二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.64 )
日時: 2011/11/09 21:44
名前: 雲雀 (ID: 7aD9kMEJ)

【Disappearance】



——————————生まれて初めて、自分はこの空間には必要ないのだと認識した。



楽しげに笑う声、柔らかな笑顔、その全てが私を嘲笑っているようにしか思えない。
数時間前までは私もあそこにいた。そのことにさえ、嫌悪する。
でも、自分から離れてみてどうだろう。
追いかける人間なんていなかった。期待もしていなかったけど、きっと私なんてその程度。
涙は出なかった。元々この空間に馴染めている気はしていなかったから。

私と話してた人達も、きっと誰でもよかったんだ。
自分の言いたいことだけを言えれば、それだけで。
一人でいいって言っていた友人もそう、仲間が欲しかったんだ。
“ 一人の方が気楽だよね ”って言い合える「仲間」が。
一人でいいって言っていたのに、今あなたはそこにいるでしょう。
結局、「独り」は怖いのでしょう。

話が合うから楽とか言っておいて、結局誰でもよかったんでしょう。
もう疲れました、この茶番。



(ほら、君と遊んでくれる人の所へ行っておいで、)
(ほら、早く。兎は寂しいと死んじゃうんでしょ?)



幸せってね、結局泡みたいなものなんだよ。
ケーキが大好きな人にとってケーキを食べる時間は至福の時だけれど、
ケーキが大嫌いな人にとってケーキを食べる時間は苦痛でしかないんだよ。

でも時間だけは平等に流れるから、どっちにしたって同じなんだよ。
なくなればそれで終わり。人間だってそうでしょう。
いなくなればそれで終わり。つまらないものですね。



          ならいっそ、今すぐこの呼吸を止めてよ。



親友とか言ったって、ね。
心の中を覗いたら、何を思ってるのか分からない。
それは私だって一緒です。そもそも、親友と思っているのかどうかさえ怪しいのに。
現にあなたは私といる時よりも、他の人といる時の方が笑っているし、
ならもう私との関係は必要ないでしょう。
いい加減この手を離しませんか。

一緒にいたって楽しくないでしょう、話も合わないんだから。
ただ小さい頃から、一緒にいるだけなんだから。

私が病気で死んだって、車に引き摺られて死んだって、誰かに殺されたって、いつの間にかいなくなったって、
その頬に、涙が伝うことはないんでしょう。

いいよ。無理して泣かなくて、逆にうざいから。
仮面なんてつけてないで、思いっきり笑えばいいのに。
私のこと、大切だなんて思ってないんでしょう。
だから今も、ここにいないんでしょう。

一人でいるからあの子も呼んであげようなんていう偽善でさえ、この世界には存在しない。
必要ないからないんだろうけどね。
一人と大勢なら、周りから奇異の目を向けられない方を選ぶだけ。
本当にこの世界は息苦しい。
ああもう、五月蠅いな。そこ、雑音でしか会話できないの。
地球の言葉は理解できますか。

もう疲れた。
この空間から、この世界から、今すぐいなくなったって許されますよね。
もう何年も、我慢したんだから。



           (私が私でなくなった日、)
        (全てが泡みたいに弾けて消えた)









■後書き

部活中にいきなり書いた小説です。
学校でこんなこと考えてるのは、おかしいですよね。御免なさい。