二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.125 )
- 日時: 2012/02/12 20:06
- 名前: 雲雀 (ID: zTHJAdPC)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=YTVerdqGq58
【夢と葉桜/初音ミク】
「 」
舞い散る花びらの囁いた、
忘れられない言葉。
たとえ褪めゆく定めだとしても、今、この瞬間。
記憶に刻みつけるのは自由でしょう。
何度忘れかけようと、
何度消そうと願おうと、
人は刻まれていく時間に縛られるのだから。
『綴る願いの、白の記憶』
遠く夢の中にだけ残る、過ぎ去った桜の季節。
瞼を閉じれば、今でもそこにある鮮やかな夢。
過ぎ去ってしまった事実だけだけがこの胸に残り、
思い出へと姿を変えた今は、涙と共に頬を伝う。
「思い出って、夢みたいだよね」
変わらずこの胸にあり続けるのに、
戻ることは叶わない。
触れることも、感じることも、何一つ叶いはしない。
指先でなぞっていく、褪せた記憶。
穏やかな音色が耳に届き、吹く風が頬を撫でた。
指先が触れたところから滲んでいく、切ないほどの懐かしい思い出。
遥かに続く空は、その表情を何度も変え、この世界を見てきた。
過ぎ去った時間に囚われることなく、今も尚、存在し続ける。
その日々の中に確かに在った、夢のような時間。
胸を裂くように色づいていく、忘れかけた記憶。
溢れるのは、涙。
どんなに深く刻みつけようと、
どんなに深く感じようと、
届かない事実は変わりようがなくて、
遠く夢の中にだけ残る、白い桜の花の季節。
いずれ終わるとは知らずに、笑うことができた。
舞い散る花びらの囁いた、
忘れられない言葉。
笑顔と共に刻みつけられ、
涙と共に溢れてくる。
眠れない夜を一人きりで歩き出す。
ぬるい風に感じるのは、過ぎ去った過去。
いたずらにはしゃいで、笑って、泣いて、怒って、喜んで、
いつしか思い出に変わる。
あまりにも突然に去ってしまうから、人は涙を流す暇さえない。
気付いた時には、もう手の届かない遠い過去の話。
月が姿を消した蒸し暑い日々の、消したいと願った儚い記憶。
戻れないなら、忘れてしまった方がいい。
それでも消せないのは、戻りたいと願うからでしょう。
あの瞬間が、永遠に続けばいい。
でも永遠はあまりにも残酷で、刻まれる時間は表情も変えずに人を押し流していく。
青々と茂る桜の葉は、何も語りはしない。
あの日から幾星霜。
何度忘れようとしたことか。
何度消し去ろうとしたことか。
それでも消せぬのは、人の性か。
夢のように去ってしまった時間も、
失った数多くの理も、
瞼を閉じると浮かぶ、狂おしいほどに愛しい思い出も、
全て、遠い夢の中にだけ。
刻々と過ぎ去っていく今に別れを告げたなら、
通り過ぎた未来に手を伸ばそう。
「 」
舞い散る花びらの囁いた、
忘れられない言葉。
■後書き
この小説は意味の分からないものになっていますが、歌は本当に素敵です。
「桜」と聞くと、個人的には入学式や卒業式を連想します。