二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.164 )
日時: 2012/07/28 19:52
名前: 雲雀 (ID: L1bEpBtf)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=TLYWf2Zl4E0

【背徳の記憶〜The Lost Memory〜/鏡音レン&KAITO&神威がくぽ】






Are you …… Ready?
Enjoy the Moment!






          『 失われた記憶 』






——————もう少しだけ。






        ザァ





                   ァァ










    
     


    ァァ








ァァ……






 次に目覚めたとき、自分は全てを失っていた。
引きずり出す、これまでの記憶。
セピア色に染まる、見覚えのある情景。
思い出せない。何故?
隣で微笑んだ貴方<ヒト>。
とても、きれいな笑顔だった。
思い出せない。誰?



「……覚えてる、」



 問えば、ただそれだけ言って。
今度は、悲しそうに微笑んだ。
さよなら。と共に閉まった扉。
微動だにしなくなった扉から視線をはずし、
室内を見渡す。
不意に、ひとつの写真が目にはいった。



記憶。



自分の隣で、微笑む貴方<ヒト>。
自分は笑っていた。
覚醒する脳。
閉まった扉が再び開く。






「……はぁ、」



退屈な空を見上げては、ため息をつく。
生憎、空が青いことは覚えてる。
流れる雲が白いことも。
何を忘れたのか?思い出せない。
ため息混じりに過ぎていく午後。



 再び閉まる扉。
隣に誰か<アナタ>がいた事実。
今、そのぬくもりがない現実。
孤独に押しつぶされて、狂ってしまいそう。
奪われた記憶も、嘘も真実も。
包み込む誰か<アナタ>がいない。
取り戻す方法を知らない。
思い沈め、残酷に過ぎ去る時間。
何故此処にいるのかさえ、知らずに。
何の為に此処にいるのかさえ、知らずに。
倒れ込む、体温を失ったベッド。



ただ。
感情のないまま、バラバラの心を溶かしていく。
思い出せない。大切なモノを。
(ただ。)
(失ったものに、嘆くこともできず、)
(思い出せない、大切な人を。)



「Remember」



汚れた罪深き愛。
汚したのは、自分。
消し去ったのは、自分。
それでも、
時間がもし戻せるなら、
貴方<ダレカ>と過ごした、鮮やかな季節をもう一度知りたい。
純白よりも華やかで、漆黒よりも美しい、いつかの季節を。
もう一度、知りたい。



「Remember」



教えて。
空白のまま、どうして涙はこぼれる?
思い出せない季節を、どうして愛おしく想う?
時を駆け巡り、あの場所へ。
もう戻れない失った日々へ。
抜けない痛みの理由はどこに?



(傷つく心。)
(疼く感覚。)



「こんばんは、」



微笑む貴方<ヒト>。
濡れた髪。
雨の中を走ってきたのか。
息は乱れている。
蘇る衝動<ホンノウ>。
引き寄せる、腕。
濡れた髪をほどき、交わした口痕<キス>の後。
最早愛おしさは消えたのか、最早熱は冷めたのか。
何も感じない瞳で見つめ合う。
残酷に無口な貴方<ヒト>の瞳の奥に、
遠い感情<キオク>をみた。



 ここから救ってと、まるでどこかのおとぎ話。
永遠を約束した二人におとずれたた結末。
毒に飲み込まれ、夢遊病のように。
鮮やかすぎて見えない、貴方<アナタ>の横顔。
これはきっと、いつかの自分が感じた貴方<アナタ>。
眩しく照らされる光は、幻。



(だって貴方の頬は、)
(涙で濡れていたから。)



Remember!



教えて。
空白のまま、どうして涙はこぼれる?
失った想いに、どうして手を伸ばす?
時を駆け巡り、あの場所へ。
全てを知っていたあの瞬間へ。
抜けない痛みの理由はどこに?



「何度でも貴方の名前を呼ぶから、」



ただ、思い出して欲しくて。
たとえこの声が、枯れ果ててしまっても。






去っていく後姿。
破られた記憶の扉。






「Remember!」



取り戻した記憶の破片が胸を締め付けて、
上手く、息が出来ない。
追いかけられない理由。
君<キミ>が去った答えを知る度に、
愚かな自分を殺めても、
縋り付く方法<ショクザイ>などなく。



「Remember!」



繋がった絆の糸。
淡く消えた紅い糸。
いつかは結ばれるようにと、
繰り返し祈りを捧げるよ。
たとえこれが、過ちだと知っていても……。






深く、沈んでいく感覚。
心地いいのは、貴方<キミ>の闇だから。






「Don’t remember me」






 どうか、二度と思い出せないくらい。
深く、深く、奪い去って。
『自分』という存在だけを。






「Remember!」






(取り戻した記憶、)
(失われた記憶。)









■後書き

長くなってしまった。
途中、もう意味が分からない。