二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.47 )
日時: 2011/09/30 20:44
名前: 雲雀 (ID: VEcYwvKo)
参照: ■ワンドオブフォーチュン2 〜時空に沈む黙示録〜 PSP 発売記念

【今日の永遠/エスト×ルル】



——————————禍々しい力。



彼は己の中に眠る力を、そう呼んでいた。
望んでもいない力。刻印と共に刻み込まれた心の傷は、きっと今でも彼を蝕んでいる。
その傷を、自分の思いを、全て封じ込めてあなたはここに。
自由を願うその指先に触れた茨は、尽きないでしょう。

幼い日の彼は、何度願ったのだろう。
何度、ぬくもりを求めたのだろう。
いつしか願うことも、求めることも諦めて、心は抜け殻のようになってしまった。
希望の光が見えない深い闇の世界で、彼が何度も願い続けたものを、少しずつでもいいから、与えてあげたい。

消せない過去の傷が、記憶の隅で目覚めた時は、
まどろみを誘う風を、どうかこの腕に。

過去に負った心の傷が癒えないのなら、
あなたが生まれる前に抱かれた海のような安らぐ波で、
包んで満たせるならば、哀しみは全て私に。


——————————幸せは、全てあなたに。


この世に生まれ堕ちたその日から、漆黒の楔に繋がれて、
背負う過去は、今日までの過ち。
この忌まわしい過去が消える去ることがないのならば、
今は羽を休め、あなたという陽だまりに抱かれて眠りにつきたい。

僕が知らないあなたの時間。でも今を繋げていけば、
この胸に翳る寂しさも、愛しいあなたとの時間だから。

「私、エストの笑顔が好きよ」

ささやかな願いのほとりで、
あなたというせせらぎの源になれるなら、
寄り添うだけの影でも、心救われる彼女の笑顔の傍で、
僅かな時間でもいい、いっときの儚い夢でもいい。
その光を、支えていたい。


——————————初めて心から僕を必要としてくれたあなたの笑顔が、どうか、その光を失くさないように。


消せない過去が彼を蝕むなのら、
どうか、安らかな眠りを彼に。どうか、あたたかな夢を彼に。

辿り着いたあたたかな幸せに満ちた夢のほとりで、
あなたが生まれる前に抱かれた海のような安らぐ波で、
包んで満たせるならば、あなたが背負ってきた哀しみは全て私に。

明日を照らす希望に満ちた光の先に、
どうかあなたが、忌まわしい過去を全て包み込み、その愛しい笑顔で微笑み、そこに存在できるようにと。
あなたが願い続けたぬくもりに、私がなってあげられるなら、
今はただ、安らぐ波で今日の永遠を繋いで、あなたの未来を守りたい。
……ただ傍で、祈り続ける。



——————————どうか彼の未来が、幸せなものでありますように。









■後書き

ワンドオブフォーチュン2 〜時空に沈む黙示録〜 が先日発売されたので、お祝いに書かせていただきました。
時間があったら、なるべく全員分の小説を書きたいと思っています。
maoさんの「今日の永遠」を聴いていて思いつきました。
分かりにくいですが、二番はエストの視点となっております。二人の性格が全然掴めてなくて御免なさい。