二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*質問等受付中! ( No.281 )
日時: 2011/10/06 18:29
名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)

久々すぎる本編。




第29話 新入部員


しんみりとした空気だった。当たり前か、とマネージャーの空野葵は心の中で呟く。

背番号10の南沢篤志が自主退部して、剣城の試合に出たいという要望を監督がすんなり受け入れて…何時も通りの練習ができるはず無かった。逆に出来たら怖い。

何処かぎこちないパス、いつもより小さい声、心ここにあらずな瞬間。

歌「身が入ってないわね。」

歌音の言葉に葵が小さく返事をする。監督もそれを分かっていてこれ以上の練習は意味が無いと考えたのだろう、集合をかけた。

今日の練習はここまでだ、と言うと選手達は一瞬驚いたように目を見開く。それもそうだろう、明日が試合なのだから。

ホーリーロード地区予選2回戦の相手は万能坂中、試合は明日で指示は0−1。雷門中の負け。

円「今日は帰ってゆっくり休め。……と、月乃と奏宮はどうする?」

どうする、とは入部するかしないかの事だろう。部員は入る訳無いと思っていた。

こんな混乱した状況の中で新入部員は…。

歌「私はマネージャー希望です。」

月「マネージャーでも何でも良いので使って下さい。」

部員「…え。」

口をポカンとあけて2人を見る部員たち。見事に自分達の予想が外れた事に驚いている様だった。

倉「…雷門は今大変な状態だ、なのに入るって…!!!」

歌「悪い?」

天「倉間先輩落ち着いて…」

そう言っても火に油をさすだけだが、神童がやんわりと倉間をなだめた。それから2人の方を向いて「よろしくな」と声を掛ける。

僅かな笑みを見て、無理して表情を明るくしようとしたのだと歌音は悟る。やはり南沢の退部は堪えている様だ。

歌「改めて自己紹介をします。奏宮歌音、中1です。」

月「月乃杏樹、同じく中1……」

円「じゃあ仲間が増えた所で解散!明日遅れるなよ!!」

円堂の言葉で、部員たちは帰りの支度を始めた。




『門の所で待っててくれ。』

神童の言葉が蘇る。

校門の前で1人立つ月乃を、サッカー部の部員達が追い抜かして行った。不思議そうな目で見られても彼女は何も言わなかった。

立っているだけで良い。

目を閉じれば思い出される風景——空に向かって跳ねるサッカーボールと、それを追いかける選手。

月「…あの世界に、私が……」

振り返る、と、しまい忘れたのか土で薄く汚れたサッカーボールが置かれていた。

足が自然に動いて、気付けば腕の中にボールがあった。


サッカーボールの良い思い出は、まだ無いと思う。これから、良い思い出を作って行けるのだろうか……。


「月乃。」

誰かの声が聞こえて、彼女はゆっくりと振り向いた。




心に空いた小さな穴、力を込めようとも流されてしまう手のひら、行き場を失くした感情。

それは彼の今の状況。古い部室の前に1人たたずむ姿、それだけでも寂しいのに只立っているだけの様子は悲しげだった。

どうしたら良いのか分からなかった。監督に相談しても、前向きに考えることが苦痛だった。

サッカー部のキャプテンとして…、呟いて右手に力を込める。ぎゅ、と握りしめることが出来て少し安堵した。

神「まだ…希望はある。」

諦めるな、前に進め、仲間がいる。

深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、顔を上げた。勝利を目指すと改めて強く誓う。

例え仲間が少なくても、強い想いで突き進もうと心に決めた。頭の中が一段落すると約束を思い出した。

月乃に門の前で待つように、と言ってあった事。

部室前で円堂を見つけた時から忘れていた約束だ。他の部員は全員帰っている。随分待たせてしまったと校門の方向を見た。

神「……?」

目に映ったのは、月乃と誰かが話している様子だった。


*あとがき*

全然進まない…良い所で切るとこうなっちゃうんですね^^;
更新がんばっていきます!!!!