二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.196 )
日時: 2012/11/04 13:14
名前: 雲雀 (ID: QGuPLo0Y)

【慟哭】



どうしても、心に満たされないものがあった。何が不満なのかは、自分でも分からない。でも、どうしようもないほどの渇望が、心を満たしていた。わけもわからず、目の前にあったうさぎの人形を抱きしめる。何も、満たされなかった。
悲しかった。寂しかった。苦しかった。切なかった。
息ができなかった。
 左腕に痛みを感じる。強く抱きしめすぎて、自分の爪で皮膚を抉っていたようだ。血が滲む。痛覚は確かに働いていたが、そんなことはどうでもよかった。
満たされない、何も。
 心臓が五月蝿いくらいに鳴っている。止まればいいと思ったのは、今日で何回目だろう。脳に伝わる不快感。それはきっと、腕からしたたる血のせいだ。ヘッドフォンから大好きだった唄が流れてきて、思わず耳を塞いだ。聞きたくない。聴きたくない。今、聞いたら、余計惨めになる。涙がこみあげてきた。体が震える。迷子になった子供のように、ベッドの上で蹲っていた。自分がここにいる証明が欲しくて、手繰り寄せても、手繰り寄せても、冷えた毛布の温度しかつかめなかった。何もつかめなかった。掌で顔を覆う。喘ぐような嗚咽が、口から漏れた。寂しい。寂しい。誰も自分がここにいることを証明してくれない。何も自分がここにいることを証明してくれない。悔しい。そんなことに涙を流す自分が、どうしようもなく。悲しむなんて、疲れるだけだ。自分でもわからないことに、涙なんて流す必要はない。誰も、いつ死ぬかなんて決められないのだから。幾つ言葉を重ねても、涙は止まらない。重ねていく言葉の中で、自分は再び傷つく。
 知らない。知らない。悲しむ理由なんて、知らない。プールで溺れたときのように、呼吸がうまくいかない。必死の思いで肺に空気を送り込んでも、更に気分が悪くなるだけだった。自分はどこかで、生きることを否定している。本能的に、そう思った。でも、それくらい自分は、
満たされない何かを、渇望している。









■後書き

突発。何が書きたかったのかは分からない。
小説らしい小説を書いている時間がないです。御免なさい。