二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 463章 凧 ( No.667 )
- 日時: 2013/02/11 14:15
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「先手は貰うったい! マンタイン、波乗り!」
マンタインは水面すれすれを滑空しながら大波を引き起こし、その波に乗ってリーテイルへと突っ込んで来る。
「上昇だ! かわせリーテイル!」
リーテイルは空高く跳び上がって波乗りを回避。しかし、
「追いかけるんじゃ、マンタイン!」
マンタインは気流に乗って素早く方向転換、リーテイル以上のスピードで追いかけてくる。
「エアスラッシュじゃ!」
そしてヒレを振るい、空気の刃を飛ばす。一発だけだが、大きさはリーテイルのもの以上で、切れ味も鋭そうだ。
「リーテイル、かわしてリーフブレード!」
リーテイルも方向転換して刃を避け、追いかけるマンタインに突っ込む。尻尾の葉っぱを構え、マンタインを切り裂かんとするが、
「マンタイン、エアスラッシュ!」
リーテイルをギリギリまで引きつけ、マンタインは空気の刃を飛ばす。避けることもできず、リーテイルは刃の直撃を喰らった。
「リーテイル!」
マンタインは空気の刃を一発しか飛ばせないようだが、その分大きく、威力が高い。リーテイルも今の一撃で大きなダメージを受けてしまった。
「どうじゃい! 海のポケモンでも、空を制すことはできる! おいのマンタインはそんじょそこらの飛行タイプよりもずっと空中戦に強いんじゃ!」
確かに、それはシズイの言う通りだと思う。今のマンタインの動きを見ればなおさらだ。しかも今は追い風が吹いており、マンタインをサポートしている。相性の悪いリーテイルでは、少々不利のようだ。
「……何度も後退ばっかで悪いけど、戻ってくれ、リーテイル」
イリスはリーテイルをボールに戻す。追い風がある以上、空中戦が得意なリーテイルでも今のマンタインには敵わない。だったら素直に相性のいいポケモンを使うべきだ。
「つっても、マンタインの弱点を突けるポケモンなんて、僕の手持ちにはあんまりいないんだよな……」
ズルズキンとメタゲラスがいるが、二体ともマンタインとの相性は悪く、スピードでも大きく劣っている。まともに攻撃を当てるのは難しいだろう。
「となると、やっぱ君かな。今度こそ頼んだよ、ディザソル!」
イリスは交代でディザソルを繰り出す。弱点を突く技こそないが、高い機動力と攻撃力があるので、マンタインにも対抗できるはずだ。
「今度もそうきやったか。マンタイン、波乗り!」
マンタインは大波に乗り、並みと共にディザソルに向かって突っ込んでいく。が、
「ディザソル、神速!」
ディザソルは足場を蹴り、超高速でマンタインに突撃。マンタインを押し戻した。
「おぉ!? おはんのディザソル、やりおるな」
如何にマンタインが追い風で素早さを上げようとも、神速はトップクラスの威力と速さを誇る先制技だ、スピードで神速を超えることはできない。
「このまま攻めるぞ! 辻斬り!」
「させなか! エアスラッシュ!」
ディザソルは漆黒の鎌を携えて足場を飛び跳ね、マンタインはそれを迎撃すべく空気の刃を飛ばす。
だがマンタインの刃はディザソルには掠りもしない。一発ずつしか放てないマンタインのエアスラッシュは、このように素早い相手を捉えるのには向いていないのだ。
結局マンタインはディザソルの接近を許してしまい、漆黒の鎌で切り裂かれた。
「もう一回辻斬りだ!」
「今度こそ止めるんじゃ! シグナルビーム!」
身体を捻り、今度は尻尾の刃で斬撃を繰り出すディザソルだが、マンタインが素早く放ったカラフルな光線を受け、押し飛ばされてしまった。
「よかよか。こんままどんどん攻めて行くかいの。マンタイン、波乗りじゃ!」
飛ばされたディザソルを追うようにマンタインは波に乗って突撃する。
「くっ、神速だ!」
だが波乗りの攻略法は分かっている。神速で激突すれば、マンタインも止まらざるを得ない。なのでディザソルは飛び跳ねるようにマンタインへと突っ込むが、
「同じ手は食らわん! 飛び上がれ、マンタイン!」
マンタインは急に波から体を浮かび上がらせ、ディザソルの突撃を透かす。そうなれば当然、ディザソルは勢い余って波を超え、ややつんのめって足場に着地する。
「今じゃ! シグナルビーム!」
そこにすかさずマンタインは光線を発射する。しかも一発だけではなく、ヒレの裏側にくっ付いているテッポウオの口からもそれぞれ発射し、計三発の光線がディザソルを射貫いた。
「ディザソル!」
効果抜群の攻撃を受け、ディザソルはかなり大きなダメージを受けてしまった。もう体力も残り僅かだろう。
「これで決める! マンタイン、波乗り!」
マンタインは大波を起こし、それに乗って突っ込んで来る。
確実に交わしておきたいが、さっきのように神速で突撃すれば、またか避けられて反撃されるだろう。なのでここは、苦し紛れに別の対策を取る。
「スプラッシュだ! 水中に潜れ!」
ディザソルは全身に飛沫を散らす水を纏い、あろうことか水中に飛び込んだ。なので波乗りこそ回避に成功はしたが、水中ではディザソルの機動力はほとんど生かせない。
「水タイプのマンタインを差し置いて水ん中潜るたぁ驚きよったが、そんでもマンタインだって水中戦が苦手なわけじゃなか。追いかけるんじゃ、マンタイン!」
マンタインも水中に潜り、ディザソルを追いかける。
イリスは水面を覗き込んで水中の様子を見る。太陽光で水面が反射していて分かりにくいが、水は綺麗で透き通っているのでまったく分からないということはない。
ディザソルはなんとか浮上しようとしているが、それでも襲い。マンタインの方がずっと速い——のだが、イリスにはどうしてもその動きが鈍く見えた。
(なんか遅くないか、あのマンタイン……?)
リーテイル以上のスピードで滑空し、空中ではあれほど猛威を振るっていたマンタインだが、水中ではやっとディザソルに追いついたところだ。
「って、やばっ! ディザソル、マンタインを振り払うんだ!」
マンタインが追いついたことに気付いたらしいディザソルは、頭の鎌や尻尾を振ってマンタインを振り払おうとするが、無駄だった。
「今度こそ決めるんじゃ、マンタイン! シグナルビーム!」
ディザソルの下に潜り込み、マンタインはテッポウオと共に色彩を重ねた光線を三発発射。ディザソルを吹っ飛ばし、水面から弾き飛ばす。
効果抜群の攻撃、それも直撃を三発も喰らい、遂にディザソルは戦闘不能となった。
「くっ……戻ってくれ、ディザソル」
イリスはディザソルをボールに戻す。これで残りはリーテイルともう一体。追い込まれてきた。
次に出すとしたらリーテイルが有力そうだが、追い風もあり、マンタインのスピードはリーテイルを上回る。相性も悪いので、あまり得策とは言えない。
(それに、さっきのマンタインのスピードは、少し妙だった。空中ではリーテイルよりも速かったのに、水中だと大したスピードはなかった。空中と水中とでは基準の速さが違うのかな。でも、追い風もあるのにあのスピードは……追い風?)
そこで、イリスは閃いた。いや、気付いたというべきか。
「そうか、そうだったのか。だったら、お前を出さないわけにはいかないな。今までは陸上戦が多かったけど、お前の本領は水中のはず。存分に暴れて来い、ダイケンキ!」
イリスが繰り出すのはダイケンキ。公式戦では初の水中フィールドだ。
「ほぅ、水タイプか。いい面しとる。わっせ強そうじゃ」
シズイはダイケンキの姿を見て、そんな講評を下す。
「だが、水タイプ使いのおいに対して水タイプで挑むたあええ度胸じゃ。よっぽど自身があるように見える」
「当然ですよ。こいつは、僕のエースポケモンですから」
自信満々にシズイにそう返すと、シズイは何か思い出したように手を叩いた。
「おお、そうか。そういえばイーちゃんが言っとったな」
「え? なに……なんですか?」
「いや、なんでもない。こっちの話じゃ。ほな早くバトルの続きしよーかい」
なにやら誤魔化された感があるが、確かに今はバトルだ。
シズイのマンタインは追い風のサポートを受け、今やそのスピードはリーテイル以上。テッポウオと結託することで火力のある攻撃も撃てる。かなりの強敵だ。
しかしイリスは攻略法を見つけた。しかしその攻略法を実行するためには水タイプの力が必要不可欠。正直、水タイプのエキスパートであるシズイに水タイプのポケモンを出すことには躊躇いがあるが、ダイケンキならやってくれるはずである。
イリスはただその一心で、この一戦の全てを、ダイケンキに託す。
シズイ戦その五です。追い風を受けてスピードはリーテイルを上回り、テッポウオと一緒に撃ってシグナルビームの威力は三倍増。いやはや強いですね。白黒は強ポケに好きなポケモンが多いですが、こういう不遇なポケモンにも好きなのが結構いまして、どうしても優遇しがちです。いい例がエレクトロのトロピウスですかね? そういえばマンタインのカイトポケモンっていうのは凧上げの凧のことだと思ったのですが、実際どうなんでしょうね。そう思って章のタイトルに凧って付けましたが……ともあれ、次回はイリスが見つけたマンタインの攻略法でダイケンキが大暴れ! ……と、上手くいくといいですね。では、次回もお楽しみに。