二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.218 )
日時: 2013/01/21 19:33
名前: 雲雀 (ID: Ma3wYmlW)

◆君が許せなくてつらい。



「君になりたい」

 そう言ったら、君は笑って、なら、君になりたい。と言った。
 私になんかなっても意味ないよ。そう言ったら、なら、私になんかなっても意味ないよ。まったく同じ答えを、君はした。
 違う、違うんだ。
 確かに、君はとてもきれいで、優しくて、頭もいいし、運動もできる。
 そんな人に、私もなってみたいけれど。でも、違うんだ。

「君になりたい……」

 またそう言えば、どうしたの。と、笑ってくれる。
 馬鹿みたいとか、無理だよとか、君は絶対に言わない。
 優しいな。なんて思いながら、君の肩に頭をあずけた。

「君の一部に、なりたい」

 素直に言えば、君はどうしてと言いたげに目を見開いた。
 心臓の音が聞こえる。心地よくて、悲しくて、涙が出た。

「私なんて、いらなかった。私として、生まれたくなかった」

 だって、どんなに願っても、ずっと君の傍にいることはできない。
 どちらかが、先にいなくなってしまう。それなら、初めから。

「君の一部として、生まれたかった……」

 一番傍で、君の生きてる音を聞いて。
 君の命が尽きるとき、私も命尽きたかった。

 優しく頬を撫でられて、君を見上げれば、君は優しく笑っていた。
 
「私は、ふたりでよかったって、思ってるよ」

 こうして、君に会えるから。
 ふんわりと笑う、君。


 切なくて、寂しくて、苦しくて、何よりも、好き。






(でも、)
(それでも私は)









■後書き

 こうして、生まれてしまったのなら。

 これにいたっては何がしたかったのかわかりません。
 本当にすみませんでした。