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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.51 )
- 日時: 2011/10/14 21:02
- 名前: 雲雀 (ID: 7aD9kMEJ)
【二度はないから】
私より少し前を行く背中、七年前までは毎朝その背中を追いかけて学校に行っていたのに。
いつの間に、私より大きくなったんだろう。
あの頃よりも広く、頼もしくなった背中を見て、人知れず思った。
昔なんて、上級生の背中を追いかけていくだけで精一杯だったのにね。
今なんて、その上級生よりも上の学年になっちゃったんだね。
快活な性格だった君は、今では静かに読書をするような人に育った。
別人みたいだって時折思うけど、まだ少し、あの頃のあどけなさも残っている。
そのことに少し、ほんの少しだけど、安心したんだ。
昨日のことのように覚えているのに、時間だけは確実に過ぎていって、
思い出の中の君と、今の君が重なって見えて、寂しくなるの。
声もいつの間にか低くなって、いつも私より高い声で、私のことを呼んでいたのにね。
もうあの頃の君の声が、私を呼ぶことはないんだね。
なんだか酷く切なくて、遠くなっていくその背中を、むしょうに追いかけたくなった。
「 」
君の名前を呼んだ。
知ってるよ、届かないことくらい。
だから呼んだんだよ。
そうしてる内にも、君の背中はどんどん遠くなる。
気付くのが遅すぎた。
君の背中はいつの間にか、こんなにも遠くなってたんだね。
きっともう、その背中を追いかけながら学校行くことはないのだろう。
ずっと言ってなかったね。
君がどういうふうに思っていたのかは分からないけど。
大好きだったよ。君の背中を追いかけて、歩いて行ったあの時間が。
「大好きだったよ」
もう二度とあの頃に戻れないなら、
せめて今だけは、その背中を見つめていたい。
(叶わないからこそ、)
(余計に愛しくて)
■後書き
もう二度と戻れないからこそ、
本当に大切だと感じます。
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