二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.4 )
日時: 2012/11/04 13:40
名前: 雲雀 (ID: QGuPLo0Y)

【微睡み/Short Story】



<写真>



 小学生の頃の写真を見て、思わず笑みがこぼれた。
 みんなまだ幼くて、男子のほうが身長が低いくらいだった。
 懐かしい。 
この瞬間が、もう戻れない遠い過去が、たまらなく愛おしい。

 

 写真のなかで、あるひとりの男の子の姿が目に止まった。
 その子は女の子のような笑顔で、友達と並んで笑いながらうつっていた。



「……この頃から、」



 その笑顔の写真を、指先でそっと撫でる。
 前までは、彼の笑顔を見ても、悲しくなんてならなかったのに。
いつも、いつも、その笑顔に救われるばかりだったのに。



「無理して……笑ってたのかな」



 もう見ることの出来なくなってしまった彼の笑顔。
 願わくば、この時の彼の笑顔は、どうか心からのものでありますように。



【END】



<笑顔>



 授業中、ノートにずっとあなたの絵を描いていた。
似ているかは分からないけれど、少し困っているような表情で笑っている、あなたの笑顔。
 私の記憶の中では、あなたはいつも、そんな笑顔で笑っていたから。
 シャーペンの黒い線だけでは、なんとなく悲しくて、色鉛筆で色をつけてみた。



 全ての作業を終わらせた私には、達成感ではなく、悲しみだけが残っていた。
 大好きで、大好きで、いつまでも見ていたかったようなあなたの笑顔。



 そんな笑顔を、私はもう。






 忘れてしまっていた。






(突然いなくなった、)
(あなたの笑顔。)



【END】









■後書き

 どうしても、笑顔を思い出せない人がいます。
あの時、無理して笑っていたのかなと思うと、どうしても、思い出せないんです。