二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: —雨夢楼—amayumerou ≪ボカロ曲小説≫コメ募集中! ( No.22 )
日時: 2012/01/12 18:07
名前: 夏茱萸 ◆2uA.rd.h2M (ID: lkF9UhzL)

第五帳〜少女はいつまでも夢を見る〜



『迎えに行くよ。待っていて』



どれだけ私たちは、この言葉を信じて待ったのだろう。

いくら待っても来てくれなかった事実に、無理矢理目を背けて…


否。目を逸らしたからこそ、言えるのは。


今でもまだ あなたたちを…あなたを、信じて待ってるってこと…




*鈴華side

肌に塗る白粉を、午前中の接客で切らしてしまった。
春香姉様はそれを見て、流石店一番の女の子だわ、なんて笑ってたけど。

それが褒めてるんじゃなくからかっているように聞こえるから、苛立って仕方がない。しかも女の子って何よ、女性として見なさいよ。

ここは花街だし、白粉なんて山ほどある。当然店にも予備があるのかと思いきや、玖実からお店のが切れてるから買ってきて!なんて頼まれた。
まぁ暇つぶしにはちょうどいいから、気分転換も兼ねて白粉を買いに行くことにした。

お客は相変わらず放ってます、てへ。


街へ着くと花街と負けず劣らずで賑わっていた。
こちらは活気もよろしいことで。

普段街には来ないから、やっぱり新鮮だった。八百屋やら魚屋やらが威勢よく叫ぶのを聞いて、すごく懐かしかった。
ほんの少しだけど、美香と一緒に住んでたから…

美香のことは嫌いだけど、思い出に罪はないわ。うん。

ちょうど綺麗な夕暮れ時、私はふと視線を地面から逸らし、正面に向けてみた。
そこにはとても美しい金髪の青年の姿があった。

…彼には見覚えがある。
今お江戸花街を騒がせている張本人だ。美夜屋一番の私が知らないわけがない。
江戸生粋の遊び人で、花街だけでなくこの辺りでは本当に有名だった。
今も女性たちの視線を集めているし…。

私のいる美夜屋にも一度来店してくださったことがあった。…らしい。
来店したのを知らなかったのは、青年が指名したのは私ではなく別の遊女だったから。私は当時、彼の顔すら知らなかった。
間近で見ると本当に端麗な容姿だ。腹が立つくらいに綺麗。

(でもよく見れば、彼は私に似てない?いや、よく見なくても似過ぎでしょ、アレは…)

え、てことは私さっきから自分と似た彼を誉めていたってこと?やだ恥ずかしい。


向こうは見つめている私に気付いた様子はないが、どうやら待ち合わせのようだ。

…誰と待ち合わせているんだろう?

その相手が女性だったらと考えると、お腹のあたりが熱くなってくる。
胸が少し苦しくてズキズキ痛かった。
何かの病気?春香姉様に聞いてみないと…

とりあえず目的の品を買った後、青年と離れるのを残念に思いながらその場を後にした。







「まぁ随分と惚けた顔してんのね、鈴華。白粉はちゃんと買えたのかしら?」

「えッ…あ、当たり前じゃない。惚けてないです、失礼なお姉様」

「あら、恋煩いでもしたのかと思ったけど…ふふ、違うんだったら安心だわ」

そういって微笑むと、春香姉様はすっと立ち上がり部屋を後にしようとした。
直後に私は姉様の腕を思いっきり掴む。

「は、春香姉様!一つだけ…教えていただけませんか?」

「…?」

一拍置くと、私は姉様に疑問をぶつけてみる。




「…恋とは一体、何なのですか…?」












‡後書き‡

久しぶりの更新で、私自身どう進めればいいのか迷ってしまいました。
今回は全部鈴華sideで進めました。次回は多分美香sideになると思いますが;

個人的に動かしやすい春香と鈴華を主なキャラにしてしまった^^;
一番動かしにくいのは蓮華です。掴めないです><

それでは、読んでくださりありがとうございました!