二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 471章 祝福 ( No.683 )
- 日時: 2013/02/15 20:59
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「戻って、ミカルゲ。お疲れ様」
「よくやった、デンリュウ。戻ってくれ」
イリスとシロナは、お互い倒れたポケモンをボールに戻し、新たなボールを構えた。
「大空を羽ばたけ、トゲキッス!」
「頼んだよ、ウォーグル!」
シロナの二番手は、祝福ポケモン、トゲキッス。卵型に近い体型で、首は短く、手は羽と一体化している。
あまり攻撃的には見えないトゲキッス。だが、先手を取ったのはシロナだった。
「トゲキッス、神速!」
トゲキッスは目にも止まらぬスピードでウォーグルに突っ込み、体当たりをする。その威力はなかなか高い。
「私のトゲキッスの特性は張り切り。命中率は少し落ちるけど、物に技の威力が増すわ。さあトゲキッス、もう一度神速よ!」
「ウォーグル、鋼の翼で迎え撃て!」
ウォーグルは翼を鋼の如く硬化させて迎撃態勢を取るが、トゲキッスのスピードについていけず、神速の直撃を喰らう。
「神速!」
「二度も同じ手は喰らいませんよ! ビルドアップだ!」
避けるのは無理と判断し、ウォーグルは筋肉を増強して攻撃力、防御力を上昇させ、神速のダメージを抑える。
「ブレイククロー!」
そしてカウンターのように頑強な爪を突き出し、トゲキッスを攻撃。
「っ、神速よ!」
「ビルドアップ!」
トゲキッスは素早く態勢を立て直すと、高速で突撃してくる。しかしウォーグルもビルドアップで物理能力を強化し、神速のダメージを軽減する。
「ブレイククローだ!」
そしてすぐさま鋭い爪を構えてトゲキッスに突っ込む。
「かわしてドレインパンチよ!」
だがトゲキッスはちょこまかと動き回ってブレイククローを回避。羽を発光させ、ウォーグルを殴り飛ばした。
「なにがパンチなんだ……? まあいいや。今度こそブレイククロー!」
ウォーグルは再び爪を構えて特攻する。しかし今度もその攻撃は失敗するのだった。
「ブレイブバード!」
トゲキッスは燃え盛る炎のようなエネルギーを身に纏い、物凄い勢いでウォーグルに突撃。張り切りで命中率が下がっていたため、直撃こそ免れたが、ウォーグルはトゲキッスに跳ね飛ばされてしまった。
「ウォーグル、大丈夫か?」
壁に激突したウォーグルだが、ビルドアップのお陰でダメージはそれほど大きくない。まだまだ戦えそうだ。
「相手は物理技ばかりだ。ビルドアップで強化していけば、勝てない相手じゃない。そういうわけでウォーグル、ビルドアップ!」
ウォーグルは三度目のビルドアップで筋肉をさらに増強。攻撃力と防御力をさらに高める。
「トゲキッス、神速!」
トゲキッスは高速でウォーグルに突っ込むが、また外した。張り切りのデメリットが現れているようだ。
「命中もでたらめ……これならいける。ウォーグル、鋼の翼!」
ウォーグルは両翼を鋼鉄のように硬化させ、攻撃を外して旋回しているトゲキッスに向かって行く。しかし、
「トゲキッス、波動弾!」
トゲキッスはこちらを向いたかと思うと、急に球状の波動を発射してきた。かなりのスピードで、今のウォーグルでは回避はほぼ不可能だ。
「っ! 弾き飛ばせ!」
イリスは咄嗟にそう指示を出し、ウォーグルも鋼の翼で波動弾を弾き飛ばす。が、それがいけなかった。
「もう一発、波動弾よ!」
トゲキッスは続け様に波動弾を発射。今度はウォーグルも上昇して回避するが、その時、ウォーグルの背中に何かがぶち当たった。
それは、さっき弾いたはずの波動弾だ。その後、ウォーグルを追いかけてきた二発目の波動弾も飛来し、ウォーグルを直撃。思わぬ大ダメージを受けてしまう。
「ウォーグル!」
波動弾は特殊技なので、ビルドアップで防御を強化してもダメージに影響はない。なので今の連撃は、ウォーグルの体力を大きく削る攻撃となった。
「波動弾は必中技よ。相殺でもしない限り、防ぐ手立てはないわ。張り切りは命中率に難があるから、必中技の一つくらい、あってもおかしくないでしょう? それにトゲキッスは元々、特殊攻撃の方が高いのよ。そういうわけでトゲキッス、波動弾よ!」
トゲキッスは三発目の波動弾を発射した。ウォーグルの技でで高速で飛来する波動弾を打ち消すのは難しいので、耐え切るしかないが、
「神速!」
ウォーグルが波動弾を受ける準備をしていると、波動弾が着弾する直前にトゲキッスが突撃し、ウォーグルの態勢が崩される。直後、波動弾がウォーグルに襲い掛かった。
「神速でウォーグルの態勢を崩して、波動弾でダメージを稼ぐ気か……なら一気に決める! ウォーグル、ブレイブバードだ!」
ウォーグルは全身に炎の如きエネルギーを纏い、勇猛果敢にトゲキッスへと突っ込んでいく。
「トゲキッス、連続で波動弾よ!」
対するトゲキッスは波動弾を連射する。波動弾は各々異なる軌道でウォーグルに襲い掛かるが、膨大なエネルギーを纏ったウォーグルが止まることはない。
「だったらこれはどうかしら? トゲキッス、側面から神速!」
突っ込んで来るウォーグルをかわし、トゲキッスは神がかったスピードでウォーグルの側面に激突。僅かだが、ウォーグルの態勢を崩し、気道もずらした。
「波動弾!」
そしてすぐに何発かの波動弾を発射する。半分ほどは明後日の方向に飛んでいくが、残り半分はまっすぐにウォーグルへと襲い掛かった。
「まとめて薙ぎ払え!」
ウォーグルはブレイブバードの状態を維持したまま、襲い掛かってくる波動弾を翼で薙ぎ払っていく。しかし、
「トゲキッス、ブレイブバード!」
また側面から、しかもウォーグルと同じブレイブバードでトゲキッスが突っ込んで来る。神速よりも高威力な技であるため、流石のウォーグルも大きく吹っ飛ばされ、エネルギーも消滅してしまう。
「まだ終わらないわ。トゲキッス、ドレインパンチ!」
トゲキッスは吹っ飛ぶウォーグルを追いかけ、翼で打ち上げるようにウォーグルを殴り飛ばした。
「ウォーグル!」
ビルドアップを三回掛けしているのでそこまで大きなダメージにはならないが、それでもダメージは確実に蓄積しているので、そろそろ危ないだろう。どうせやられるなら、せめてあと一撃でも攻撃してから倒されようと考えるイリスだったが、その考えも潰されてしまう。
直後、数発の波動弾がウォーグルを直撃し、地面へと叩き落としたのだ。
「なっ……これは……!」
「念のための保険よ。役に立って良かったわ」
トゲキッスは少し前に、波動弾を二手に分けて放っていたが、その残りがウォーグルを襲ったようだ。
神速なんかの物理技はともかく、何発も波動弾を喰らったのは痛手だった。最後の波動弾を受け、遂にウォーグルは戦闘不能となる。
「戻ってくれ、ウォーグル」
イリスはウォーグルをボールに戻す。
このトゲキッスの厄介な点は、張り切りや神速よりも、波動弾だ。必中技で弾速も速いため、回避不可能、相殺も困難。しかも波動弾だけ対策すればいいかといえばそうではなく、波動弾が着弾するまでのタイムラグで神速を繰り出したりもするので、そちらにも対応できなければならない。
「……よし。なら、あのポケモンで行こう」
イリスは次のボールを手に取り、空中に放り投げる。
「頼んだ、エルレイド!」
イリスの三番手はエルレイド。アイスブレードがあるので弱点はつけるが、飛行タイプを持つトゲキッスに対しては、タイプ上は不利だ。
「へぇ……?」
その、一見すればあまり良いとは言えないチョイスに、シロナは興味深そうな眼差しを見せた。
エルレイドとトゲキッス。手負いとはいえトゲキッスがタイプ上有利なこの勝負は、どう転ぶのか……
シロナ戦その二です。次の相手はトゲキッス、それも特性、張り切りを生かした物理主体の型、通称はりキッスです。とはいえ、小説に合うよう技は若干調整してますがね。ともあれPP削るミカルゲに比べればまだ大人しいスタイルです。白黒は飛行タイプの中では断トツでトゲキッスが好きなのですが、ずっと俺のターンばかりだとちょっと小説としてどうなんだろう、ということでこの型になりました。あと、描写においては特殊技よりも物理技の方がレパートリー豊かですからね。物理主体の方が書きやすいんです。ちなみに最初、シロナの手持ちはトゲキッスではなくウォーグルにしようと思い、ウォーグル対決をやってみたいと思いましたが、どっちのウォーグルが動いているのか分からなくなってこんがらがりそうだったのでやめました。本編がいつもより短い分、今回はあとがきが長くなりましたね。それでは次回、シロナ戦その三。イリスはエルレイドでどうトゲキッスを攻略するのか。お楽しみに。