二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.177 )
日時: 2012/07/17 19:15
名前: 雲雀 (ID: L1bEpBtf)

【気まぐれな世界の終わり/善吉&禊】



「『一秒でもはやく、世界が終わりますように』」



 薄い唇で、そう嘯いてみせた。
思ったことが、一度もなかった訳じゃない。
何度も願ったことはある。
何度も祈ったことはある。
でも、世界は終わらない。
巨大な隕石が衝突した訳でもなければ、ノアの大洪水が起こった訳でもないからだ。
自嘲気味に、淡く笑んでみせる。



「『そう願ったことはないかい』『善吉ちゃん』」



目の前にいる彼にそう話をふれば、彼は怪訝そうにこちらを見た。
当然、といえば、当然の反応か。
今、自分が生きて息をしているこの世界の終わりなんて、ね。



「ない、ですけど……」



多少の疑念を含んだ声音。
うん。
予想通りの答えだ。
でも、ごめんね。
その疑念ははらえそうにない。
だってこれは、<見解の相違>だから。



「『そう』」



君が出した答えは、僕が望むものでもなければ、僕が望まないものでもない。
この質問に、初めから意味などない。



「球磨川先輩は……願うんですか?」



「『僕?』」



こくり、と頷く。
正解を求める言葉。



正解のない、大迷宮。
誤解で誤魔化す、白紙の答案。



吐息だけで、嗤う。



「『僕の考えが正しかったことなんて』『一度もないよ』」



世界が終わる、一日前。









■後書き

球磨川さん可愛いな……と思いつつ、書いてみました。
二人の絡みを書くのが難しい。