二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜 ( No.2 )
日時: 2011/08/10 00:12
名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: SkGQb50P)

【君に出会えてよかった】


プロローグ———。

俺の名前は、‘勇人,
16歳の高校生で、野球部に所属している。

この人生、‘楽しい,かって?
そりゃぁ、楽しいさ!
俺の周りには、支えてくれる色んな人がいるから。

…でも、あの時、皆に合っていなかったら、
今の‘勇人,は、此処に存在していなかったと思う。


…あれは、今から10年前の出来事だ。






—第1章—『幸せの時間』

—栄口家の週間—

「‘ゆーと,起きなさーい!朝ごはんできたわよー!」

姉がそう叫んで、朝を起きるのは、いつもの栄口家の習慣だ。

この頃の俺は、まだ6歳で小さかった。
俺には母親がいない。小さい頃に亡くなったのだ。
とても小さい俺だったけど、その記憶は、深く残っている。

母親がいないため、姉が食事を作ってくれた。

お父さんは、仕事が忙しくて、ほとんど帰ってこない。
だから、家にいるのは、俺と姉と弟の3人だった。


「ゆーと!幼稚園バス来ちゃうわよ!」
姉がそう言い、俺をおんぶして台所へ連れて行ってくれた。

その頃の俺は、姉の少し焦げた卵焼きが大好きだった。
いつもの朝食は、焦げた卵焼きから始まる。

《プップー》

そして、この幼稚園バスのクラクションから始まる。
姉一人で俺の世話をしていると、いつも、こう、幼稚園バスに遅れて、クラクションを鳴らされるのだ。

そして俺は、水色の幼稚園服と、黄色い帽子を被ってバスに乗った。

「おねぇーちゃん!いってきまーす!」

幼い俺は、ニコニコした顔で、姉に手を振って、幼稚園に向かうのだ。


幼稚園につくと、俺は、木をよじ登って、自然の空気を吸うのが好きだった。

「ゆーとくーん!そんな所にいないで、一緒に鬼ごっこしよーよー」
と誘ってくれる友達もいたけど、
「んーん。僕はここでいいよ。」
と言って拒否していた。


こんな生活を繰り返していた時、
急に俺の人生は変わったのだ。


それは、父が久しぶりに栄口家を訪れたあの日の事だ。


「おとーさーん!」
そう言って飛びついて喜んだのは俺だった。

「おぉー元気してたかー!ゆーとー!」
父も嬉しそうに俺を抱きかかえた。

久しぶりに会った我子だから、そりゃそうだ。

「お父さん、どうしたの?急に?」
姉が、弟をおんぶしてそう言うと、

父の表情は変わった。

そして、口を開いた。

「お父さんな、アメリカに転勤になった。」

「え!アメリカって!どうすんのよ!」
姉は直行に言った。



「お前は、一緒にアメリカについてこい。…っで、ゆーと達は、親戚の佐藤家に預ける事にしたよ。それでいいな。」



父のこの言葉から、俺の人生は急展開したのだ。