二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.13 )
- 日時: 2011/09/25 11:55
- 名前: 雲雀 (ID: VEcYwvKo)
- 参照: ■蒼黒の楔 緋色の欠片3 DS 発売記念
【花火】
からんころん、からんころん、下駄の音が耳に響く。
今日は浴衣を着て、皆で花火を見に行くことになった。
なんでも、皆は毎年花火の時期になると、“ 特等席 ”と呼ばれる皆だけの秘密の場所で花火を眺めるのだとか。
今はそこへ向かっている途中。
先日に降った雨のせいで、道路はまだなんとなく濡れている。
でも本番である今日は晴れてよかったと、無意識のうちに笑顔になった。
下駄はとても歩きにくいけど、今日来ている白い浴衣はお気に入りのもの。
花の髪飾りとセットになっていて、今日絶対に着たいと思っていた。
守護者の皆にも「可愛い」とか「綺麗」とか言ってもらえて、恥ずかしかったけど、とても嬉しかった。
美鶴ちゃんは頬を朱に染めながら“ 目に焼き付けておきます ”とか言っていたけど、あれはなんだったんだろう……。
屋台のある方へ行くと、やはり人が多い。
皆を見失わないように後をついていく。
——————————刹那、静寂に包まれていた夜空に、色鮮やかな光の花が咲き誇った。
「始まった」
「今年も綺麗ね」
「お母さん、あの花火きれい!」
「今年は何発かな?」
「空も澄んでいて絶好の花火日和だね」
「あ、また上がった!」
花火の始まりと同時に、周囲がざわつき始める。
人ごみがいっきに動き、水のひいた河川敷を埋める。
「待って……っ!」
雑踏に押しつぶされそうになりながら、必死で歩く。
どこだろう、あの人は、今、どこに……————————————————————
美しい光に彩られた空の下、振り返る度に、あなたを探した。
「手を」
見慣れた、細く長い指。
視線を上げれば、安心するあなたの笑顔。
つられて私も笑顔になる。
そっと手を握ると、彼の方も握り返してくれた。
(このぬくもりを、)
(私はずっと忘れない)
■後書き
蒼黒の楔DS版が先日発売されたので、その記念に書きました。
思いつきで考えたものなので、文章がいつもよりさらに酷くなっています。