二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*質問等受付中! ( No.249 )
日時: 2012/01/04 15:05
名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)

第28話 シード、種ではありません


フィフスセクターの聖帝に言われた言葉。

剣城は自分の足元を見つめた。最近お前は焦っていないか、だと?そんなことは無い。

それともそう思っているだけなのかと考えて考えて…頭が疲れるだけだと考えるのを辞めた。

イシドシュウジに「焦っている」と言われて、月乃の写真が現れた時には驚いた。何故出てくるのか瞬時に理解は出来なかった。

無表情の彼女の写真を指さしながら聖帝は言った。

聖「この月乃という少女に、デスソードを止められたらしいな。」

また驚いた。目を見開く剣城の反応を答えとして受け取り、今度は問いかける。

聖「サッカーはやるのか?部活はテニス部に所属しているらしいが。」

剣「神童と仲は良い様ですが、サッカーをやっている姿は見た事がありません。」

その答えを聞くと、聖帝は僅かに口角を上げ笑みを浮かべた。どういう意味か理解出来ずに次の言葉を待つ。

聖「宝の持ち腐れ…その宝をフィフスセクターに利用したいと思っている。」

剣「!シードに…という意味ですか。」

また笑みを浮かべた、それが答えだ。

君には期待している、と言葉を掛けられた。つまりフィフスセクターに入れるという意味で連れて来い、という事だろう。

強引にしても良いが、彼女がサッカーを出来るという確証もない組織は中々動きにくい。

剣城が月乃を連れて来て使えれば、恐らく…兄の手術の話も上手く行くと考えた。

使えなければ…あれが何らかの偶然で力が無いのなら、剣城は役立たずになるだろう。

一寸先は闇。

慎重に、まずは力があるかどうか見極めようとサッカー部に足を運んだ。

ホーリーロード地区予選2回戦、この事もあった。1回戦は指示に逆らった雷門。もう逆らわせはしない。

兄のため。自分をかばってサッカーが出来なくなった兄、優一のためにも…。




本格的に練習が始まる前のウォーミングアップの時間。

マネージャー達の仕事を観察する月乃は、ベンチに座っていた。時々、顧問の音無が説明をする。

月「…剣城さん。」

音「え?」

ずざざざー、とベンチの隣の芝生の上を滑り下り、剣城が現れた。全員が驚き、不快感を示す。

天「剣城!」

剣城は月乃がベンチに居た事に少し驚いた様だったが、構わず円堂に言った。

——次の試合、俺を出せ。




円「お前を試合に?」

月「…」

と、そのやり取りを見ている人影。霧野が気付き、じっと見つめる。

それは少し焦っている様に見えた。フィフスセクターのシードが直にサッカー部を潰しに来たという一大事にも拘らずそれに近付く。

遠くにいたが、近くにボールが転がっている。それを取りに行くついでに話しかけてみよう、と。

その人影は自分に気付いていないらしい。近付いても逃げなかった。

見慣れない制服を着ている。スカートが短く、一目で女子と分かった。身長はあまり変わらない。年齢が近いのだろう。

?「どしよ、睨まれて危ないって思って変な反応したりしたら……!!!」

霧「あ、あの」

気付いたらしい。驚いて少女が逃げ出した。慌てて追いかけようとしてスピードに驚く。全く追いつけない。

霧「…何だったんだ、結局…」




月乃は表情一つ動かさなかった。先日剣城が原因であんな事が起きたとは微塵も感じさせない。

剣「どう思っているのか知らないが、俺は好きにやらせてもらう。」

監督は彼を試合に出すと約束した。

それに驚いたのは部員たちだ。監督は彼がシードだと知っている、それを踏まえた上で出すと言ったのだ。

神「待って下さい監督!」

月「何でですか?」

全「!」

全員の視線が月乃に向いた。その事を不快に思ったのか、彼女は少し顔をしかめた。

神「何でって…コイツはシードだ!俺達の邪魔をするに決まっている!!本気で勝利を目指してるんだ、邪魔をされたら…」

月「部員が試合に出たいというのは普通だと思うし、シードが邪魔をするならそれを上回って勝てばいい、それにシードだから、敵だからと言うのもおかしいと思う。」

全「!?」

月乃が円堂を見た。視線に気付いた監督が、ニッと笑う。意味が分からないと言う顔で神童が2人を見た。

剣「ああ、一応伝えておく。2回戦の対戦相手は万能坂中スコアは0−1(月「雷門の負け…」

月乃が遮り、その冷たい視線で剣城を見つめた。歌音は少し困惑した表情でそのやり取りを見ている。

三「奴は指示通りに試合を進めるらしいな。」

速水「だったら指示に従いましょう!今からなら廃部を免れられるかもしれません!」

歌「廃部するって、決まってるの?」

冷たい言葉に速水が怯えた。歌音が睨む。

南「でももう雷門中サッカー部は終わりだ。また勝敗指示に逆らえば他に示しがつかないからな。」

神(……俺の、せいで…)

月「……」

じっと様子を見ていた天馬が「こんなのおかしい」と反論する。本当のサッカーをしてはいけないなんておかしいと。

これで神童は気付いたんだ。だから実行した、その結果がこう。

倉間「そもそもお前が入部しなければ…」

怒りを滲ませて倉間が言う。全部天馬のせいだと。

サッカーを続けたかった。だから我慢してきた。なのに天馬が入部したせいで逆らう事になった。

倉「俺達からサッカーを奪うな!!!!!!」

歌「そんなの八つ当たりよ、そもそも止めれば良かっただけで貴方達の力不足なんじゃないの?」

倉「な…!」

月「…じゃあ自分が辞めて家の庭でやれば良いのに…」

ポロリ、と月乃の口から洩れた言葉。それを聞いて、南沢が少し考えるような素振を見せた。

目を閉じて、監督の方へ歩き出す。

南「監督、俺退部します。」

全「…!!!!!」

全員に衝撃が走った。FW南沢が退部すると言いだして、監督も無理に止めようとはしなかった。

そのまま背番号10は去る。もう付き合いきれない、それは速水も思っていた。でも辞めるなんて。

神「…南沢さん。」


*to be continued...*

波乱の部活見学、剣城が、神童が、月乃が動く…??!