二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*参照1000突破!!! ( No.367 )
日時: 2011/10/31 18:52
名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)

第39話 最終結晶


〜ソフィアside

何で、こうなったの…?

私が傍に居たというのに、やはり人間界では悪魔の方が有利なのかもしれない…。

橘「ソフィア、あんなに悪魔従えてるってことは…磯崎って人に宿った悪魔はすごく強いってことになるの?」

声を潜めて橘(アルモニ)が言った言葉…私も同じ意見。

悪魔は強い者にしか従わない。10人が余裕で悪魔に乗り移られたという事は最初に居た悪魔が強いと考えるのが普通。

ソフィア「でもNO.1では無いと思うのよ。このレベルだったら月乃さん意外完全に動けない状態にするのは訳ないはずで、フィールドだって試合続行できない程にするわ。…本気なら、ね。」

魔王に次いで強いと言われるNO.1…その座は、何年前だったか詳しく知らないけれど、ある1人の悪魔が誰にも文句を言わせぬ強さで手中に収めていた…。

けれど、ある日ぱったりと姿を消した。何処へ行ったのかは歴史の書物に残っていないから知る由もない。

神様も何も言わないでいる様だから、大して重大視していない様子…。

橘「あっ、つきのんが上がってるよっ!」

視線をフィールドに移すと、月乃さんがドリブルで上がっていた。

1人だけ持っている清らかな気…。それは私に似た様な香で、何処か強さを秘める。

ある歌が蘇った。

天界で誰よりも綺麗な声を響かせ、それを技として実態化させた…あの子の歌。…思い出すと、少し辛いけど。

橘「ね、ソフィアも似てると思うでしょ?」

月乃さんのことだと直ぐに分かった。きらきら瞳を輝かせて私に言うから。

ちょっと意地悪してみようと思って、微笑みながら言い返す。

ソフィア「ついでに、あの人もね☆」

不思議そうに彼女が私の視線を辿って、表情を曇らせた。少し怒ってるのね…

ソフィア「そんなに単純だから、いつまでも追い付けないのよ。」

そう言うと、アルモニはソフィアのバカ、なんて呟いて俯く。


私はもう一度、彼に視線を向けた。

ピンク色の髪の、ベンチに座る少年———霧野蘭丸さんへ。




月乃には、どれ位の力が残っているのだろう。

ドリブル突破は見事としか言いようがない。それ程に華麗で軽やかだった。

ボールを奪おうとする万能坂の選手達のスライディングを、タックルを、あっという間にかわして行く。

恐ろしいほどレベルアップした彼等を、簡単に抜いている……、だから体力を相当消費しているはずだ。

なのに疲れを見せないでいる。

確かに今の俺達には月乃の力は必要不可欠で、最後の命綱とも呼べる存在だ。

神童「…強いんだな。」

俺よりも、きっと天馬よりも。円堂監督は、どうだろう?

……サポートにまわるって思ったのに、そんな物は必要ないというかのように、彼女は強い。

弱い彼女を知っている、だから何処か…もどかしい。

月乃「っ!」

雷門全「!!!?」

前でドリブルしていた月乃が、体勢を崩し倒れた。ボールが横に転がって行く。

あまりに突然の出来事に、雷門側が全員息を呑んだ。急に、月乃が…調子良くドリブルをしていた彼女が。

背後から視線を感じて振り向くと、磯崎が気味の悪い笑みを浮かべていた。

神童「・・・もしかして、磯崎が何か…」

鼻で笑う磯崎に、嫌な気配を感じた。

ハッとして月乃へ視線を向ける。ボールに磯崎が走り込んでいて、月乃は立ち上がれずに…まずい!!

ボールを取らせてはならない、もうゴールの目の前なんだ…今ここで流れを掴まないと…ッ!!

がむしゃらにボールへ駆けて行く。

磯崎?「なっ…!」

神童「ボールは渡さないっ!!!」

驚いた顔の磯崎と視線がぶつかる。俺は気にせずボールへ足を伸ばした。が、相手もワンテンポ遅れて足を伸ばしてくる。

俺と磯崎の足がボールに当たった。それを目で追うと、高く上がったそのボールに、素早く飛び付いた影があった。

シルエットで特定は直ぐに出来る。

磯崎?「チッ…」

橘「つきのんっ!」

全員が驚いている。気配で伝わって来た。

高く上がった月乃は、静かに……周囲の音まで消すかの様にボールを蹴った。



——それは、光速でゴールのネットに突き刺さる。





連続で鳴るホイッスルの音が、遠かった。




天馬「勝った…?」

松風天馬の一言が、フィールドに流れる沈黙を破る。

そして、次第に笑顔になる天馬は信助とハイタッチして喜び合った。

天馬・西園「やったぁぁっ!!!」

わいわいと騒ぐ2人を、神童はホッと安堵した表情で見ていた。他の選手も表情は穏やかで、勝利を静かに喜んでいる。

神童は、月乃に駆け寄ろうと彼女に視線を移した。名前を呼ぶと振り返った月乃、しかし顔は青ざめている。

月乃「…あ、にさ…」

彼女の体がふらつく、慌てて神童が体を支えた。

神童「月乃…、」

腕の中でぐったりする彼女を見て、自然に出てきた言葉は「ごめんな。」だった。

神童「無茶させて…本当に」

月乃「…」

月乃は目を見開いて、それから悲しげに目を伏せた。体を支えて何とか立ち上がると、マネージャー達が走ってやって来た。

葵「大丈夫?!」

歌音「杏樹、取りあえずベンチで休んだ方が…」

月乃「大丈夫です。」

心配する葵や歌音に静かに言って、それから視線を周りに移すと万能坂の選手達が倒れていた。

月乃「…私、先にスタジアムの門の前で待ってますね。」

神童「月乃っ…?!」

大丈夫なのか、と言いかけて、神童は騒ぎに巻き込まれた。

万能坂の選手達が急に倒れたらしく監督やコーチ、スタジアムやホーリーロード関係者が慌てだしたのだ。

その大勢の人の後ろに月乃が居て、姿は見えるのに動けなかった。




ホーリーロード地区予選第2回戦、3−2で勝利。