二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 40章 掘削 ( No.83 )
日時: 2011/08/06 09:42
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

Nとレイカはイリス達と分断され、別ルートから出口を探す事となった。
「それにしても……どれだけ広いんでしょうね、この洞窟」
「どれだけ広いかは分かりませんが、相当広いはずです。それに、相当な時間がかかっているとも思うのですが……」
レイカの語尾がやや弱くなるが、すぐに言葉を続ける。
「たぶんこの洞窟は短期的に掘られたものです。14番道路にここへ繋がる穴がいくつも掘られているにも関わらず、今まで14番道路で行方不明といった感じの奇妙な情報が全くありませんでしたから。恐らくは何匹もの掘削用ポケモンや機械などを使って、掘り進めていったものだと思われます」
Nはレイカと推理力にただただ感心した。普通のトレーナーという感じではなさそうだ。
「でも……いくら戦力が不明のプラズマ団でも、こんなに広大な地下洞窟を掘り進めるほどの人員とポケモンがいるものなのか……」
ちなみに現在のプラズマ団員でNが知っている者はいない。Nは一年前にプラズマ団の城に集結させていたのと、各地で戦いを起こしたプラズマ団しか知らず、その者達も国際警察に逮捕されている。
なのでNは現在のプラズマ団の戦力を知らないわけで、ゲーチスの事だから恐らく前のプラズマ団よりも戦力が多いと思っているのだが、それでもこの地下洞窟を短期間で掘り進めるほどの人員がいるものなのか。
「いるよー」
その時、前方から声が聞こえてきた。
「あたし達の人数はフォレスがいきなり言い出した掘削作業なんかじゃ、一割足らずの人員で足りるくらいいるんだよー」
その声の主は赤く長いポニーテールに、淡いピンク色の簡素な浴衣を着て、背中に差した団扇にはプラズマ団の紋章が入っている少女。
「知らない人もいるかもだから、一応名乗るよー。あたしはフレイ、7P(セヴンプラズマ)だよー」
眠たげな表情で、無気力な雰囲気を出しながら、脱力した声で、フレイは名乗りを上げる。
「……こんな所で7Pの当たるなんてね……つまり君が、僕らと戦うのかな?」
「んー。まあ、正解だけど言葉に出てない方は不正解だから半分正解って感じかなー?」
「……?」
フレイの言葉に、Nは疑問顔となる。
「あたしは自分のポケモンを使ってバトる事はあんまりないんだよねー。だから今回、君達の相手をするのはこのポケモンだよー」
言うとフレイは地面に寝転がったまま指をパチンと鳴らす。すると地響きを起こしながら一体のポケモンが脇道から現れる。
「君達の相手はこのドサイドンだよー。じゃ、頑張ってねー」



Nとレイカが7P、フレイと遭遇している頃、イリスとデインは
「ライノス、雷の牙!」
「アメモース、怪しい風」
下っ端軍団を相手にしていた。
「下っ端は下っ端でも、寄って集って来ると、厄介なもんだね……」
フレイと違って、こちらのプラズマ団は質より量の精神で向かってきている。二人という少人数では、確かに数に物を言わせて戦うのがベストな選択かもしれない。
イリスがそう思っていたその時

「ったく、こんなガキ二人に何を手こずってんだか。これだから下っ端はよ」

前方から声がし、どんどん近づいていく。
「よう。前にも会ったが、初めての奴がいるから自己紹介をしてやるぜ。俺はフォレス、7Pだ」
緑色の髪に闇に紛れるような漆黒のコート、その下は迷彩柄の軍服のような格好。そしてベルトには、プラズマ団の紋章がある。
「……さて、と。下っ端があまりにも役立たずなもんだから、俺が直々にお前らとやってやるぜ。俺としてはそこの帽子被ってる方をぶちのめしたいが、後か先かは選ばせてやる」
どうやらフォレスの中では、イリスとデイン、両方倒す事が前提となっているようだ。
「さあ、どっちだ?」
フォレスは急かすように言い、イリスとデインは目配せし、そして
「なら、僕が先だ」
先に出たのは、デインだった。
「勝負方式は二対二、ルールはそれだけだ。出て来い、サンドリル!」
フォレスが繰り出したのは黄色く巨大なネズミのようなポケモンで、頭には茶色いトゲトゲが無数に生えていて、両手はドリルのなっている。
「ドリルポケモンのサンドリル、地面タイプ……デインさん、きっと強敵ですよ」
「構わないよ。敵が強くなきゃ、バトルだって面白くないしね。さあ頼むよ、ランクルス!」
デインが繰り出したのはジェル状の物質に包まれた胎児のようなポケモン。増幅ポケモンのランクルスだ。
「先攻はもらうぞ。サンドリル、ドリルライナー!」
サンドリルは両手のドリルを構え、ランクルスに向かって物凄い勢いで突撃する。
「ランクルス、サイコキネシス!」
ランクルスはそんなサンドリルの動きを、念動力で止める。そしてそのまま持ち上げ、地面に叩きつけた。
「続けて気合球!」
さらにランクルスは気合を込めた球体を作り出し、サンドリルに向けて放つ。球体はサンドリルに直撃し、砂煙を巻き上げる。
「やったのか……?」
イリスは思わず呟き、砂煙が舞う方向を凝視する。やがて砂煙は晴れ、そこにはサンドリルが
「!? いない……!?」
そう、そこにいるはずのサンドリルは影も形もなかった。そして
「サンドリル、メタルクロー!」
サンドリルはランクルスの後から地面を突き破って現れ、鋼鉄のように硬化した爪——というかドリルでランクルスを切り裂く。
「俺のサンドリルはプラズマ団随一の掘削力を誇るポケモンだ。大規模掘削だろうと小規模掘削だろうと何でも御座れ。そしてこいつは——」
フォレスは一拍置き、そして
「この地下迷宮、デプスラビリンスの半分を一匹で掘り進んだポケモンだ!」



今回はフレイとフォレスが登場です。フレイはまだバトりませんが、代わりにフォレスが戦いました。サンドリルはサンドパンの進化系で、非公式のポケモンです。防御が高いのですが、その分特防はそんなに高くないので、ランクルスとのバトルはやや分が悪いか?いや、別にフォレスの肩を持っているわけではありません。では、次回もお楽しみに。