二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 518章 ロキvsフォレス ( No.767 )
- 日時: 2013/03/19 04:55
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
下っ端の大軍を突き抜け、ロキは森へと向かった。そこでも多数の下っ端に襲われたが、数は大したことがなかったので軽く撃退。そのまま奥へと進む。
森の中心部と思しき場所まで辿り着くと、そこには小さな湖——池と言ってもいいかもしれない——があった。そして、湖の対岸には一つの人影が。
「……誰かは来るだろうと思っていたが、まさかあんたが来るとは思わなかったな。前代英雄」
無造作に跳ねた緑色の髪。森の中だと保護色になる迷彩柄の服に漆黒のコートを合わせた男。ベルトにはプラズマ団の紋章が刻まれている。
森樹隊統率、序列五位——7P、フォレス。
「君は……誰だっけ? どこかで会ったことあるかな?」
本当に誰だか分からないと言った風に、ロキは首を傾げる。しかしフォレスはそれを気にすることもなく、
「いいや、初対面だ。加えて言えば、俺もあんたの顔を見るのは初めてだ。データにあった特徴と一致するってだけで、本当に前代の英雄だったかどうか、確証はなかった」
あくまでも冷静に返すフォレス。その目は、どこか違うところを見ているようにも感じられた。
「……ねぇ君、名前は?」
「あ?」
「名前だよ、名前。これから戦う相手のことくらい、知っていてもいいだろう?」
「……レイさんも言ってたことだが、変な奴だな、あんた」
ふぅ、と呆れたように溜息を吐き、
「7Pのフォレスだ。今はな」
フォレスは、そう名乗りを上げる。
「ふぅん、ボクはロキっていうんだ。知ってるだろうけど、まあ、よろしくね」
軽く挨拶をして、ロキはボールを一つ手に取り、フォレスに見せつけるように掲げた。
「一応、ボクらの目的は君たちを倒すことだからね。君はあんまり乗り気じゃないみたいだけど、戦ってもらうよ」
「別に、乗り気じゃねえわけじゃ、ねえんけどな。ただ、他に気になることがあるだけだ」
「気にしなくていいんじゃないかな? そっちの方は、ボクの愚息がなんとかしてくれるさ」
「……全部お見通しかよ、初対面だってのに」
今度は諦めたように溜息を吐き、フォレスもボールを構えた。
「とりあえず、俺の目的を達成するために、勝負の方式は四対四にさせてもらう。依存があっても聞き入れねえぞ」
「いいよ別に。それは個人的な目的っぽいからね。依存なんてないよ」
「そいつは良かった……んじゃ、行くぞ」
そして、両者は同時にポケモンを繰り出す。ポケモンが降り立つのは、湖に浮かぶ多数の岩の上だ。
「まずは君からだ。マイハニー、アメリシア」
「出番だ、マカドゥス!」
ロキの初手は、雨乞いポケモン、アメリシア。アメフラシのような姿のポケモンで、尻尾の先端には赤い球体が付いている。
対するフォレスが選出するのは、サーベルポケモン、マカドゥス。全身が刺々しく、攻撃的な意匠の化石ポケモンだ。
アメリシアが場に出たことで、突如、この森一帯に雨が降り注ぐ。アメリシアの特性、雨降らしだ。
「うーん? 雨雲がいつもより小さい……? これはどういうことかな?」
ロキは上空を見上げ、そんなことを言う。それに対してフォレスは、
「以前、ヒオウギでの戦闘だがな。あんたのアメリシアの特性で、他のバトルに大きな影響が出てんだ。どうやらあんたのアメリシアは、雨降らしの効果範囲が広いらしいな。そん時は俺たちが有利になったが、あれを組織ぐるみで戦略的にやられたらたまんねえ。だからアシドに頼んで、この空中都市の各エリアに特殊な結界を張ったんだ。天候による影響を受けないようにな」
見れば確かに、雨雲が続いているのはちょうど森の中だけ。つまり森が一つのエリアとなっているようだ。
「ふーん、そうなんだ。ならいいや。いやはや、マイハニーの調子が悪いのかと思って冷や冷やしちゃったよ。でも、君らの干渉によるものなら、別に構いやしない。普通に攻めさせてもらうよ。アメリシア、潮吹き」
先に動いたのはアメリシアだ。
アメリシアは大量の潮水を空高く噴射し、雨による強化を受け、マカドゥスへと降り注がせるが、
「マカドゥス、かわしてダイヤブラスト!」
マカドゥスは一気に前進して潮吹きを回避。アメリシアに近づくと、宝石のように煌めく爆風を放ってアメリシアを吹っ飛ばす。
「磁力線!」
さらに磁力の波を放ってアメリシアを追撃する。効果はいまひとつなのでダメージは少ない。
「あんたは雨状態で戦うのが好きみたいだが、特性だろうとなんだろうと、雨は自然の産物。自然は俺の味方だ。マカドゥス、雷!」
マカドゥスは雨雲に向けて電撃を放つ。すると暗雲からは雷鳴が轟き、やがてアメリシアに向けて一つの稲妻が落とされる。
「アメリシア、守る」
が、稲妻はアメリシアの張った結界で完全防御。アメリシアはノーダメージだ。
「大地の怒り!」
しかし直後、マカドゥスは湖の脇の地面から大量の土砂を噴射し、アメリシアを攻撃。守るを使用してすぐなので、防御はできない。
「磁力線だ!」
そしてまた磁力線で追撃。効果いまひとつと言えど、何度も喰らってはダメージが蓄積してしまう。
「まだだ! マカドゥス、ダイヤブラスト!」
マカドゥスは攻撃の手を緩めず、アメリシアに接近して煌めく爆風と共に衝撃波を放ち、アメリシアを吹っ飛ばす。
「雷!」
「守る」
雷だけはアメリシアも受けたくないので、結界を張って防御する。そして、
「自己再生だ」
すぐさま自然治癒能力を高め、今までに受けた傷を回復させる。とはいえ、マカドゥスの猛攻が激しかったので、全快とはいかない。しかも、マカドゥスは回復技など気にせず、ガンガン攻めてくる。
「マカドゥス、ダイヤブラスト!」
足場を飛び跳ねて接近してくるマカドゥスは、白色に煌めく爆風を放ち、アメリシアを攻撃。さらに、
「大地の怒り!」
地面から土砂を放って追撃を掛け、アメリシアを吹っ飛ばし、湖へと叩き落とす。
水タイプなので水中でも動くことは可能だが、マカドゥスは電気タイプ。電気タイプのポケモンに対し、水中に身を潜めることは愚行である。なぜなら、
「マカドゥス、雷だ!」
マカドゥスは雨空から一本の稲妻を落とす。稲妻は直接アメリシアを狙うが、直撃でなくとも、電気は水を伝わり、アメリシアに襲い掛かるだろう。
「アメリシア、守りだよ」
だがアメリシアには守るがある。この技で雷を完全に防御してしまう。
「潮吹き」
「かわして磁力線!」
続いてアメリシアは大量の潮水を噴射するも、マカドゥスに避けられ、そのまま磁力線を当てられる。
「もう一発だ!」
さらに磁力線がアメリシアを襲い、二連続の追撃を喰らってしまうアメリシア。しかも、マカドゥスの攻撃は止まらない。
「大地の怒り!」
「させないよ。潮吹き」
マカドゥスが大地を鳴動させようとするが、そこにアメリシアが潮吹きを放ち、マカドゥスの攻撃を中断させる。だがそれも一時的に凌ぐだけだ。
「磁力線!」
マカドゥスは違う足場に着くと、磁力の波を放ってアメリシアを攻撃。さらに、
「雷!」
雨雲から槍のような稲妻を落とす。
「またかぁ。守る」
アメリシアは守るで落雷を防御。ノーダメージでやり過ごす。
ここまで、アメリシアはほぼ防戦一方。たまに攻撃できる機会があっても、マカドゥスの機動力でかわされる。対してマカドゥスは素早く動き回って強力な攻撃を連続で叩き込んで来る。回復するにもタイミングが重要なので、このままではアメリシアも削り落とされるだろう。
「だったらとりあえず、動きを止めてみようかな。アメリシア、雷」
アメリシアはマカドゥスと同じように雨雲に向けて一発の電撃を放つ。しかし、
「……あ」
ロキはその時、自分の失敗に気付いた。しかしもう遅い。もう修正は利かない。
天高く打ち上げられた電撃は、雨雲の中で一本の槍と化し、稲妻となってマカドゥス目掛けて落下する。
マカドゥスはそれを避けようともしない。だが、そもそも避けられるはずがないのだ。雷は一直線にマカドゥスに直撃した。
しかしマカドゥスにダメージはない。効果いまひとつどころではないほど、マカドゥスへのダメージは皆無だ。なぜなら、
「そうかぁ……君のマカドゥス、避雷針なんだね」
避雷針とは、主にダブルバトルなどで使われる特性で、簡単に言うと電気技を吸い寄せる特性だ。そして吸い寄せた電気は自身の力へと変換され、そのポケモンは特攻が上がる。
つまりアメリシアの攻撃は、ただマカドゥスの特攻を上げただけなのだ。
「マカドゥス、ダイヤブラスト連発!」
特攻が上がった途端、マカドゥスの攻撃がさらに激しくなる。マカドゥスは足場を飛び跳ねながら煌めく爆風を放ち、アメリシアに連続攻撃を浴びせる。
「ん、んぅ……アメリシア、守る」
流石に耐え切れなくなったのか、アメリシアは守るで四方八方から放たれる爆風をシャットアウトする。
しかし、それこそがマカドゥス——そしてフォレスの罠だった。
「マカドゥス、雷!」
次の瞬間、暗雲から一本の槍が落とされる。雷撃と化した鎗は、一直線にアメリシアへと向かっていった。
ちょうど守るの効果が切れた瞬間を狙って落とされる稲妻。ロキが次に指示を出すよりも早く、稲妻はアメリシアを襲う。
「アメリシア、まも——」
ロキが言い切る前に、雷の神鎗が、アメリシアを貫いた。