二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 467章 壁 ( No.673 )
- 日時: 2013/02/21 13:34
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「頼んだよ、デンチュラ!」
イリスの二番手はデンチュラ。電気技でアズマオウの弱点を突けるはずだが、
(さっき、デンリュウの雷はアズマオウに効かなかった。となると……)
概ね見当はついているが、確認のため、イリスはデンチュラにある技を指示する。
「デンチュラ、雷!」
デンチュラは空高くに電撃を飛ばし、アズマオウへと稲妻を落とす。狙うはズマオウの尻尾だ。
しかし稲妻はアズマオウの尻尾ではなく、角に引き寄せられ、そのまま吸収されるように消滅してしまった。
「……やっぱり、避雷針か」
避雷針。電気技を吸い寄せ、無力化し、特攻まで上昇させる特性だ。
「わざわざ確認するほどのことじゃねぇだろ。一発で分かれや。アズマオウ、ドリルライナー!」
「デンチュラ、かわしてエナジーボール!」
アズマオウは飛び跳ねて回転する角を突き出すが、デンチュラは横に逸れて回避。自然の力が凝縮された球体を直撃させる。
「ちっ、吹雪!」
振り返ってアズマオウは吹雪を放つが、そこにデンチュラはいない。
「帯電!」
デンチュラは体に電気を帯び、攻撃力を高める。
「シグナルビームだ!」
そしてカラフルな光線を発射し、アズマオウを攻撃。帯電で特攻も上がっているので、なかなかの威力だ。
「これ以上アズマオウで戦う意味はねぇか……戻れ、アズマオウ」
イリゼはアズマオウをボールに戻した。そして迷いなく次のボールを構える。
「出て来い、ダグトリオ!」
イリゼが繰り出したのは、土竜ポケモン、ダグトリオ。土に埋まっており、頭部が半球状となった筒状の体が三つある。
「こんどは純粋な地面タイプか。やっぱり電撃技は効かないけど、こっちにはこの技がある。エナジーボール!」
デンチュラは緑色の球体を生成し、ダグトリオへと発射するが、
「当たるかよ。ダグトリオ、潜る!」
ダグトリオは文字通り地中に潜って球体をかわす。
そして次の瞬間、デンチュラの真下から現れてデンチュラを突き上げる。
「だったらデンチュラ、シグナルビーム!」
「不意討ちだ!」
デンチュラは素早く下がってカラフルな光線を発射するが、それよりも早くダグトリオがデンチュラの背後に回り、強烈な一撃を叩き込む。
「ストーンエッジ!」
続けて鋭く尖った岩を射出。攻撃を喰らった直後のデンチュラでは、背後からの攻撃には対応できず、何発も直撃を受けて吹っ飛ばされた。
「デンチュラ!」
デンチュラの耐久力は高くない。そのため、効果抜群の攻撃で戦闘不能となった。
「強い……けど」
イリゼのスタイルに違和感を感じるイリス。前に戦った時も、強いは強かった。しかし、今のイリゼから感じる強さは、また別のものに感じた。
「……とにかく今はバトル。戻って、デンチュラ」
イリスはデンチュラをボールに戻す。
相手はダグトリオ。デンチュラは素早いが、小回りが利かなかった。なら今度は、素早く、かつ器用なポケモンで攻める。
「頼んだ、フローゼル!」
イリスの三番手はフローゼル。ダグトリオの弱点を突きつつ、小回りも利くので、背の低いダグトリオ相手なら有利に戦えるはずだ。
「フローゼル、スターフリーズ!」
フローゼルは巨大な星型の氷塊を生成し、ダグトリオへと投げ飛ばすが、
「ダグトリオ、潜る!」
ダグトリオは地中に潜り、氷塊を回避。そしてフローゼルの真下から現れ——
「フローゼル、氷の牙だ!」
——るが、その前にフローゼルの氷の牙を受け、地面に固定されてしまった。これでは攻撃することはおろか、動くこともできない。
「貰った! アクアテール!」
フローゼルは跳び上がり、空中で一回転して水を纏った尻尾をダグトリオへ振り下ろす。
「ちっ……ダグトリオ、あれをやるぞ」
尻尾がダグトリオに到達する直前、イリゼとダグトリオは頷き合う。そして、
「命懸け!」
ダグトリオは渾身の頭突きをフローゼルの尻尾にぶつけ、フローゼルを吹っ飛ばした。
「なっ……フローゼル!」
吹っ飛んだフローゼルは大ダメージを受けたが、まだ戦闘不能ではない。対してダグトリオは、フローゼルを吹っ飛ばしたというのに動く気配がない。戦闘不能だ。
命懸け。文字通り自身の体力をすべて使用し、その分のダメージを相手に与える技だ。イリスもアデクとのバトルで見たことがある。
「戻れ、ダグトリオ。お前の仕事は終わりだ」
イリゼはダグトリオをボールに戻し、素早く次のボールを手に取った。
「俺の次のポケモンはこいつだぜ。出て来い、ジバコイル!」
イリゼの次なるポケモンは、UFOのような円盤状の体を持つ磁場ポケモン、ジバコイルだ。セオリー通り、フローゼルの弱点を突くポケモンを繰り出してきた。
「戻すが吉か……いや、下手に戻さず、ここは少し様子を見よう。スピードならフローゼルの方が圧倒的に上だ」
それにフローゼルは気合パンチを覚えている。もしもの時はこれで活路が見出せるだろう。
「とりあえず、フローゼル、スターフリーズ!」
フローゼルは巨大な星型の氷塊を生成し、ジバコイルへと放つ。牽制なので、ダメージはあまり期待していない。
「ジバコイル、リフレクター!」
が、ジバコイルはリフレクターを張ってスターフリーズを防御した。ダメージは半減され、ほとんど通っていない。
「ロックオン」
続けてジバコイルは、照準をフローゼルに定める。次に放つ攻撃を、確実に当てるために。
「! やばっ……フローゼル、戻——」
「電磁砲!」
イリスがフローゼルを戻す前に、ジバコイルから電磁砲が射出された。電磁砲は一直線にフローゼルへと飛んでいき、流線型の体に直撃する。
「フローゼル!」
命懸けで削られ、ジバコイルの電磁砲が直撃。それにフローゼルが耐えられるわけもなく、瞬時に戦闘不能となった。
「……戻れ、フローゼル」
やはり交代しておくべきだったと悔やみ、イリスはフローゼルをボールに戻す。
さて、これでイリスの手持ちは半分が尽きた。対するイリゼはまだ一体しか倒れていない。
「でも、まだやれる……出て来て、メタゲラス!」
イリスの四番手はメタゲラス。電磁砲は無効にでき、こちらは地面技で弱点を突ける。
「次はメタゲラスか。まあ妥当だな。ジバコイル、磁力線!」
ジバコイルは見えない磁力の波を放ちメタゲラスを攻撃するが、効果はいまひとつ。ダメージは少ない。
「一撃で決めるよ! メタゲラス、大地の怒り!」
メタゲラスは砲号し、地面から大量の土砂を噴出。ジバコイルを飲み込む。
四倍の弱点を突かれたジバコイルは、その一撃で地面に落ち、戦闘不能になってしまった。
「俺のジバコイルの特性は、頑丈じゃなくて磁力だからな。ま、やられるか。戻れ、ジバコイル」
イリゼは特になんとも思っていないような素振りでジバコイルをボールに戻した。そして、次のボールを構える。
「メタゲラスにはこいつだ。出て来い、グライオン!」
イリゼが次の繰り出したのは、牙蠍ポケモンのグライオン。蝙蝠と蠍を合わせたようなポケモンで、地面と飛行の複合タイプを持つ。
グライオンは場に出た瞬間、その姿が薄くなっていく。
「こいつの特性は砂隠れだ。砂嵐状態だと回避率が上がる」
イリゼが珍しく説明を入れる。
「砂隠れか……厄介だな」
砂嵐の中でダメージを受けないのはメタゲラスも同じなのでいいとして、回避率が高いということはこちらの攻撃が当たりにくいということ。手数で攻めるタイプならともかく、一撃にかけるパワータイプのメタゲラスにとっては少々辛い相手だ。
「……メタゲラス、ストーンエッジ!」
メタゲラスは鋭く尖った岩を周囲に浮かべ、一斉に射出する。しかしグライオンには当たらなかった。
「そんなでたらめに撃って当たると思ってんのか? グライオン、追い風!」
グライオンは砂嵐だけでなく、自身に有利な追い風を吹かす。
シズイとのバトルで散々味わったが、追い風は厄介だ。ただでさえ高めのグライオンの素早さがさらに上昇するので、捉えることが難しい。加えて砂隠れもあるので、手が付けられない。
「グライオン、ロックカット!」
「だったらこれだ! メタゲラス、全方位にストーンエッジ!」
グライオンが空気抵抗を減らして素早さを上げる中、メタゲラスは先ほどと同じように周囲に尖った岩を浮かべるが、さっきとは違い、それらを無作為に、全方向へと発射した。
「だから適当に撃っても当たらねぇつってんだろうがよ。グライオン、かわして砂かけ!」
追い風を受けたグライオンは岩を次々とかわしていき、メタゲラスの目に砂をかける。
「くっ、メガホーン!」
反撃にメガホーンを繰り出すメタゲラスだが、グライオンには掠りもしない。
「あんま長いことやてってもしゃあねぇか。決めるぞグライオン!」
グライオンは高速で滑空し、両手のハサミを構えてメタゲラスへと突っ込む。
「あれはまずい……メタゲラス、メタル——」
「遅ぇっつの! ハサミギロチン!」
メタゲラスが攻撃するより早く、グライオンの巨大なハサミが、万力のようにメタゲラスを挟み込んだ。
イリゼ戦その二。かつてないスピードでバトルが進んでいきます。まさか一章で四回分のバトルを書くことになるとは……更新回数も今まで以上です。時間があった前作でも一日でここまで更新したことはないでしょう。では次回、イリゼ戦たぶん決着です。早いですが、決着です。お楽しみに。