二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 528章 修復 ( No.779 )
日時: 2013/03/20 19:02
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「……戻って、プリン」
 プリンの恩返しとファントマの熱風。どちらも攻撃を決めれば相手を倒せるという状況。一瞬の差で決まる勝負を制したのは、ファントマだった。
 リオはプリンをボールに戻し、次のボールを手に取った。
「次はあなたよ、リーフィス!」
 リオが次に繰り出すのは、観葉ポケモン、リーフィス。
 植物の体はガラス鉢に守られており、分類通り観葉植物のような出で立ちのポケモンだ。
 エレクトロはそんなリーフィスに反応を示した。
「おや? そのリーフィス……鉢は修復したのですね」
「まあね。粉々に粉砕されたから随分時間が掛かっちゃったけど、なんとかこの時までには間に合ったわ」
「刺々しいですね。根に持っていらっしゃいましたか」
「恨みを買ってないとでも思った?」
「まさか」
 そんなやり取りの後、両者は動き出す。
「ファントマ、熱風!」
「リーフィス、大地の怒り!」
 ファントマが放つ熱風を、リーフィスは土砂を噴出して防御。一緒に高級そうなテーブルやカーペットが吹き飛んで行ったが、今更気にするほどのものではないだろう。
「大成長!」
 リーフィスは熱風を防ぐと、今度は無数の根っこを呼び出してファントマを攻撃。ファントマを絡め取り、動きを止めた。
「もう一度、大成長!」
 さらに植物を呼び出し、ファントマに叩き付ける。効果はいまひとつだが最初の大成長で特攻が上がり、そうでなくともプリンとのバトルで消耗していたファントマは、その攻撃で戦闘不能となった。
「ふむ……まあ、こんなところでしょう。戻りなさい、ファントマ」
 エレクトロは何と言うこともなく、ファントマをボールに戻した。
「さて、相手がリーフィスならこちらのポケモンは決まっています。今日の私は調子がいい。過去最大の解放率で、お相手しますよ」
「最初からそのつもりだったけどね。最高状態の貴方を倒さないと、それは相手を倒したことにはならない」
「左様でございますか……では。戦の時間です、ハッサム!」
 エレクトロが次に繰り出すのは、鋏ポケモン、ハッサム。
 赤い鋼鉄の体を持ち、両手には目玉模様のある鋏。背中には薄い翅がある。
「ハッサム、今度は修復が不可能なほどに破壊して差し上げましょう。ぶち壊す!」
 ハッサムは地面を蹴って飛び出し、リーフィスに接近。そして凄まじい勢いで鋏をリーフィスのガラス鉢に叩き付けた。
 ガイィンッ! という甲高い音が響き渡るが、リーフィスのガラス鉢には傷一つつかない。どころか、
「っ 光……?」
 リーフィスのガラス瓶は、白く光り輝いていた。
「今までずっと休養してたけど、リーフィスだってただ寝てただけじゃないのよ。あの家で、この子なりに強くなってる。リーフィス、ハイドロポンプ!」
 リーフィスは勢いよく水を噴射し、ハッサムを押し飛ばした。水量も発射までの時間も、以前より強化されている。
「そちらも本気というわけですか……いいでしょう。ハッサム、バレットパンチです!」
 ハッサムは弾丸の如きスピードでリーフィスに接近し、鋼鉄の拳を叩き込む。
「リーフィス、大成長!」
「アクロバット!」
 リーフィスは素早く植物を成長させて攻撃を繰り出すが、俊敏なハッサムの動きで回避され、頭に鋏の一撃を喰らう。
「ハッサム、ぶち壊す!」
 着地したハッサムはガラス鉢に鋏を叩き付ける。弾き返されるということはないものの、やはり鉢には傷一つつかない。
「やはり硬度が上がってますね……無理に破壊すべきではありませんか。ハッサム、バレットパンチ!」
 ハッサムは弾丸のようなスピードでリーフィスを殴りつけるが、効果はいまひとつだ。
「ハイドロポンプ!」
「かわしてアクロバット!」
 リーフィスは勢いよく水を噴射して反撃するが、ハッサムも身を捻って水流を避け、鋏をリーフィスに叩き付ける。しかし、

「宿木の種!」

「っ!」
 直後、リーフィスは何発もの種を発射し、ハッサムに植え付ける。これで、ハッサムは継続的にリーフィスから体力を奪われることとなってしまった。
「……以前はハイドロポンプに仕込ませていたはずですが、今度は直接撃ってきましたか」
「種を水流に紛れ込ませる手は、もう知れ渡っちゃってるみたいだからね」
 宿木の種を植え付けられるだけで、リーフィスの有利不利は大きく変わる。
 ここからは競争だ。宿木でハッサムの体力が尽きるのが先か、ハッサムがリーフィスの体力を削りきるのが先か。
「リーフィス、大成長!」
「ハッサム、虫食い!」
 リーフィスは大量の植物を呼び出してハッサムを襲わせるが、ハッサムは鋏をガチガチと鳴らし、襲い来る植物を毟り取っていく。
「バレットパンチです!」
 そして植物を毟り終えると、鋏を拳のように固め、弾丸の如きスピードでリーフィスを殴りつける。
「ハイドロポンプ!」
「アクロバット!」
 リーフィスが放つ水流を、ハッサムは跳躍して回避。リーフィスの脳天に鋏を叩き付ける。しかし、
「大地の怒り!」
 次の瞬間、地面から土砂が噴出し、ハッサムはなす術もなく吹き飛ばされてしまう。
「っ、ハッサム、攻撃の手を緩めてはなりませんよ。バレットパンチ!」
 なんとか着地したハッサムは、すぐに地面を蹴ってリーフィスに特攻。弾丸のような拳を叩き込む。
「ぶち壊す!」
 続いて全てを破壊するような勢いで鋏を突き出し、ガラス鉢に叩き付ける。鉢を破壊するのは無理そうだが、衝撃自体は内部にも通る。ノーダメージということはない。
「もう一度ぶち壊す!」
「させない! 大成長で捕まえて!」
 ハッサムは連続で鋏を突き出し、ガラス鉢を攻撃。しかし直後に大量の植物がハッサムを取り囲み、ハッサムを拘束していく。
「この程度の縛り、私のハッサムには通用しませんよ。虫食い!」
 ハッサムは鋏を鳴らし、襲い来る植物を引き千切っていく。そして、
「アクロバットです!」
 一気に跳躍してリーフィスの真上を取り、脳天に鋏を叩き付けた。
「続いて虫食い!」
 ハッサムの猛攻は止まらず、さらにハッサムはリーフィスの体へと鋏を伸ばすが、
「それだけはさせない! 大地の怒り!」
 リーフィスは土砂を噴き出して強引にハッサムを引き剥がす。ガラス鉢の中はリーフィスの弱点。そこだけは、どうしたって克服できるものではないのだ。
「リーフィス、ハイドロポンプ!」
「ハッサム、ぶち壊す!」
 リーフィスが放つ水流を、ハッサムは鋏を突き出して文字通りぶち壊す——ことはできなかった。
 水の勢いが強すぎるため、散らし切ることができず、ハッサムは弾き飛ばされてしまう。
「大成長ですか……ハッサム、起きなさい。バレットパンチです!」
 ハッサムはすぐに起き上がると、弾丸の如きスピードでリーフィスに接近。拳を突き込む。
「虫食い!」
「大成長!」
 続けて鉢の内部に鋏を伸ばすハッサムだが、地面から這い出て来た大量の根っこにより阻まれてしまう。
「ならば、毟り取ってからアクロバットです!」
 ハッサムは襲い掛かる根っこを鋏で毟り取り、一息で跳躍。宙返りをしつつ、リーフィスの脳天に鋏を振り下ろす。
「続けてぶち壊す!」
 着地したハッサムは続けて鋏を突き出し、ガラス鉢に思い切り叩き付けた。
「バレットパンチです!」
 ハッサムの攻撃は止まらず、さらに弾丸の如き拳でリーフィスの顔面を殴りつける。
 ここまで、怒涛の攻撃でハッサムが押しているように見えるが、実際はそうでもない。リーフィスはハッサムからガンガン体力を奪っていくため、ハッサムの攻撃を受けた側から回復していく。逆にハッサムはいくら攻撃してもリーフィスの体力はなかなか減らず、対照的に自分の体力はどんどん減っていく。
 リーフィスが強固かつ高耐久であることも相まって、ハッサムは限界ギリギリまで追い詰められていた。
「攻めているのに追い詰められるというのもおかしな話ですね。ハッサム、虫食い!」
「リーフィス、ハッサムを避けつけないで! ハイドロポンプ!」
 ハッサムは鋏を伸ばすものの、リーフィスが放つ水流に押し流されてしまい、攻撃は届かない。
「大地の怒り!」
 そして地面から大量の土砂を噴出するが、
「アクロバットです!」
 大きく迂回してハッサムは土砂を回避。横からリーフィスを攻撃する。
「もう一度アクロバット!」
 そこから跳躍し身を捻り、リーフィスの脳天に鋏を振り下ろした。
「バレットパンチです!」
 着地すると、今度はアッパーカットのように弾丸のような拳を叩き込む。特性、テクニシャンで強化されたバレットパンチは、効果いまひとつでもそこそこのダメージはあるはずだが、リーフィスはまったく堪えず、
「大成長!」
 地面から大量の根っこを呼び出し、反撃に出る。
「またですか……ハッサム、虫食い!」
 ハッサムは襲い来る根っこを鋏で千切って毟り取っていく。その時だった。
「ハイドロポンプ!」
 直後、大量の水がリーフィスから噴射される。幾度と発動した大成長の追加効果で特攻が上がったハイドロポンプの威力は凄まじく、容易くハッサムを吹き飛ばす。
「ハッサム!」
 宿木の種で体力を奪われ続けていたハッサムは、その一撃で、遂に戦闘不能となった。
 リーフィスは倒れたハッサムを見ると、嬉々とした声を上げる。
「……リベンジ、達成」
 そしてリオも、小さく、静かに呟くのだった。