二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 28章 海上レース ( No.67 )
日時: 2011/08/02 21:30
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

イリスがレイカと会話した後日。
この日はサザナミタウン観光業界主催の海上レースが執り行われる日だ。
Nは一足先に海上であるサザナミ湾に向かっていて、イリスはレース用のボートを借りるための手続きをポケモンセンターでしてから、サザナミ湾に向かう事となった。
「規定の大きさに達しないポケモンを使用する場合はボートを借りてレースに参加してください、か」
海上レースは水ポケモンと一緒にサザナミ湾を周るレースで、ある程度大きなポケモンならポケモンそのものに乗れば良いが、ポケモンが小さいとそういう訳にもいかないのでボートを借りる必要があるのだ。
「ブイゼルが進化すれば乗る事もできるみたいだけどな……。……あ」
イリスはポケモンセンター内にて、久しい人物を見つけた。向こうもイリスの存在に気付いたようで、イリスの方を向く。
「ムントさん、一年振りですね」
「……お前か」
ムントはいぶかしむような表情でイリスに言う。
ムント。一年前にイリスをボロ負け寸前まで追い詰めたトレーナーだが、その後プラズマ団の介入などで決着はつかなかった。(イリスの負けみたいなものだが)その後も仲間とは言えそうにもなかったが、プラズマ団と戦った者の一人で、プラズマ団と敵対関係にあるという意味においては同士である。
「ムントさんも海上レースに参加を?」
「いや、俺はこんな競技になど出ん。ただプラズマ団を撃滅する途中、ここに立ち寄っただけだ」
微妙にプラズマ団という単語にアクセントがつけられていた気がしなくもないが、とりあえず置いておく。
「お前は、前よりは強くなったのか?」
「……今は新しいメンバーで旅をしてますからね。まあ、仮に前のメンバーを使ってあなたと闘っても、今の僕では勝てないでしょう」
「闘志が萎えてるんです」とイリスは付け加える。
「っと、そろそろ時間ですね。では、僕は行きます」
イリスはムントとの話を切り上げ、サザナミ湾へと向かう。



サザナミ湾。
サザナミタウンを訪れた観光客が海水浴にやってくる海だ。
岩や小島、浅瀬などに囲まれているため、広い海とは決して言えないが、それでもそれなりの大きさはある。
またこの海の海底には遺跡があるとかないとかで、調査が進められているとかいないとか。
イリス達は主催者からのルール説明や優勝賞品などを聞き終え、それぞれスタート地点にてスタンバイする。
ルールは簡単。このサザナミ湾を回るように指定されたポイントを順番に回っていき、最後のポイントを通過した後はゴール地点の砂浜へと戻ってくるのだ。
ポイントを周る順序は不問、トレーナーやポケモンへの妨害はなしで、反則となり失格となる。
『それでは位置について、用意』
拡声器を伝って、主催者の声が聞こえてくる。
『スタート!』
そして、サザナミタウン海上レースは始まった。



イリスは今のところぶっちぎりで一番だった。ブイゼルのスピードは他者を圧倒するもので(アクアジェット使用。妨害目的ではないので、許されるはずだ)、どんどんポイントを通過していき、残りのポイントはあと五つ。
「この調子だと、簡単に優勝できるかな……?」
イリスは揺れるボートにしがみつきつつ呟くと、誰かが隣に並んだ。
レイカだ。
「速いですね、イリスさん。でも、私も参加したからには負けませんよ!」
レイカは勝気に言う。
レイカが乗っているのは、背中から頭にかけて青く、腹から顎にかけて青緑色の、首長竜のようなポケモンだ。
プレシオン、水龍ポケモン。水・氷タイプだ。
「では、先に行かせてもらいますね。プレシオン、冷凍ビーム」
プレシオンは自分の目の前の海上を凍らせ、氷の道を作る。そしてそこを滑るように進んでいく。
「な……!? あんな進み方があるとは……ブイゼル、こっちも負けてられないぞ。アクアジェット!」
ブイゼルは水流をまとって一気に加速する。これはボートに乗っているからこそできる行為だ。逆にレイカとプレシオンの行為はボートに乗らず、ポケモンに直接乗っているからこそできる。
イリスとブイゼルはなんとかレイカとプレシオンに追いつき、ともにポイントを通過。残り四つだ。
「追いついてきましたね……プレシオン、もっと加速して!」
「ブイゼル、このまま喰らいつくぞ。こっちも加速だ!」
プレシオンとブイゼルはどんどん加速していき、次々とポイントを通過していく。残り三つ、二つ、一つと来て、遂には最後のポイントを通過した。この時点でも、二人は同列だ。
「あとは浜に向かうだけ」
「そこが勝負の分け目ですね」
ブイゼルとプレシオンはラストスパートに入り、さらに加速する。その時だった。
「プレシオン!?」
プレシオンはどこからか攻撃を受け、止まってしまう。ブイゼルも止まり、周りを見渡す。そして

「皆で楽しくレースしてるとこ悪いけど、僕らの調査の邪魔になるからさっさと上がってくれるかな? もしくはここで死ぬ?」

上空より、磁石を付けたUFOのようなポケモンに乗り、紫色の髪の一人の男が現れる。
「君達のために名乗ってあげるよ。僕の名はアシド、7P(セヴンプラズマ)の一人。そしてプラズマ団のグレイトでジーニアスな科学者さ!」



今回はパーセンターさんの前作で投稿してくださったオリキャラ、ムントの登場です。前作ではイリスと話している場面がほとんどなかったので言いますが、キャラ崩壊などの不備があればお申し付けください。それから最後の7P、アシドも登場しました。アシドは7幹部でいうバイオに相等します。こっちは性格面や立ち位置が似てます。たぶん唯一7幹部と接点があります。では、次回はアシドとのバトル。お楽しみに。