二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.200 )
日時: 2012/12/16 18:31
名前: 雲雀 (ID: QGuPLo0Y)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=9SOLvrXq-d0

【この世界に、今。/シンタロー&コノハ】






「君になら、見えるの?」






 あの二人を、残酷な未来から助け出す方法が。






 目の前で、真っ赤な飛沫が重力に逆らって飛び散った。
8月の噎せ返るような熱い空気と共に、じわじわと嗅覚を刺激する血の臭い。
そんな抉いとしか言いようのない光景に、目が眩んだ。



「……いつも、こんなものを見てるのか?」



 隣に立つ青年に問えば、彼はこくりと頷いた。



「……物語の結末を知っているのに、いつも助けられないんだ」



 どんなに足掻いても、どんなにもがいても、
 陽炎が全てを攫っていく。
 まるで、自分はただの傍観者なのだと、そう言うように。



「あの二人はいつも……いなくなってしまう」



 無表情な瞳が、悲しげに揺れた。
 その顔を見ていられなくて、すっと目を逸らす。
 きっとこれは、自分の悪い癖だ。


 あの日も、目を逸らしてしまったから。



「いなくなる、か……」



 ひとりの少女の顔が思い浮かんで、静かに目を閉じた。



『それじゃほら、つまらないよ』



 二人の命が失われる。
 そんなの誰も望んではいない。



「そう、だな……」



 唇が、吐息を漏らした。



 冗談じゃない。
 これ以上、バッドエンドなんて見ていられるか。



「コノハ!」



「え……?」



 彼の腕を引っ張り、目を見開く。
 トラックは、もうすぐそこまで来ていた。



「……っ」



 コノハの表情が、悲しげに歪む。
 それでも、手を伸ばし続けた。



「立ち止まるな!」






 答えはほら、もうすぐそこに。









■後書き

 あなたになら、見えるから。

 シンタローとコノハの話ばっかり書いてる……他のみんなも書きたいんですけどね。
 カゲロウデイズ、アニメも漫画も小説も、どれもとても楽しみです。