二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.163 )
日時: 2012/05/29 23:18
名前: 雲雀 (ID: Rk/dP/2H)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=1fch04zA3L0

【右肩の蝶/鏡音リン&鏡音レン】






——————切ないという感情を知る。






               『 不協和音 』






(あなたの痕跡、)
(増えた傷痕。)






悪い夢にうなされた私を早く起こして。
朝起きたら、隣にあなたがいないの。
残った体温に縋る掌。
ねぇ。こんなの夢でしょう?
消えていなくなるのなら、深い眠りに落ちる瞬間。
消せないほどの、狂おしい傷<キス>を残して。
艶やかな恋の終わり。
どんなことでも、始まりは些細なことでしょう?
密やかな恋の始まり。
星屑を散りばめたような街あかり。
淡く笑む、唇。
「どこがいいか」なんて、聞かれても困る。
綺麗な夜に惑わされたまま、心は行方不明だから。



長いまつげ、三日月アイラインまぶたに乗せて、光るリップ。
(瞼におとされる触れるだけのキス、唇をなぞる白い指先。)



「愛してる、」



噛み付かれた首筋、残った痕跡。
上辺だけの、愛の言葉。
キスをしたこの部屋の隅で、切ないという感情を知る。
残った体温。残った言葉。残った感情。残った傷痕。
響くピアノ、不協和音。






     ザァ




         ァァ


                        ァァ




           


        ァァ     








               ァァ……






雨の中で濡れた髪が異常に冷たくて。
乾かすこともせず、震える身体で感情<キョウフ>を吐き出す。
唇をなぞる指先、官能的な愛の囁き、奪う唇。
全てが真実だと願うから。
腰を抱き寄せた腕の感触。
寂しさを押し隠して、震えながら待ち続ける。
求められては足掻くから、それ以上で返して。
もっと強引なくらいに、奪ってみせてよ。
真剣だから笑うと、痛い目に遭うよいい?



赤い爪と、安物の指輪、傷付く度増えるピアス。
(腰の撫でた掌、響く警報、噛み付いてみせた。)



「そ、んな程度、なの?」



鋭い目と、押しつけられる圧迫感。
抱き寄せて、歪んだ体。
埋めるのは、あなたしかいない。
そうでしょう?わかってるくせに。
境界線<キョウカイセン>とっくに超えてる。



(理性なんて、)
(とっくに捨ててる。)



快楽に溺れた瞬間の堕ちる感覚。
霞んだ視界の先。
遠く見えたあなたの顔。
首筋に残った私の痕跡<コンセキ>。
吐息だけで、笑ってみせた。
手放した意識。
後悔は死ぬほどしてる。
あなたのいない空間。
離れていった体温。
その分だけ快感を呼び覚ます。
待ち続けた先に、
あなたの姿なんてなくて。
蘇る感覚。
狂い出した私を止めて。
一瞬でラクにしてよ。



傷口から溶け出したものは、愛情それとも。
(「  」なんてね。)



蘇る感覚。
疼く傷痕。
後悔は死ぬほどしてる。
あなたを覚えた身体。
あなたに奪われた心。
その分だけ快感を呼び覚ます。
狂い出した私を止めて。
一瞬でラクにしてよ。



「あ——、ィシ、——てる」



掻き消される言葉。
真実<リセイ>にひそむ嘘<ホンノウ>。



抱き寄せて、歪んだ体。
埋めるのは、あなたしかいない。
そうでしょう?わかってるくせに。
境界線<キョウカイセン>とっくに超えてる。






右肩に残った痕跡。
残ったぬくもりに縋る掌。
ねぇ。嘘だと言って。
悪い夢<ウソ>にうなされた私を起こして。
キスをしたこの部屋の隅で、切ないという感情を知る。
響くピアノ、不協和音。






密やかに、けれど艶やかに、
恋は空を舞う。



(それは、)
(ひとつの恋の終わり。)









■後書き

中間テストがあったので、しばらく更新出来ませんでした。
申し訳ありません。