二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.211 )
日時: 2013/01/01 17:09
名前: 雲雀 (ID: QGuPLo0Y)

【くるくるまわる。/ヴァリアー】



校長/ザンザス
教師(数学)/スクアーロ
生徒/ベルフェゴール
生徒/マーモン
生徒/レヴィ
教師(家庭科)/ルッスーリア
生徒/フラン



<変わらない朝。>



「おいこらベルぅぅぅぅぅうううううう!」

 この世のものとは思えない声が、朝の学校に響き渡る。
 呼ばれた本人はといえば、なんでもないような顔をして、馬鹿でかい声の主を一瞥した。

「なんだようっせーな。血圧上がんぞ、ロン毛教師」

「誰がロン毛だぁぁぁああああ!つーか、テメーはいったいいつになったらまともな制服を着てくるんだぁぁぁぁあああああああ!」

「はぁ?誰があんなだっさいの着るかボーケ」

 ベルの制服はというと、いつものボーターのTシャツに、最早、原型を失いつつあるブレザー。
 校則違反かどうかと問われれば、間違いなく校則違反である。

「う゛お゛ぉぉおおおい!テメーは一回三枚におろす必要がありそうだなクソガキぃぃぃぃいいいいい!」

「ししっ、望むところだよおっさん」


 こうして、いつも通りの朝は始まる。



<おまけ>



「からまれたら面倒だから、裏門通っていこーっと」


 あんなのに巻き込まれるなんて、冗談じゃない。
 そっと、歩く方向を変えるフランがいた、午前8時12分。



<間違えたら。>



「う゛お゛ぉぉぉおおおおい!間違えたらわかってんだろーなクソガキどもぉぉぉぉぉおおおおおお!」

 朝のこともあり、かなり気が立っているスクアーロ。
 対抗するすべをもたない生徒たちは、ただ頷くことしかできない。

「おいこらフラン何寝てんだてめぇぇぇぇええええええ!」

「いやー、寝たらこの五月蝿い声から解放されるかなーと」

「なんだとてめぇぇぇえええええ!つーかなんでテメーも校内でカエルなんて被ってんだよおらこの問題とけぇぇえぇえええええ!」

 壊れるんじゃないか、というくらいの勢いでスクアーロが教卓を叩く。
 案の定、ひびが入っているのが見えた。
 フランは面倒くさそうに立ち上がったあと、また座った。

「黒板に行くまでが面倒なんでー、ベル先輩にパスしま」

「ふざけんなクソガエル」

「げろっ」

 鈍い音とともに、フランの頭に、というよりはカエルの被りものにベルの投げたナイフが突き刺さった。
 無機質な声を上げながら、フランはベルを睨む。

「痛いじゃないですかー」

「あぁ?お前がふざけたこと言うからだろカエル」

「ミーはカエルじゃありませーん」

 グダグダと始まる二人の会話に、生徒は授業の崩壊を感じた。

「おいこらクソガキどもぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!」


 他の誰でもない。数学担当の教師、スクアーロ教諭によっての。



<おまけ>



「お金にならない授業なんて、受ける価値ないね」

 早々に幻術で行方をくらましたマーモンと、

「ボス……!」

 今日も敬愛するボスのため、ただひたすらに与えられた問題をやるレヴィがいた。
 そんな授業終了5分前。



<込めるもの。>



「はーい!皆、今日はカップケーキをつくるわよー!」

 この人のこの口調は、いったいなんなんだろう。
 誰も突っ込めないまま、もう2ヶ月が経った。
 ルッスーリアによる家庭科の授業、今回は調理実習で、どうやらカップケーキをつくるらしい。
 
「いい?美味しいか美味しくないかなんて、どうでもいいの。重要なのは、愛を込めることなのよ!」

 毎回思うが、何故この人は教師になれたんだろう。
 是非一度、教育委員会に問い合せてみたい。
 突っ込むことすら面倒なので、はーい。と適当に返事をしてから、作業にとりかかる。
 開始から10分。フランがふと思いついたようにルッスーリアを呼んだ。

「ルッスせんぱーい」

「先生、でしょ!で、どうしたの?何か分からないことでもあった?」

「いやー、ルッス先輩が愛を込めろっていうんでー、ミーもベル先輩への愛を込めようと思って毒いれたんですけどー、別にいいですよねー?」

「いいわけねーだろクソガエル!」

「げろっ」

 いつかのときと同じように、カエルの被りものにナイフが突き刺さる。
 調理実習って血で血を洗うような戦いのことを言うんだっけ?と心のどこかでそう思いながら、フランは立ち上がった。

「痛いじゃないですかー。ベルせんぱーい」

「毒入れた奴が言う台詞かよ!」

「ボスに……ボスに渡そうと……!」

「ちょっと!込めていいのは愛だけ!喧嘩は駄目よー!」


 なんともカオスな状況になった、午前10時18分。



<校長先生のお話。>



「では、校長先生のお話です」

 どの学校でも、校長先生の話は長いと嫌がられるものだ。
 しかし、この学校ではそんな常識さえ通用しないらしく。

「ドカスが、」

 そう言って生徒を一瞥したあと、ザンザスは振り返りもせず、暗幕の向こうに消えた。

「この集会、意味なくね?」

「もう家帰りたいですー」

「ボス……!」

「黙りやがれこのクソガキどもがぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!」


 こうして終わる、毎月第一月曜日の朝の集会、午前8時40分。









■後書き

 素海龍様からいただいたリクエストです。
 特に指定はなかったので、学校に行かせました御免なさい。
 そして、遅くなって大変申し訳ありませんでした。
 最早、覚えておられないとは思いますが、ここにのせておきます。
 リクエスト、ありがとうございました。
 最後に、本当に御免なさい。