。
「ブイゼル!」
見ればブイゼルは戦闘不能となっていた。
「私の勝ちだよ、イリス君」
ミクリの声は、イリスの脳髄の奥深くにまで刻み込まれた。
今回はイリスとミクリのバトル。最初はイリスが優勢に思われたが、そこでミクリが一発逆転。そして前回のあとがきでは触れてませんでしたが、のーむさんのオリ技、サイコノイズも出てきました。のーむさん、オリ技、ありがたく使わせてもらっています。では、次回はどうなるか、お楽しみに。