二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.70 )
- 日時: 2011/12/19 18:35
- 名前: 雲雀 (ID: 7aD9kMEJ)
- 参照: ■蒼黒の楔 緋色の欠片3 明日への扉 PSP 発売決定記念
【花ノ香ノ/拓磨の頁】
夏が過ぎ、季封村には冬が訪れた。
悴んだ手に息を吹きかけながら、私のところまでまわってきた一冊のノートを見つめる。
思い出を残そうと、皆で始めた交換日記。
多少面倒臭がった人もいたけれど、最終的には皆ちゃんと書いてくれた。
そのことを嬉しく思いながら、どんなことが書かれてるかな、と期待を胸に抱きつつ、表紙を開いた。
最初の頁は、拓磨の書いた日記だった。
「ふふ、拓磨、相変わらず字ちょっとが右上がり……」
桜色の頁を撫でながら、クスクスと笑う。
変わってないなぁ、と思いながら、日記にも目を通す。
心配性の拓磨は、日記でも私の体のことを案じてくれていた。
「へぇ……しょうが汁、か……今度美鶴ちゃんにでも頼んでみようかな」
折角彼が教えてくれたのだから、実践してみようと思う。
最後にしっかりとボールペンで書いてしまったことを少し後悔しているようなことが書いてあり、また笑ってしまった。
彼らしい、温かい文章だと思う。
「次は祐一先輩か……」
彼の書くことなど全く予想がつかない。
いったいどんなことが書かれているのだろう。
そう思ったところで、部屋に美鶴が入ってくる。
「珠紀様?何を読まれているんですか?」
その声に、珠紀は笑顔で振り向く。
「あ、美鶴ちゃん!あのね——————————」
周りの季節とは裏腹に、心は桜色のノートのように温かくなった。
この胸の温かさが、どうか彼にも伝わりますように。
■後書き
蒼黒の楔 緋色の欠片3 明日への扉 発売決定おめでとうございます。
アニメ化も決定して、ゲームはあれが最後だと思っていたので、非常に嬉しいです。
公式サイトの方に【交換日記】があったので、それをもとに書かせていただきました。相変わらず幸せな話を書こうとすると文章がいつも以上におかしくなりますが、この勢いで恐らく全員分書いてしまうと思われます。御免なさい。