二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.78 )
- 日時: 2012/01/01 17:23
- 名前: 雲雀 (ID: 7aD9kMEJ)
【光と闇の狂想曲】
ねぇ、お母さん。
どうして世界には朝と夜があるの?
ひとつじゃいけないの?ふたつじゃなきゃ駄目なの?
だって僕、夜が怖いんだもん。
夜はお空が真っ暗になっちゃうでしょ?
お月さまはあるけど、太陽みたいにあったかくないし、明るくない。
お月さまは太陽と仲が悪いのかな?だから一緒にいれないの?
一緒にいたら、もっと明るくなるのにね。
夜がなくてずっと朝だったら、全然怖くないのに。
ねぇ、どうして?
どうしてふたつなの?ひとつじゃいけないの?
朝は夜が嫌いなの?だから夜がきたらいなくなっちゃうの?
太陽もお月さまが嫌いだから、お月さまがきたらいなくなっちゃうの?
じゃあ夜は?夜も朝が嫌いなの?
お月さまも太陽が嫌いなの?
全部同じお空にあるのに、変なの。
一緒にいれないの?これからもずっと?
じゃあ恋をしたらどうするの?
好きなのに逃げるの?好きなのに追いかけないの?
それはもっと変。
ねぇ、お母さん。
どうして?
どうして世界には朝と夜があるの?
「……世界に朝と夜があるのは、ひとりが寂しいから」
朝が夜から逃げるのは、反対に朝が夜を追っているから。
夜が朝から逃げるのは、反対に夜が朝を追っているから。
朝には夜の背中しか見えないの。
夜には朝の背中しか見えないの。
一定の方向にしか進まないから、お互いの顔は見えないの。
どんなに追いかけても、決して交わらない運命なの。
どんなに想っていても、決して叶わないことなのよ。
光が闇を求めて、闇が光を求める世界。
ひとつにはなれないから、求めることで満たすの。
とても滑稽だけれど、求めずにはいられないから。
触れられないから、愛しさが募っていく。
交われないから、欲望が眠りから覚める。
たとえ触れても、ひとつにはなれないの。
そういう運命だから。
だから朝と夜の恋は永遠なの。
永遠にお互いだけを求め続けるから。
未来永劫、お互いに触れられることはないけれど。
でも、それでも。
「永遠、なの……」
こんなにも求めているのに、届かない。
こんなにも愛しているのに、遠ざかる。
私が見るのはいつも、あなたの背中だけ。
あなたが見るのはいつも、私の背中だけ。
不毛な駆け引き。
答えはいつも出ないまま。
触れればきっと戻れなくなる。
触れてもひとつにはなれない。
だからあなたから逃げ続ける。
だからあなただけ追い続ける。
私はあなたを求めて、あなたは私を求める。
滑稽よね。決してひとつにはなれないのに。
同じものを求めることさえ、叶わないのね。
世界が芽吹いた瞬間は、きっとひとつだったのに。
二つの心がひとつだったことを、
こんなにも求めていた。
■後書き
別館の方で書いたので、こちらにものせておきます。
自分でも何が書きたかったのかはわかりません。