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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.56 )
- 日時: 2012/09/22 22:35
- 名前: 雲雀 (ID: QGuPLo0Y)
【思慕/Short Story】
<掌>
初めて触れた指先は、酷く冷えていた。
でも、それを感じさせない温かい笑顔で、彼は、
「恋人みたいだね」
と、笑った。
彼とはただの幼馴染で、今も、私が寒いと言ったから手を繋いでくれただけで、
それなのに、どうして、
「……そう、だね」
こんなにも、胸が痛いんだろう。
【END】
<机>
その日の午後は委員会があって、理科室の窓際の席で、私はぼんやりと窓の外を見つめていた。
前期の委員会はこれで終わりだから、特に聞くこともないだろう。
そんなことを考えて、ふと、自分の座っている机を見る。
そういえば、ここは彼が座っている席だ。
ちょっとした、思いだった。
あなたの幸せを願っています。
そっと机に書いて、あの人が読んでくれるといいな、と思った。
理科室は全クラス共同でつかうから、彼が読む前に消されてしまう可能性のほうが高いけれど。
でも、書いたことは全て、本当のことだから。
賭け、だったのかもしれない。
次の日、まだあの書置きは残っていた。
彼がそれに気づいて、何かを書いているのが、隣の席から見てもわかった。
授業が終わって、彼が残した文字を見ると、
ありがと。
彼はきっと、この書置きは誰のものかなんて知らない。
でも、それでも。
彼はなんて、優しい人なんだろう。
【END】
■後書き
<机>は実話です。
世の中には、可愛い人もいたものですね。
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