二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.59 )
日時: 2011/10/31 22:23
名前: 雲雀 (ID: 7aD9kMEJ)
参照: ■2011年 10月31日 ハロウィン企画

【甘いお菓子には変わらない/黒子&木吉】



「なぁ、黒子」

神妙な面持ちで、木吉が黒子に声をかけた。
広い体育館でよくこの影の薄い少年を見つけたなと褒めるべきなのかもしれないが、今は部員全員、練習に集中していて、そんなことには気付かない。

「どうしたんですか?木吉先輩」

黒子は別段表情を崩すこともなく、いつと同じ無表情で木吉の方を振り返った。
木吉はいつもなら考えられないほど真剣な顔をしていて、いまいち何を考えているのか分からない。
そしてゆっくりと口を開いた。



「“ Trick or Treat ”ってどういう意味だ?」



           (馬鹿の話は聞くだけ無駄)
         (天才は何言ってるのか分からない)



「…………」
「…………」

二人の間に僅かな沈黙が流れた。
黒子はほんの少し考える仕草をしてから、

「とある翻訳サイトだと、“ お菓子をねだりながら近所を回ること ”って出ますよ」
「お菓子をねだる……?そんなことをしても許される日だったのか!今日は!」

なんだー。と木吉が照れくさそうに頬をポリポリとかく。
今の会話に恥じるべきことがどこにあったのか黒子にはいまいち理解できなかったので、沈黙を守ることにした。

「実はさっき日向にも同じこと聞いたんだけどな、アメリカにでも行って来いってバッシュ投げつけられちまって」
「ああ、それで顔に靴の跡がついてたんですね」

木吉の顔に刻まれた靴の跡(暴力の跡)を黒子は見つめた。
とうの本人はその跡を気にするでもなく、放置していた。

「よし、分かった。じゃあ日向にでもお菓子ねだってくるか!」
「それはやめておいた方が……」

“ いいんじゃないですか ”と黒子が言い終わる前に、目の前の少年はキャプテンの元へと行ってしまった。
軽くため息をついてから、まぁあの人なら大丈夫だろうと普段の練習に戻った。



(“ Trick or Treat ”って、)
(“ お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ ”って意味なんですけどね)



次の瞬間、誠凛高校バスケ部には靴の跡が三つほど出来た少年がいたそうな。



(なんかまたバッシュ投げられたわー、)
(お菓子もらえなかったら悪戯しないとですよ、先輩)









■後書き

黒子と木吉の組み合わせならいけるかと思って、何故かこのようなことに。
黒子のバスケ、アニメ化おめでとうございます。