二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.153 )
日時: 2012/04/16 18:19
名前: 雲雀 (ID: Rk/dP/2H)
参照: ■蒼黒の楔 緋色の欠片3 明日への扉 PSP 発売決定記念

【灰色ノ空/遼の頁】



「なんだかんだ言っても、遼って結局やってくれるんだよね」



くすくすと笑いながら、遼の日記に目を通す。
照れ隠しなのか、冒頭の文には交換日記に対する不満が書かれていた。
私に頼まれたから仕方なく、ということもしっかりと書かれている。
こういうこと書く自分も子供っぽくない?
交換日記を【ガキくさい】と評した彼への批評を加えつつ、続き続きと珠紀は文字を目で追った。



「だから私はものじゃないって……」



なんの牽制のつもりなのか、遼はいつも珠紀を「俺のモノ」と言う。
そのあからさまな好意に気づかない珠紀の鈍感さ加減にもうんざりなのだが、それも彼女の魅力なのだろう。
きっと淋しがり屋なんだな、と勝手に納得し、もっとみんなと過ごす時間を増やしてあげようと心の中で決めた。
そして次の文章を頭に入れた瞬間、珠紀は自信の口をポカンと開けたままになった。


【飯食って、寝る】


素晴らしい生活サイクルですねとしか言いようのない彼の日常。
でも驚いたのはその先でもある。


【たまに受験勉強とかであいつらと集まる時もある】


みんなに対する不満は一切なく、遼がこの言葉を書いた。
そのことが嬉しくて、珠紀はついつい微笑んだ。
不器用な彼。
いつも不満を言いつつも、結局はやってくれる。
結論的に言えば、いい人なんだと思う。



「ケテルさんにもちゃんとまわしてくれたみたいだし……大学に行っても、大丈夫そうだな」



こみあげてくる嬉しさを抑えつつ、
これから始まる新しい生活に、珠紀は胸を弾ませた。









■後書き

交換日記の方は久しぶりの更新になります。
長らくお待たせしてしまって、申し訳ありません。