二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 539章 連破 ( No.791 )
日時: 2013/03/22 23:13
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「戻って、ポリゴンZ」
 ミキはポリゴンZをボールに戻す。これで初めてミキのポケモンが戦闘不能にされたわけだが、残り三体でフレイのストータスを削りきれるかどうかは、怪しいところだ。
「それでも、今度こそは勝つって決めたんだ……出て来て、カブトプス!」
 ミキが繰り出すのはカブトプス。攻防共に、ストータスとは非常に相性が良い。
「カブトプス……そっかー、なんでカブトプスを出したのか不思議に思ってたけど、ステルスロックがあったんだねー」
 フレイは地面に撒かれた鋭い岩を見遣り、言う。
「相手のタイプに応じてダメージ量が変化するのがステルスロックの特徴だけど、そのダメージは固定ダメージに近いからねー。ガードの堅いストータスを少しでも削っておきたかったわけかー」
 フレイの言うことはズバリ的中していた。ストータスは登場時に鋭く尖った岩を踏みつけており、ダメージを受けている。
 しかしそのダメージも、ストータスにとっては微々たるもの。まだまだスタミナは残っている。
「ストータス、大地の怒り!」
「カブトプス、スプラッシュ!」
 ストータスは大地を鳴動させ、地面から大量の土砂を噴射する。
 だがカブトプスも全身に水流を纏い、降りかかる土砂に突貫。そのまま土砂を突っ切り、ストータスに激突する。
「メタルニッパー!」
 そして続け様に鎌を振るってストータスを三度切り裂く。しかし、
「ジャイロボールだよ!」
 ストータスもその場で高速回転し、接近して攻撃を仕掛けてくるカブトプスを吹き飛ばした。
「グランボールダ!」
「っ、メタルニッパーで切り落として!」
 ストータスが浮かべる岩石を、カブトプスは片っ端から切り落としていく。だが四方八方から飛んでくる岩を全て捌くことは不可能で、何発かは掠めるように喰らってしまった。
「今度はこっちの番だよ! カブトプス、ストーンエッジ!」
 グランボールダの連撃が止まると、今度はカブトプスも鋭く尖った岩を無数に浮かべ、ストータスに向けて射出する。
 ストータスは逃げも隠れもせず、襲い掛かる岩の直撃を全て喰らったが、岩は突き刺さらず、ストータスの硬い甲羅の前では全て砕け散ってしまう。
「うぅ、もう一度ストーンエッジ!」
 効果抜群の攻撃が通じない事に怯んでしまうが、それでもカブトプスは尖った岩を連射する。
「ジャイロボール!」
 だが今度はストータスも高速回転して襲い掛かる岩を全て粉砕し、
「大地の怒り!」
 そして地面から大量の土砂を噴射。
「スプラッシュで突き抜けて!」
 広範囲に放たれる土砂は、カブトプスでは回避は困難だ。なのでカブトプスは水流を纏い、飛沫を散らしながら土砂に突っ込んでいく。
 水流を盾に土砂を突き抜けると、カブトプスは全身全霊でストータスに激突。大地の怒りを突っ切ったために威力は減衰しているものの、四倍の弱点を突いた攻撃はストータスには相当効くはずだが、
「何度も言うけど、そのくらいじゃあたしのストータスは倒せないよ。ストータス、ジャイロボール!」
 ストータスはその場で高速回転し、カブトプスを吹き飛ばす。その姿は、やはり大ダメージを負っているようには見えない。
「ほらほら、もっとガンガン攻撃しないと、いつまでたってもストータスは倒せないよー? 噴火!」
 ストータスは甲羅の中で熱く煮え滾る石炭を、爆炎と共に噴出する。放物線を描きながら、さながら溶岩のように大量の石炭がカブトプスへと降り注ぐ。
「カブトプス、スプラッシュ! とにかく耐えて!」
 カブトプスは全身に水流を纏って防御態勢を取る。これほどの量の石炭を避けきれるとは到底思えないので、ここはとにかく防御しかない。
(それにしてもこの噴火、さっきと威力が全く変わってないような気がする……)
 気のせいだと思いたいが、もし本当に威力が変わっていないのなら、今までストータスに撃ち込んだ攻撃は全て効いていなかったことになってしまう。
 噴火の炎がカブトプスを飲み込んだ。スプラッシュで纏った水流は瞬く間に蒸発してしまい、カブトプスの体は焼き焦がされていく
「カ、カブトプス……!」
 炎が消える頃、カブトプスはまだ立っていた。気休めのスプラッシュが効いたのか、タイプ相性で威力が四分の一になっていたからなのかは分からないが、それでもまだ戦闘不能ではない。
「戦闘不能じゃなければ、まだ戦える。カブトプス、ストーンエッジ!」
 カブトプスは周囲に鋭く尖った岩を無数に浮かべ、ストータスに向けて発射。全弾命中させる。
「スプラッシュ!」
 そして続け様に水流を纏い、ストータスに向かって突貫し、激突する。二連続で効果抜群の攻撃を叩き込んだ、しかも一回は四倍の弱点を突いてだ。ストータスの体力は確実に削れているはず。
 だがしかし、そんなことはストータスには関係ないのだ。

「ストータス、大地の怒り!」

 次の瞬間、カブトプスの真下の地面から大量の土砂が噴射され、カブトプスは宙を舞った。
「カブトプス!」
 反撃の大地の怒りを喰らい、吹っ飛ばされるカブトプス。長い滞空時間の後、カブトプスは落下して地面に叩きつけられる。
「……戻って、カブトプス。ありがとう」
 ミキは戦闘不能となったカブトプスをボールに戻す。
「残念だけど、ちょっとやそっと削ったくらいじゃーあたしのストータスには関係ないんだよねー。そもそも、ストータスの硬度を見る限り、まだそんなに体力減ってないだろうしー」
 眠たげな表情で笑みを浮かべ、意味深なことを言うフレイ。
 そんなフレイに対し、ミキは次のボールを取り出した。
「次は頼んだよ、ハンタマ!」
 次に出て来るのはハンタマ。二連戦での疲れは、もう十分に取れただろう。
「ハンタマ、マッハパンチ!」
 ハンタマは場に出て早々に飛び出し、ストータスの顔面を殴りつける。
「もう一度、マッハパンチ!」
 一度着地し、今度はアッパーカットのように拳を叩き込み、
「マッハパンチ!」
 そのまま宙返りするようにストータスの頭上から拳を突き込む。
 効果抜群の三連続攻撃。だがやはり、この程度ではストータスも怯まない。
「ストータス、ジャイロボールだよ!」
 ストータスはその場で高速回転し、ハンタマを引き剥がす。
「大地の怒り!」
「かわしてサイコバレット!」
 そして地面から土砂を噴出し、ハンタマを追撃しようとするが、大振りな技では俊敏なハンタマを捉えられず、かわされて念力の銃弾を撃ち込まれる。
「シャドーパンチ!」
 ハンタマは影を拳に乗せて飛ばし、ストータスに撃ち込む。が、効果は非常に薄い。
「やっぱりシャドーパンチじゃダメだよね……ハンタマ、マッハパンチ!」
 地面を蹴り、刹那の内にストータスへと接近したハンタマは、鋭い拳をストータスに突き込む。
「もう一度、マッハパンチ!」
 そしてもう片方の拳で顔面を殴り追撃。ストータスは頭を少し揺らすだけで、まったく動じない。
「引き剥がすよストータス、ジャイロボール!」
 ストータスはその場で高速回転し、ハンタマを弾き飛ばそうとするが、
「後ろに下がって! サイコバレット」
 ハンタマも素早く後退してジャイロボールを回避。念力を固めた銃弾を無数に生成し、マシンガンの如くストータスに撃ち込む。
「連続でマッハパンチ!」
 続いてハンタマはストータスに急接近し、拳をストータスに叩き込む。そして次の瞬間には側面に回り、さらに拳を突き出す。さらにその次の瞬間には背中から、拳で殴りつける。
 目まぐるしく立ち位置を変え、ハンタマはストータスの全身を次々と殴打していく。
 だが、
「ジャイロボールだよ!」
 ストータスは高速回転し、強引にハンタマを引き剥がした。さらに、
「大地の怒り!」
 地面から大量の土砂を噴射して、ハンタマを追いかける。けれども、放たれた土砂はハンタマを捉えない。
「マッハパンチ!」
 ハンタマは高速で動き回って土砂をかわし、ストータスに次々と拳を叩き込んでいく。一発一発は小さいが、手数で攻めるハンタマが出来るのは、確実に攻撃をかわし、確実に攻撃を入れることだ。
「ブレイズキック!」
 時折炎の蹴りを入れながら、ハンタマは手数でストータスを攻める。
 そんなハンタマを見て、フレイは呟く
「んー、流石に鬱陶しいなー……こうなったら、あれ、やっちゃおっかー」
「……っ」
 ぞわりと、ミキの背筋に冷たいものが走る。すぐにハンタマへと指示を出そうとするが、遅かった。

「ストータス、噴火!」

 ストータスが放ったのは、必殺級の破壊力を誇る大技、噴火。しかしその放ち方が、今までと違っていた。
 まず放物線を描いていない。目標を定めてそこに注ぎ込むような攻撃ではなく、噴水のように周囲に撒き散らすかのような噴射だ。
「これって……!」
 ミキは見た瞬間に理解する。この放ち方では、ハンタマでもかわせない。ストータスを中心とした円形に降る爆炎は、ストータスとハンタマ、双方のポケモンを容易く呑み込む。
「ハンタマ!」
 噴火の炎に飲み込まれ、ハンタマはあっという間に身を焼かれる。見るまでもなく、ハンタマは戦闘不能となった。
「あ、ぅ……戻って、ハンタマ」
 ミキはハンタマをボールに戻し、次のボールを手に取った。
 これが、ミキの最後のポケモンだ。