二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 503章 液化 ( No.744 )
- 日時: 2013/03/10 15:23
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「アメリシア、潮吹きだ」
アメリシアは大量の潮水を噴射し、バンギラスを攻撃。雨で強化されなくとも、体力がほぼ満タンでタイプ一致の潮吹きなら十分な火力が期待できる、加えてバンギラスには効果抜群だ。普通ならこの一撃で致命傷を与えられる。のだが、
「バンギラス、復讐です!」
潮吹きを耐え切ったバンギラスは、報復の念が込められた拳を振るい、アメリシアを吹っ飛ばした。
それを見てロキは、
「ごめん、前言撤回。これは雨降ってないときつい……」
たった一撃喰らっただけで、そんなことを言い出す。
しかし、雨が降っていなくとも、砂嵐というこの状況がロキにとってはきついのだ。砂嵐の中では、岩タイプのポケモンの特防が上昇する。ゆえにバンギラスは、アメリシアの潮吹きも余裕を持って耐え、反撃できたのだ。
「とりあえず、自己再生だ」
アメリシアは傷ついた体を修復していくが、復讐のダメージが思ったほどに大きく、全快には至らない。
「バンギラス、馬鹿力!」
「アメリシア、守るだ」
バンギラスは凄まじい覇気を発しながら拳を振るうが、アメリシアの展開した結界によって阻まれる。
「自己再生」
そして直後、アメリシアは再び自己再生。これでやっと体力が全快した。
「潮吹きだ」
「突き破りましょう。馬鹿力!」
アメリシアが噴射する潮水を、バンギラスは拳を振るって強引に散らす。
「うーん、イリゼはもっとトリッキーなサナギラスだって言ってたけど、どうやら随分なパワータイプに変貌したみたいだね。アメリシア、雷」
アメリシアは轟く稲妻をバンギラスへと落とすが、狙いが微妙に逸れてしまい、直撃するには至らなかった。雨天状態なら確実に相手を貫く稲妻だが、今の命中率は大して高くない。現状のアメリシアは、技も満足に当てられない状況なのだ。
「地震です!」
雷を余裕で耐えたバンギラスは、地震を引き起こしてアメリシアを攻撃。アメリシアは吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「ストーンエッジ!」
さらに鋭く尖った岩を射出。アメリシアを壁に磔にしてしまった。
「これはまずいな……アメリシア、自己再生」
「させませんよ。バンギラス、ストーンエッジ!」
アメリシアはとりあえず傷ついた体を修復しようとするが、そこにバンギラスの放った岩が連続で突き刺さり、四発ほど喰らうとアメリシアは動かなくなった。戦闘不能だ。
「ふぅ……ありがとう、アメリシア。君は十分よくやってくれたよ」
息を吐き、ロキはアメリシアをボールに戻す。
「それじゃあ、次は君だ。頼むよ、マイプリンセス、シャワーズ」
ロキの二番手は、泡吐きポケモン、シャワーズ。
魚類と哺乳類が合わさったような姿で、尻尾は尾ビレ、耳は胸ビレのようになっている。
「ふふ、ボクのメンバーの眠り姫が遂にご登場だよ。シャワーズ、ハイドロポンプ」
シャワーズは息を吸い、大量の水を一気に噴射。バンギラスに直撃させる。
しかし砂嵐で特防の上がったバンギラスには、いまいち決定打にならない。
「反撃です、バンギラス。復讐!」
ハイドロポンプを耐え切ったバンギラスは、復讐心に駆られながら拳を突き出すが、
「当たらないよ。溶けるだ」
シャワーズ体を液状化し、瞬く間に水へと変貌する。バンギラスはシャワーズが溶けた水溜りを殴るが、手応えはなく、ダメージが通っているようにも思えない。
「ハイドロポンプ」
瞬時に元の姿へと戻ったシャワーズは、大量の水を噴射し、バンギラスを攻撃。
「復讐です!」
バンギラスも先と同じように、復讐の拳を振りかざすが、
「当たらないと言っているだろう。溶ける」
液状化したシャワーズに、バンギラスの拳は通じない。バンギラスの攻撃は、ことごとく透かされるだけだ。
「ばらしちゃうけど、実はボクの手持ちに物理攻撃をメインとするポケモンはいないんだ。だから特防を上げられると戦いにくくてね。今のうちに攻め落とさせてもらうよ。シャワーズ、ハイドロポンプ」
瞬く間に元の姿へと戻ったシャワーズは、またしても水流を噴射。バンギラスを直撃する。
いくら砂嵐で特防が上がっているとはいえ、効果は抜群だ。そろそろバンギラスの体力も少なくなってきただろう。
「ストーンエッジ!」
「溶ける」
今度は復讐ではなくストーンエッジを放つバンギラス。しかしシャワーズの溶けるの前では、その攻撃も意味をなさない。
「ふむ、やはり溶けるが厄介ですね……でしたら、バンギラス、地震!」
バンギラスは勢いよく地面を踏みつけ、地揺れを引き起こす。振動と共に地面に衝撃波が走り、シャワーズが溶けた水溜りを吹き飛ばす。
「んん……」
吹き飛ばされ、元に戻ったシャワーズは少し痛そうに顔を歪めている。溶けるで防御が上がっているが、それでもそれなりのダメージは通っているようだ。
「地震なら通るようですね。ならばバンギラス、もう一度地震です!」
バンギラスは再び地面を踏み揺らし、地震を引き起こした。
「んー……じゃ、そろそろかな。シャワーズ」
ロキの声に応えるようにシャワーズは鳴き、そして、
「バトンタッチ」
シャワーズはボールの中へと戻っていった。
「っ、バトンタッチ……」
「うん。この技がどういうものか、君なら分かるよね」
言ってロキは、シャワーズと交代で、次なるポケモンを繰り出す。
「ボクらに勝利を、マイヴァルキリー、ロズレイド」
ロキが繰り出したのは、ブーケポケモン、ロズレイド。
人型だが、白薔薇のような頭部、両手には赤と青の花束がある。肩からはマントのような長い葉っぱがあり、目元もマスクで覆われ、どことなく優雅な佇まいだ。
「次は草タイプですか。バンギラス、ストーンエッジ!」
バンギラスは鋭く尖った岩を連射する。しかしロズレイドは避けようともせず、ただまっすぐに岩を見つめるだけだった。そして、
岩がロズレイドを透過した。
「っ……!」
「ロズレイド、危険な毒素」
何食わぬ顔でロズレイドはバンギラスに接近。そして両手の花束から、如何にも毒々しい半液状の物質を発射し、バンギラスに直撃させる。
「今のは……」
流石のザンバも驚きを隠せなかったが、少しずつ平静を取り戻していく。それと同時に、さきほど起こった現象のメカニズムも解いていく。
「溶けるに、バトンタッチ……ですか」
「まあね」
バトンタッチは、発動したポケモンの能力変化を受け継いで次のポケモンと交代する技。ゆえにシャワーズの溶けるの状態を受け継いだロズレイドも、体を液状化させることができるのだ。
「それに、厄介なことにもなりました」
バンギラスが毒素を受けた箇所は、毒々しい色に変色していた。それを見てザンバは、顔をしかめる。
「それを狙ったんだ、当然だよ。ロズレイド、ウェザーボール」
ロズレイドは砂嵐を吸収し、焦げ茶色の球体を生成。そのままバンギラスへと発射する。
「バンギラス、ストーンエッジです!」
ウェザーボールを受け、バンギラスは鋭い岩を発射して反撃に出るが、
「神通力だ。送り返して」
発射された岩はすべて止められ、どころかそのままバンギラスへと逆戻りする。
「決めるよ、ロズレイド。リーフストーム」
さらにロズレイドは、大量の渦巻く葉っぱを集め、嵐の如き勢いでバンギラスへと放つ。
葉っぱの渦に飲み込まれたバンギラスは、全身をズタズタに切り刻まれた。渦が晴れると、バンギラスは鈍い音を立てて倒れ込む。
「ここまでですか……戻りなさい、バンギラス」
ザンバはバンギラスをボールに戻す。
「では次、行きましょう。ルナトーン!」
ザンバの二番手は、隕石ポケモン、ルナトーン。岩石のような三日月型の体をしている。
「砂嵐で特防上昇に、エスパータイプか。今のロズレイドには打ってつけってわけだ」
「そういうことです。ルナトーン、瞑想」
ルナトーンはすぐには攻撃せず、まずは精神を集中し、特殊能力を高める。
「サイコバーン!」
そして精神統一が終わると、念力を込めた衝撃波を放つ。
「かわしてリーフストームだ」
特殊技では溶けるの効果が適用されないので、ロズレイドは舞うように衝撃波を回避。葉っぱの嵐をルナトーンにぶつける。
しかし砂嵐、瞑想に加えてロズレイドの特攻は初撃のリーフストームで二段階落ちている。そのためルナトーンは余裕で耐え切り、
「催眠術です!」
ロズレイドに催眠術をかけた。
するとロズレイドは瞬く間に崩れ落ち、その場で眠りに落ちてしまう。
「眠り状態とは、ポケモンにとって最も無防備な状態。今のうちに下準備を整えておきましょう。ルナトーン、瞑想」
ロズレイドが深き眠りにつく中、ルナトーンはひたすら精神を集中させる。
第五節その三。ロキ対ザンバです。こうしてみると、ロキとイリゼはバトルスタイルが似通ってますね。晴れパのイリゼに対して雨パのロキにしたのですが、日照りカンカーンと雨降らしアメリシア、バトンタッチ使いのリーフィアに対して同じくバトンタッチ使いのシャワーズ、ウェザーボールを使うオニゴーリにロズレイド。ここまでは特に狙ったわけでもないのですが、自然とこうなりました。今回は砂嵐が発動しているので、ロキは若干不利ですけどね。というわけで次回、双子のバトルか、ロキ対ザンバか、どちらかです。次回もお楽しみに。