二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*参照600突破♪ ( No.198 )
日時: 2011/09/24 03:37
名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)

第20話 試合と心


試合当日。

スタジアムの前で橘が立っていた。人混みを避ける様にして、辺りをきょろきょろと見渡す。

そしてピンクのポニーテールを見つけると、大きくぶんぶんと手を振った。ここで待ち合わせをしていた、歌音の到着。

歌「ティアラ姉とラティア姉も一緒に、良いかしら。」

橘「全然OK!初めまして橘美咲です!!」

テ「よろしくね、美咲!私はティアラ・クラリス、妹のラティア。」

ラ「初めまして。」

随分正反対だな〜、と思っていると、その右肩に手をのせられた。一瞬驚くが、その犯人をすぐに理解し振り向く。

美しく長い金髪、自分の顔を映す銀色の瞳…ソフィアだ。真面目な顔で橘を見ている。

3人に微笑むと、橘は彼女を紹介した。

橘「私の友達のソフィア・アテネーです、このサッカーの試合に興味があるらしくて!」

ソ(アルモニの友達になった覚えは無いけれど。)

そう紹介するしかない、仕事の上司に当たる人です、なんて言えないのだから。

歌「…そう言えば、杏樹は?」

橘「遅れて来るって。部活で色々あるらしいの。もしかしたら来れないかもって言ってた。」

真剣な面持ちで彼女は行った。5人の中でこだまする、色々ある、という言葉。


そう、色々ある。





月「何の用ですか。身内の用事があるので行かないといけないんですけど…」

体育館裏。

何とも嫌な所で、今月乃は数名の女子に呼び出しを食らっている。殆どがテニス部。

怒声、罵声が飛ぶのを聞き流していた。

テニスで速い球を打てるけど危ないとか、そう言う事を言って結局テニス部を辞めさせたいらしい。

それが分かっても随分と晴らしたい事はあるようで、ずっと聞いてはいたが流石に疲れた月乃は口を開いた。

月「…結局15分位怒鳴りっぱなしだったけれど…」

目の前に居る1人の女子の目をしっかりと捕えて、睨むように見ながら言った。

月「言いたい事は、テニス部に居たら邪魔って事?」

体育館の壁に寄り掛かっていた月乃は、校庭目指して歩き出す。女子の1人が咄嗟に何処に行く?!と叫んだ。

言いましたよね、と彼女は振り向く。

月「親戚の用事があるんで。…それに、」

寂しさを少し滲ませた声で、彼女は言う。



月「私が居て周りの皆さんが不幸になるならば、私は潔くその場から消えます。」




彼女が、一応会場を目指して歩く。今更だが、試合会場まで歩いて着くような距離では無い。

親戚の用事…それは勿論、ホーリーロード。1回戦は天河原中で、もうそろそろ試合が始まる頃。

彼女はサッカーが好きではない、嫌いでもないはずだった。それでも足が進まなかった。

避けたい気持ちが勝ってしまう。

無理に歩いていた時だった。自分の横で車が止まる。ピンク色の、小さな車だった。




闇に飲まれよ、ようこそ冥府の深淵へ……———


暗い暗い所だった。纏わり付く様な湿った空気が流れ、その場に居る者を不快な気持ちにさせる。

此処に「人間」は居ない。そう…魔界、地上の人間が地獄と呼ぶ場所。

大きな紫と闇色の城、そのずっと奥に魔界を治める魔王が居た。

「まだ、あいつは見つからないのか。」

低い、良く通る声で魔王は言う。少し怒りが滲んでいて、普通の人間が聞いたら恐怖で体が震えるだろう。

申し訳ありません、と悪魔が言った。しかし、手は打ってあります、と。

「時間が無いんだ。早く連れて来い。」


———時間。

悪魔たちは時間が無いと焦っている。彼等が捜すのは最強の悪魔の血を受け継ぐ悪魔。

追いかけっこは、恐怖に彩られた。



*次回、サッカーの試合に入りますっ!(多分)*