二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*参照1000突破!!! ( No.354 )
日時: 2011/11/22 18:15
名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)

5日間ぶりの更新?!


第38話 脅威の仲間たち


心が痛い。

痛い。

何で、そう思うんだろう。

月乃は胸に手を当てて考えた。そして視線を上げる。

その先に居たのは、もはや今までの万能坂では無かった。全員、悪魔が飲み込んでしまった。

悪魔が増えた……、一言で言うとそう言う事だ。


月乃「勝利は少し遠のいたかもしれません…」

呟いてみる。それが、痛む理由だと思うから。

体を起こした神童たちが、驚いて何も言えず相手を凝視する。月乃が近寄ると、何が起きたんだと視線で訴えた。

月乃「……気にせず、今まで通りの気持ちで良いんです。」

神童「…勝てるのか?」

沈黙。

月乃は身を翻してポジションに戻ろうとする、その間際に宣言しました、とギリギリ神童に聞こえる音量で言った。

天馬「キャプテン…」


〜神童side

松風、と呟かずにはいられなかった。

声が聞こえて振り向くと、ユニホームが傷だらけの松風が立っていた。怪我自体は浅いものばかりだったが…。

天馬「月乃さん、立ってられたんですね…。あ、それで何て言ってたんですか?」

立っていられた?あの暴風の中?

まさか、と思う自分と彼女なら、と想う自分が居た。月乃はいつも人を驚かせる…。

一体どれだけの力を持っているのか不思議でならない。

神童「今まで通りの気持ちで行けば良い、って…」

天馬「勝利を目指して!って事ですよねっ!!」

多分、な…。

頷いて見せると、丁度他の倒れたメンバーが立ち上がった所だった。そろそろ試合再開。

松風にポジションに戻る様に言う。何となく視線をベンチに向けると、2人の女子が来ていた。

前の試合で月乃が倒れた時にいたソフィアと言う名前の女子と目が合った。もう1人…橘美咲、以前電話をくれた人。

ソフィアは真剣な目でフィールド…否、万能坂中を見ている。まるで鷹の目の様に鋭い…。

と、ホイッスルが鳴り響く。

異様な雰囲気を纏う万能坂中が———突然、シュートをした。

光良だった、それは荒々しく速く…まるで槍の様に俺の隣をすり抜けていく。

危ない、と悟った。あんなシュートをここでやって来るなんて誰が想像するだろう。俺の目の前だぞ?!

三国「っ!?」

霧野「三国さんっ!!!!!」

ベンチの霧野の叫び声…。

そして、不意にあの時の声が蘇った。もう残り時間も多いとは言えない。

次に追加得点を決めた方が勝利すると言っても過言ではない。

———右頬を風が通り抜けたと思った。

相手GKが両手にしっかりとボールを持っている。三国さんの方に慌てて視線を向けると、月乃が立っていた。

彼女が悔しそうな表情を一瞬見せる。

月乃「…それにしても、相手のすごい威力でしたね。軽く力を加えただけなのに、あんなに飛ぶのは予想外…」

三国「あ、ああ…凄かったな。(両方…。)」

後ろの三国さんと会話している様子からすると…月乃が蹴ったのか。

なら納得。

天馬「あのシュートを止めた?!」

西園「GK、何か強くなってない?」

神童「!」

確かに…今のはノーマルシュートとはいえ見えないシュートにまた見えない威力で返したんだ…。猛スピードで。

それを楽々止めて見せたあのGK…。

さっきは俺のフォルテシモで破れたゴールも、簡単に破らせてはくれなそうだ。


だが、実際は少し違ったのかもしれない。

上がる事さえ困難になっていた。全く今までと違うレベルに歯が立たない。

ただ傷付けるのではなく時間まで遊んでシュートチャンスを狙っている、そんな感じだ。

———募る悔しさ。

ボールを取りに行こうとすればテクニックで翻弄され、結局自爆してしまう。剣城も全く歯が立っていない。

磯崎?「MF、FWは戦力喪失…と言う感じで。さすがに仲間が居ると楽だなぁ…」

ニタリ、と気味の悪い笑み。

その視線の先に居たのは、月乃だった…。

磯崎?「地に堕ちた天使さんよォ!!!」

磯崎の周りから立ち上る気、それは輪郭を結ぶ———化身だった。

轟然と振り上げた右足をサッカーボールに打ちつける。暴風が巻き起こった。

もう嫌だと思った。サッカーを取り戻すためと言っても、何でこんなに傷付かないといけない?

俺はキャプテンなのに、結局守れないんだ。

それでも勝利を目指すって…誓ったのに、それでも傷付く皆を見たくなかった。

俺が弱いから、勝てるようにならないのかもしれない?

どうしたら良いのか分からない。辺りは闇で、何処へ行こうにも闇で…何も見えない程の。



『兄様の望みは、何ですか?』


1つ差した光。

誰だ、と思わず問いかけてしまう。誰かなんて分かっているはずなのに、声があまりにも優しかったから。

聖母マリアって、こんな感じだったのだろうか。


「月乃…」

『私は、恩を返したいんです。…望みを、教えて下さい。』


望み、と心の中で復唱する。

脳裏には傷付く皆の姿が蘇っていた。もうあんな姿を見たくない、あんな悪魔の様なプレイも傷付く皆も。

「この試合を、平和に終わりにしたい。傷付けず、傷付かない様に。」

それは無理かもしれない、でも本音を言っても受け止めてもらえると思った。

柔らかい光が広まって視界を制する。

次の瞬間、不意に耳元でささやかれた。——ついて来て下さい、と。


現実世界。月乃がボールを持って上がっている。

神童「つきっ…」

磯崎?「止めろッ!!!」

化身が引っ込んだと言うのに体力を消費している様子が見えない磯崎。

とにかく、月乃のサポートにまわらないと。




〈勝利と、試合の平和なる収束へ向けて〉


*to be continued*