二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 485章 爆発 ( No.706 )
- 日時: 2013/02/21 16:47
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
イリスの最後のポケモンは、エース、ダイケンキ。
ダイケンキは場に出ると、照りつける太陽をものともせず、貫禄ある威風堂々とした立ち姿で咆号する。
「……別に無理してダイケンキを出す必要はなかったんだぜ? 今は日差しが強い。水技は半減され、こっちにはソーラービームもある。ズルズキンとかの方がよかったんじゃねぇの?」
「いらない世話だよ。最初から決めてたんだ、父さんを倒すのはダイケンキだってね」
「……そうか」
存外あっさりイリゼは引いた。しかし目つきは鋭く、睨み付けるような視線をイリゼとダイケンキに向ける。
「ヒードラン、マグマアクセル!」
ヒードランも雄叫びをあげると、マグマを纏ってダイケンキへと特攻をかける。
マグマアクセルは攻撃するたびに二分の一の確率で素早さを上昇させる技だ。なので今のヒードランのスピードは、かなり上がっている。
「迎え撃て! ダイケンキ、シェルブレード!」
ダイケンキもアシガタナを抜き、二刀流のシェルブレードで迎え撃つが、マグマアクセルは日照りで威力が上がっているのに対し、シェルブレードは逆に威力が落ちてしまっている。なのでヒードランは容易くシェルブレードを突っ切り、ダイケンキに激突した。
「やっぱダメか……ダイケンキ、もう一度シェルブレード! ヒードランを振り払え!」
ダイケンキは再びアシガタナを振るってヒードランを切り裂き、引き剥がす。
シェルブレードはヒードランに効果抜群だが、日照りで威力は半減され、ダメージは等倍レベルに抑えられてしまっている。
「その程度の攻撃じゃ、何発ぶち込もうとヒードランは倒せねぇぞ! ヒードラン、ソーラービーム!」
「かわしてシェルブレード!」
ヒードランは太陽光を吸収し、輝く光線を発射。だがダイケンキは身を屈めて光線を回避し、アシガタナを構える。しかし、
「おいおい、忘れたのか? それじゃぁかわせねぇよ」
発射された光線は壁に埋め込まれた鋼鉄の隕石に当たり反射。再びダイケンキに襲い掛かる——
「聞こえなかった? 僕がダイケンキに指示したのはシェルブレードだよ?」
——直前にダイケンキは振り返り、アシガタナでソーラービームをさらに反射。光線は別の隕石に当たってさらに反射し、ヒードランの顔面に直撃した。
「っ!?」
流石のイリゼも、驚きを隠せない。反射を利用したヒードランのソーラービームが、さらに反射されて返されるとは、思ってもいなかったのだろう。
「……相手の戦術すらも利用するかよ。やるじぇねぇか。こいつの光線の反射角をたった一回で見抜いたのも、お前が初めてだ」
「それはいいね。最初の一人っていうのは、気分がいいよ」
「言ってろ……ヒードラン、スターダスト!」
ヒードランは咆哮し、天井から鋼鉄の隕石を無数に降り注ぐ。リーテイルと違い、ダイケンキではこの大量の隕石を回避するのは難しいが、
「吹雪!」
ダイケンキは頭上に向けて猛吹雪を放ち、落下する隕石を逆戻りさせてすべて天井に埋め込んでしまう。
「反射物のセット妨害にも抜かりなし、か。だったらゴリ押させてもらうぜ。ヒードラン、マグマアクセル!」
マグマを身に纏ったヒードランは再び特攻をかける。
「メガホーンだ!」
ダイケンキも勢いよく角を突き出し、ヒードランをぶつかり合う。しかし虫技のメガホーンでは、日照りで攻撃力の上がったマグマアクセルには敵わず、弾かれてしまう。
「そこだ! ソーラービーム!」
そしてヒードランは、ダイケンキの態勢が崩れた隙を狙って太陽光を凝縮した光線を発射。ダイケンキを吹き飛ばした。
「しまった……ダイケンキ!」
効果抜群の攻撃を受け、大ダメージを負ったダイケンキだが、まだ戦闘不能ではない。
「ダイケンキ、シェルブレード!」
二刀流のアシガタナに水のエネルギーを纏わせ、ダイケンキはヒードランに斬りかかる。
「突破だ! マグマアクセル!」
対するヒードランは、真っ向からシェルブレードに突っ込み、ダイケンキを押し返した。
「くっ、吹雪だ!」
交代しながらもダイケンキは猛吹雪を放って反撃するが、ヒードランへのダメージは薄い。
「メガホーン!」
続けて角を構えて突撃。ヒードランを一突きするも、やはりダメージは少ない。
「どうした、その程度か。ヒードラン、ソーラービーム!」
「跳ね返せ!」
ヒードランは輝く光線を発射するも、アシガタナと隕石に反射されてヒードランに返って来るだけだった。
「やっぱ普通に撃っても当たんねぇか。だったらヒードラン、スターダスト! 前方射出!」
ヒードランが雄叫びをあげると、今度は天井からではなく、ヒードランの周囲から鋼鉄の隕石が無数に発射された。その数は相当多く、一度に何発も連射している。
「ダイケンキ、シェルブレードで迎え撃て!」
ダイケンキも二刀流のシェルブレードで隕石を斬り落とし、受け流し、弾き返す。
そんな状況がいつまでも続くが、ダイケンキが少しずつ押され始めた。
やはり、晴れで水技の威力が半減しているのが痛い。元々ダイケンキの覚えている技はヒードランにダメージを与えにくいのだ。そこに唯一決定打となる水技が半減されてしまえば、まともに削る事すらできない。
だがそれは、ヒードランが出た時から分かっていた事。ただ勝ちたいのであれば、ここはズルズキンを出すべきだ。なのにイリスはそれをしなかった。なぜなら、
「それはただ勝つだけだ。僕は自分の意志を貫いた上で、父さんに勝つ、父さんを超えるんだ。そのためには、ダイケンキと一緒に勝たなければ意味がないんだ!」
「そういうのに固執し過ぎるのは危険な思想だがな。しかし……その言やよし。いいぜ、お前の心意気、信念、真実……まぁなんでもいいが、お前の全てをぶつけてこい。俺も、持てる力を超過するくらい、全力を出して迎え撃ってやる!」
ヒードランの攻撃が止み、ダイケンキもアシガタナを降ろす。ヒードランはリーテイル戦からほとんど変わらぬ佇まいだが、ダイケンキは見て割るほど疲れが溜まっており、消耗している。
「いつもの俺なら、この状況で相手をここまで追い込めば勝利を確信する。だが、今の相手は俺のせがれだ。敗北を勝利に変えてきたような奴だ。だから俺は一切手加減も火加減もしねぇぜ。ヒードラン、マグマストーム!」
ヒードランは咆哮し、マグマの嵐を呼び起こす。炎の渦ならぬ溶岩の渦は一直線にダイケンキへと向かっていき、飲み込まんとする。
「あれは生半可な攻撃じゃ相殺どころか減衰もできない。ダイケンキ、思い切り行くよ、ハイドロカノン!」
ダイケンキも巨大な水の弾丸を生成し、自身を銃身に見立て、発射する。
溶岩の嵐と水の弾丸がぶつかり合うが、決着はあっさりしたものだった。
嵐が弾丸を飲み込み、そのままダイケンキに襲い掛かる。
「ぐっ、ダイケンキ……!」
熱風がトレーナーのところにまで来て、イリスは思わず腕で顔を覆う。そしてその熱風の発生源は、今もなおダイケンキを攻撃し続けていた。
マグマストームは威力もさることながら、ダメージが継続するのが特徴だ。交代もできず、溶岩の渦でいつまでもダメージを受ける。それが、マグマストームの恐ろしさである。
「マグマアクセル!」
さらにヒードランはマグマを纏い、嵐に飲み込まれたダイケンキへと突貫。追撃をかける。マグマストームを受け、体力も残り僅かなダイケンキにとどめを刺すつもりなのだろう。
「ダイケンキ、シェルブレード! ヒードランを跳ね上げろ!」
だがダイケンキも負けてはいない。特性、激流により巨大化した水エネルギーを纏うアシガタナで、突っ込んで来るヒードランの勢いを利用し、そのまま上へと跳ね上げた。しかもその先は、カンカーンが特性、日照りで打ち上げた擬似太陽。
「なにっ……ヒードラン!」
ヒードランは擬似太陽に突っ込み、そのまま落ちて来なくなる。ヒードランの特性は貰い火なので、ダメージはないが、この時イリゼは嫌な予感がしていた。
そして、その予感は的中する。
「ダイケンキ、真上に向けて、ありったけの水量でハイドロカノン!」
そこにダイケンキのハイドロカノンが発射される。それも激流による水量の増加があり、相当な水が圧縮された巨大な水の砲弾だ。それが、擬似太陽に撃ち込まれた。
「行っけえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
砲弾は太陽に着弾した。一瞬の静寂が、この場を支配する。
刹那、部屋は光に包まれる——
『っ——!』
ズガアァァァァァンッ!
——そして、リバースマウンテンは震撼した。
イリゼ戦その九。またまた決着せず。どうにもキーが乗ると、冗長に書いてしまうのが白黒の欠点ですね。そういえば白黒の学校では高校の前期入試だかなんだかで、昨日と今日は登校禁止令がだされていました。高校入試のシステムも変わったんですねぇ……まぁ、今の僕には関係ないですけど。ともあれ親子対決の決着はまたも次回に持ち越し、イリゼ戦その十に続きます。大爆発に巻き込まれたヒードラン、そして追い詰められたダイケンキの行方は如何に。次回もお楽しみに。