二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*〜参照100突破♪ ( No.48 )
- 日時: 2011/12/10 21:36
- 名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)
第6話 強引だと言われても
天「フォルテシモ見たいんです!あ、そーだ、信助も呼んで3人でサッカーしましょう!!」
神「月乃、何でこいつ(月「見せてあげて下さい。」
神「!?」
訳が分からない、という顔で神童は月乃を見た。帰って欲しい客を引き留めて何を言うのかと思えば、こんな事に賛成するなんて。
神「2人して俺を責め立てるのか…」
天馬のパスは神童を責め立てた。だからもう天馬のパスは受けない。でも天馬は諦めず、何度でもパスをしてくる。
天「キャプテンと一緒に、サッカーやりたいんです!!」
月「天馬さん、先輩には礼儀正しくしないと…。」
天(あ!)
天「お願いしますっ!!」
礼儀正しく。天馬は全力でお辞儀をした。
神童はハッとして、少し迷ってから分かった、と言って背を向けた。1回だけだぞ、と。
天馬が嬉しそうに顔を上げて「ありがとうございますっ!!」と言う。
天「信助も呼んで良いですよね!!」
神「ああ、良いよ…。」
神童が少し諦め口調で言う。
月「サッカーが、好きなんですね。」
天馬が満面の笑みで「はい!」と返事をした。
月乃の頭の中に、「サッカーバカ」という言葉が浮かんだ。月乃が神童を見れば、彼は俯いている。
月「…兄様も、楽になりたいのでしょうか…。」
天「?何か言った?」
小さな呟き。彼女は首を横にゆっくり振って、部屋から出た。
河川敷には、黄色いユニホームが3つと、黒いTシャツが1つ。
天馬と西園、神童、月乃。ユニホームを着た天馬がボールを足元に置き、月乃はそれをフィールドの外で見守る。
天「…」
西「天馬?どうしたの?」
天「何でも無い^^」
神「…?」
天(…月乃さん、キャプテンが暴走するかもしれないってどういう事…?)
河川敷に着く直前だった。
月乃が天馬に囁いた。「暴走するかもしれないから、気を付けて下さい。」と。
天馬が彼女を見ると、彼女はじっとボールを見ていた。月乃さんもサッカーやるのかな、と想ったりする。
天「キャプテン、行きますよ!」
天馬がボールを西園にパスした、その瞬間に神童が走り込んで来る。そのスピードに2人は驚き、しかしパスは西園に繋がった。
西「それっ!」
すぐに西園が天馬にパスをするが、受け取るのに慣れていないらしい天馬は慌てて、という感じだ。
月「初心者…なんでしょうか。」
ドリブルを開始する天馬、そこに神童が走り込みボールを奪う。
天馬は粘ってボールを奪おうとするが、テクニックでは神童の方が5枚も10枚も上。
神「ボールの動きを良く見ろ!サッカーが好きって事と、サッカーが出来るって事は違うぞ!!」
月「っ?!…そう、ですが……!」
気配を感じる。誰かが来る、そして誰かが来ている。
会いたくない人、が…。
神「フォルテシモ!」
青い青い光に包まれたボール。彼女はフィールドに視線を戻す。
月「—フォルティシモ。音楽記号で極めて強くの意…けれど迷いが生じたこのシュートは例えるならメゾフォルテ。」
言ってからハッとした。会いたくない、体が拒絶する人は近付いている。
月乃は駆け足で建物の近くに避難した。こうすれば河川敷の上から見つかる事は無い。
では近くに居て様子を窺っている様な人は。
彼女は目を凝らすが、相手も隠れているようで見つからなかった。
そのうち見つかると割り切り、再びフィールドに視線を戻す。1年生の2人は、帰ろうと背を向けた神童に礼をしていた。
天「もし、本当のサッカーが出来る様になったら、戻って来てくれますか?」
—ありがとうございました、で終わりにしていたら…?
神「…分かって無いな。〝本当のサッカー〟なんて、もう何処にも無いんだ!!」
月「!」
—暴走して、彼が涙を流す事も無かった…?
天「あっ!」
天馬の持っていたボールが、神童によって地面に落とされた。黒と白の球が、高くバウンドする。
—代償が要らない成果なんて無い。
神童がドリブルをし、天馬達が奪おうと続く。しかし神童の方が速く、思い切りシュートをぶつけた。
—これはこれで有りではないかと思う。
ガン!と大きな音を立てボールが弾かれ、それを1人の少女が奪う。
神「!」
月「…」
天「月乃さん??!」
颯爽、と表現できるのか、突然現れボールを持った月乃に全員が驚く。天馬と西園、神童、そして河川敷に来た円堂。
円「?…誰だ、アイツ…?」
月「本当のサッカー。私は、有ると思うんです。」
凛とした迷いの無い声。
神童が目を見開いて彼女の顔を見た。無表情ないつもと同じ顔で、少女は話す。
月「勝敗指示。私は思い切りサッカーをしたいと望む皆さんが、それに従わなければいけない世の中に素直に反対する天馬さんの気持ちを何も分かっていないと解釈しないでほしいんです。例えその裏に何かがあったとしても、勝敗指示というフィフスセクターの行為は許せません。」
天「月乃さん…!」
天馬が嬉しそうに月乃を見るが、彼女はボールを彼の足もとに転がした。無表情で彼女は言う。
月「怖いって気持ちは分かります。その責任感は大事ですが…。天馬さん、私を抜いてみて下さい。」
天「え?!」
ドリブルが得意と聞いたので、と付け足す。
天馬と月乃が間隔をあけて向かい合う。天馬の足にはサッカーボール。
月「キャプテンが抜けるのであれば、大会では1年生もしっかりしないと本当のサッカーを取り戻すのも難しいと思いますが…。」
天「…!本当のサッカーに、なるんだぁっ!!」
西「自分がなっちゃうの!?」
天「それ位の気持ちで行かないと!!」
天馬が飛び出す様に走る。
緑色の風がその後ろから巻き起こり、全員が目を見開く—いや、月乃は反対に目を閉じた。
天「そよかぜステップ!!」
*つづく*