二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*新:ベンチにリターン!? ( No.575 )
- 日時: 2012/05/03 06:07
- 名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)
第62話 天国の天使
橘「そういう事かっ…!!」
悪魔が味方FWにパスを出した所で、あたしは彼の大体の力を理解した。
まず悪魔の売りは尋常じゃないスピード。もし本気のスピードをだしたなら、きっと誰も追いつけない!
だけど短所もある。あたしみたいに、ボールの扱いに慣れてないって事!
目的達成の為にここに立たされた悪魔は、ルール位しかサッカーを知らないんだ。
ルール位しか知らないから、単純なFWのポジションにいるのかも。でも1点取ってるから、シュートは出来る…。
あたしは、ドリブルとブロックが出来ない。こんな事なら、ちゃんとサッカー教えてもらうんだったぁ…。
橘「…どーしよ。これは予想以上の突破され具合で。」
悪魔にとって雷門イレブンは、地を這う蟻みたい。全く気にせず突破していく。
どうにかしなきゃ、GKの三国先輩がっ…!!!
混乱しきった頭の中に、昔ソフィアに言われた言葉が蘇る。
ソフィア『アルモニ、何してるのよッ!!貴女はドリブルもブロックも自信が無いんだから——』
急に試合に出されてあたふたしてるあたしに、激励の言葉。
ソフィア『シュートをするしかないでしょっ!?』
覚悟が決まった。
相手の思惑通り?何言ってるの。
この試合に来た事———後悔させてあげるっ!!!
**
〜霧野SIDE
天馬「三国先輩っ!!」
御門(?)「大した事無いな」
ダメだ、やっぱり…抜き去られ立ち尽くす橘を見ていると、悔しさが募る。
俺が怪我をしなければ。
しかし次の瞬間、空野にフィールドを見て下さいと言われ見ると、橘が一瞬消えていた。いなかったのだ。
霧野「…は?」
相手FW・御門がシュートを蹴る。何の必殺技でも無いのに、俺が今まで見てきた中で1番威力のあるシュートだ。
そしてそのシュートの行く先に———。
歌音「橘さん!!?」
霧野「なッ…!!」
橘がいた。
シュートに向かって橘が翔ぶ。その背中から、さなぎが蝶になる様に翼が生えた。まるで、天使の羽のような純白の。
その翼が衝撃波を放つとともに、橘がボールを蹴る。
アルモニ「ヘブンズエンジェル!!」
ボールは、たちまち黄色い輝きを纏う。彼女はシュートブロックすると同時に、シュートを放ったのだ。
何より驚いたのはそのシュートの威力。このシュートを見たら、月乃とサッカーをしたというのも納得できる…かもな。
アイツは、すごいプレーヤーだったと思うんだ。
**
〜橘SIDE
シュートが決まった。
ホイッスルの音に胸をなでおろすと、急に体が重くなった。膝をついて、深呼吸。結果オーライなんだから、これ位!
ヘブンズエンジェルは、反動がある技。その分威力は相当ある。あたしはこれをフローラ様から教えてもらったんだ。
大分回復した様な気がして立ち上がると、天馬君がやったね、って飛びついて来た。
天馬「すごいっ、すごいシュートだったよ美咲!!」
橘「えっ、あちょっと重たっ…」
待って!回復したばっかなのに中学男子の体重は耐えられないって!!!
**
〜霧野SIDE
ベンチでも、次第に喜びが広がって来ていた。点差は残り1、あと2点で勝利だ。
マネージャーたちが隣で喜び合っているのを聞きながら、フィールドを眺めていた。
喜び合う雷門、橘を警戒する様子の帝国…と、相手ゴールに御門の姿。
FWのはずなのに?不思議に思っていると、何やら話しているみたいだ。GKの雅野は反発している。
そして次の瞬間、苦しそうな表情で雅野が膝をつく。…大丈夫なのか?
葵「どうしたんですか、円堂監督?」
ふと隣で喜び合っていた声が聞こえなくなる。振り向くと、考え込む円堂監督がいた。
円堂「…何か、さっきの技近くで見た事ある気がするんだよな。」
んー、とうめきながら頭をかく。
円堂「ま、いつか思い出せるさ!」
*
試合再開。
さっきのシュートで橘の中の何かが変わったようだ。早速御門からボールを奪い、右サイドをドリブルで上がっていく。
だが、その橘を囲もうとする相手選手。
橘「ー、キャプテンッ!」
それを察知したのか、とっさ後ろにいた神童にパス。
そのパスは上手く繋がり、神童は反応が遅れたMFやDFをあっさりと抜き去る。
神童「剣城っ!!」
そして、センタリング。剣城はボールを蹴りあげ、闇を生み出す。
剣城「デスドロップ!!」
新技に会場は沸き上がる。
パワースパイクも効かず、剣城のシュートは同点ゴールとなった。
本当に、味方になったんだな。神童も嬉しそうだ。
霧野「あ…」
今、剣城が笑った。
**
御門(?)「だから言っただろ。」
雅野「だけど、俺が帝国学園のGKだ!」
FWにゴールは任せられない、と雅野は言う。これで何度めだろう。
御門(?)「だが、お前はシュートをとめられていない。」
雅野「それはっ…」
悔しげに唇をかみ、俯く。3点連続で、雅野はシュートをとめられていない。
御門は、化身なら止められるかもしれないと言っているのだ。
どうしたら、と考えを巡らす雅野の体に突然、重くどろどろとした何かが入り込んでくる——否、そんな気がするだけ。
雅野「!くっ…また、」
御門(?)「チ…やはりダメか。」
だが、と次の瞬間口角をつり上げて御門が微笑む。視線をベンチへ向けると佐久間がそれに気付いた。
佐久間「!雅野、どうした!!」
雅野「っ!まさか御門…!!」
胸を右手で押さえながら、雅野が御門をにらむ。
数刻後、帝国GKは御門に変わった。
* to be continued... *