二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.42 )
日時: 2011/09/21 23:50
名前: 雲雀 (ID: VEcYwvKo)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=hAjL3WYlfXI

【さよならの記憶】



さよなら、なんて、まるで永遠の別れみたいにあなたが言うから。
裂くような胸の痛みと共に、視界がぼやけてきて、思わずその存在を確かめた。
二人の鼓動が重なって聞こえて、ああ、ここにいるんだ、って思った。
あたたかいのに、胸が苦しくなるのは何でだろう。
私の頬に流れる涙をあなたは指ですくって、微かに笑った。

「どうしたの?」

優しいあなたの笑顔が、どうして今はこんなにも切ないのだろう。
愛しかったはずなのに、恋い焦がれたはずなのに、何故。

「傍にいるよ?」

私の心を見透かしているみたいに、あなたが笑った。
傍にいて、と言うのは簡単だけれど、彼の居場所を決めるのは彼自信だ。
“ 傍にいる ”優しい彼の言葉が心の奥底まで響いて、愛しくて、痛い。

今日は卒業式で、皆離れていってしまうのに。
もう会うことなんて、二度とないかもしれないのに。
さよなら、なんてあなたが言うから、余計切なくなったんだ。
我儘かもしれない。でも、また会おうね、って言ってほしかった。

腰にまわされた腕、幸せと感じる。でも、
もう二度と会えないからこその、優しさのようで、
好きと言えてしまえたら、どんなにいいだろう。
決して好きとは言えない関係だから、こんなにも胸が痛いのか。
関係が崩れていくことが、何よりも怖い。
ねぇ、あなたは今、誰を想ってるの?

「大好きだよ」

最後の最後で優しくするから、忘れることなんて出来ない。
大好きだよ。私がこの言葉に込める想いに、あなたはきっと気付かない。

深く愛せば愛すほど、別れは辛くなる。
でもね、嫌いになることなんて出来ない。ましてや、忘れることなんて、
あなたを好きになったことを、私は決して忘れないから。
後悔なんて、絶対にしないから。

私のことは忘れてもいい、でもあなたは、
あなたの大切な人と、幸せになってね。

この想いは伝えずに、あなたの友人として、傍にいたい。
愛されたいと願うけど、あなたが私に求めるのは友情だから。


——————————あなたが必要とする人は、誰なんだろう。


もしも、私がその存在になれたなら。
 決して、その手を離さない。
そんなことを考えても、虚しくなるだけだけど、
 あと少し、ほんの少しでもいい。
あなたを好きでいていいですか。



——————————愛されたいと、願っていてもいいですか。



(さよなら、と離れていくぬくもりに、)
(私は手を伸ばした)



傍にいれたことが幸せだったから、
また会おうね、なんて言えなかった。









■後書き

友人に捧ぐ。
友人が書いている小説の第一章が完結したということで、お祝いに書かせていただきました。